2015年10月14日

◆瑕疵は“扇動知事”翁長自身にある

杉浦 正章



法廷闘争での国の勝訴は確定的


 普天間基地の移転問題は、沖縄県知事・翁長雄志が13日辺野古沿岸部の埋め立て承認の取り消しを正式決定したことにより、法廷闘争となる様相が確定的となった。最高裁で決着する問題とみられるが、この間沖縄県に工事差し止めの手段がなく、11月には埋め立て本体工事に入る。


裁判の決着を待たずに埋め立ては完了、2022年の移行完了目標が達成される見通しとなった。


移転問題を政治闘争に使う翁長の戦術は破たんし、長期的に見れば翁長の「あらゆる手段で阻止」するとして県民の感情を煽った手法は挫折するだろう。

翁長の言う瑕疵は前沖縄県知事・仲井眞弘多の移設承認決定にはない。むしろ県の行政はそっちのけで政府との“闘争”に血道を上げ、ついに妥協を考えぬまま抜き差しならぬ全面対決にしてしまった翁長自身の瑕疵こそが問題であることが県民にも分かるときがやがて来る。その意味で翁長は政府を追い込んでいるのではなく、自らを進退窮まった袋小路に追い込んだことになる。


翁長は既に基本的概念から間違っていた。政府が普天間移設の理由を世界で最も危険な基地としての存在にしているのに対して、翁長は原点を米軍の強制収容に置いた。しかし、収容当時は米国の占領下にあり、人口が極めて少ない土地を占領軍に強制収容されても、法的な問題は生じない。翁長の主張の根幹は一昔前の社会主義、反米イデオロギーに根ざしており、これで県民を煽っても長続きはしないだろう。


それに翁長は足し算と引き算を知らない。普天間の返還を実現し、既にある辺野古の米軍基地に滑走路を作るというのは、誰が見ても引き算であって足し算ではない。そして翁長が、普天間の危険性に言及しないのは問題がある。なぜかといえば、論争に不利であるからだろう。県民の生命を第一に考える政府の主張に大義はあるのだ。


はっきり言って大義対個利個略の戦いであり、法治国家の県知事としてあるまじき闘争である。しかしその法治国家の法体系は翁長の戦術に門戸を閉ざしている。翁長の取り消し決定は政府の埋め立て推進に何の突っ張りにもならないからだ。


沖縄防衛局は行政不服審査請求とともに、取り消しの執行停止の申し立てを国交省に行う。同じ政府の国交省がいくら大臣が公明党の石井啓一でも、防衛局の申請を認めない事はあり得ない。そうすれば工事は間違いなく進行可能となる。この結果、翁長に残された手段は裁判闘争しかなくなる。最高裁までの「10年裁判」となる可能性が高い。


そうなれば埋め立ては完了して、普天間の危険性は除去され、沖縄全体の基地も整理縮小され、海兵隊の多くがグアムに移転する。誰がどう見ても沖縄の基地負担は大幅に軽減されるのである。最高裁の判決もこれを考慮して翁長敗訴となるだろう。この種の裁判ではまず国が敗訴となることはない。


だいたい翁長は先の大戦で沖縄だけが犠牲になったような主張を続けるが、東京大空襲を始め広島、長崎への原爆投下など、大都市のすべてが悲惨な目に合って焼け野原となり国民全体が途端の苦しみんに直面したのだ。翁長の主張には唯我独尊の「甘え」があるのだ。
 

翁長はことあるごとに沖縄県民の民意がすべて移転反対であるかのように発言するが、今回の決定はやぶをつついて蛇を出した。争点が明確となる結果、今まで風向きを見ていた県民の発言も、移転賛成論が多く出るようになった。翁長のやり過ぎが、県民の意見の分裂度を鮮明にしたのだ。


翁長は「80%の県民が反対」と主張しているが、知事選結果はそうではない。有権者109万人のうち翁長支持は36万票であり、33%に過ぎない。賛成の仲井真弘多と、少なくとも反対ではない下地幹郎の票を合わせれば33万で伯仲している。40万人の棄権票も支持に回りうる層だ。翁長は架空の「民意」に頼るしかないのだろうが、安易に「民意」などと言う言葉を使うべきではない。
 

だいたい翁長は辺野古への移設ばかりを批判するが、自分の推進している「大移設」問題を棚上げにしている。新任の沖縄担当相・島尻安伊子も知っているなら取り上げて批判すべきである。自らの立場をフルに活用して、対翁長の論陣を張り、県民の理解を広げるべきである。


沖縄の二紙も翁長の不利になることはろくろく取り上げないから、伝わらないが「大移設」とは「那覇軍港の浦添移設」である。東京ではほとんど知られていないが、専門家によると那覇軍港の浦添移設によって埋め立てられる面積は約300ヘクタール。辺野古で予定される埋立面積160ヘクタールの2倍近くに上る。自分の推進する移設はジュゴンが居場所をなくそうが、珊瑚が破壊されようが問題はないのか。


おまけに翁長は反対を条件闘争としていた形跡が濃厚だ。昨年宜野湾(ぎのわん)市長の佐喜真淳が記者会見し、辺野古移転について、翁長が「反対することで振興策が多く取れる」と発言していたと証言。県内11市のうち仲井真を支持する9市長の総意として翁長に対する不信感を表明したのだ。


その後自らの言動によって自縄自縛となって、冒頭指摘したように自らを袋小路に追い込んだのだ。かつて辺野古移転推進派でありながら反対派に回ったり、移転問題を条件闘争に使ったり、とかく右顧左眄(うこさべん)してきたのが翁長である。


政府はこのような政治家に振り回されることなく、粛々と埋め立てを推進すべきである。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 
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