2015年10月15日

◆「桂林へ旅」余話

眞鍋 峰松
 


ここ1週間ほど前から、自宅の内外を問わず、金木犀の香りが漂って来る。一歩、家を出ると到る所、どこか懐かしい想いに誘われる高雅な香りが馥郁と漂う。我が家の狭い 庭にも2本植えてあるのだが、それ以上にご近所の庭の金木犀の発する香りの方が強い。

日課のウォ―キングの途中でも強く匂うのだから、地域全体のあちらこちらに植えられているのだろう。これだけでも、香りに誘われての、この時期の外出は本当に楽しい。
   

吾が現役時代の或る職場では、この金木犀の香り漂う時期に毎夜々々、半ば徹夜に近い状態だった。我が家に辿り着くのはほぼ毎晩午前4時前後。それでも、翌朝?の10時前には机に向う。この状態が年末まで続くのだから、今になっても、当時はよく体力が持ったもの、若かったのだな〜、と。 

その苦しい毎日の中、深夜というより早朝に近い時刻に、車を降り自宅に入る直前、この金木犀の香りが私の帰宅を柔らかく迎えてくれた。その甘美さは今でも忘れ難い思い出である。                                  

前々回の本欄に、桂林の「桂」は中国語で樹木の「木犀」のことで、市内の幹線道路の車道と歩道の仕切りには金木犀の木がずらっと植えられていて、10月になると金木犀の花の香りで街全体が包まれ、それ故に、桂林の名産品には金木犀茶と金木犀酒がある、と記述した。                                       

その桂林旅行の途中、旅の思い出に、と金木犀茶を一缶買ってきた。帰国後、今日までに数回熱湯を注ぎ喫してみたが、やはり、湯煙りの中に紛れも無い金木犀の高雅な香りが漂う。


だが、本物の金木犀の開化の盛りに、わざわざお茶の匂いを嗅ぐこともあるまいと再度密封し直した。また金木犀茶と一緒に、ガイドに案内された茶館で支那服の美女の巧みな言葉に乗せられて、現地桂林にしか無く、昔から現地少数民族の間で薬草として飲み継がれてきたとの触れ込みの「田七茶」なるお茶も一缶買ってきた。
 
それも高血圧症、高脂血症、中性脂肪や悪玉コレトロールの抑制などの効能書きに惹かれて購入したのだが、果たして効果のほどはどうだろう。

この「田七茶」は現地に生える野草の花と茎を摘み取り、そのまま乾燥してお茶にしたものだそうで、熱湯を注ぐと徐々に元の形に戻り、確かに漢方薬独特の強い匂いを生ずる。

こちらのお茶の方は毎日少しづつ試しているのだが、暫く飲み続けてみなければ、効能書き通りの薬効があるのかどうか分からない。

少々癖のある匂いと味がして如何にも漢方薬ぽいのだが、旅行先中国の古典、孔子家言に書かれた「良薬は口に苦くして病に利あり、忠言は逆らいて行いに利あり」との言葉を信じ、有る限り飲み続けることにしよう。 
ところで、人間にとって思い出も様々だ。上記の文章を一読した我が娘の一言。
「私にとっては、金木犀は小学生の時の消しゴムの匂いだ」と曰う。しかも「授業時間中に、この金木犀の香り付けの消しゴムの甘い匂いに誘われて、空腹のあまり、この甘い匂いの物が食べられたら良いのにな〜と思った」とのこと。
 
オヤジの往時の苦しさと金木犀への甘美な思い出に水を差すようなことを平気で言う。 同じ人間の思い出と言っても人それぞれ。それにしても、何と情緒の無い娘の思い出であることか。皆さんはどちらが幸せだと思われますか。
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