2015年10月21日

◆維新の抗争は両方が敗北の構図

杉浦 正章



橋下の遠隔操縦が破たんの主因
 

今や憎悪の鬼と化した橋下徹と松野頼久が、山口組もびっくりポンの抗争にうつつを抜かしている。何も生じない不毛の抗争である。その結果出てくるものは「希望」ではなく国民の「落胆」だけだ。


維新の四分五裂は実に面白いが、結果は両方が負けるのだ。大阪市長・橋下が目指す新党「おおさか維新の会」が、かつての「第三極ブーム」のように、世間にもてはやされることはもはやない。


民主党に後ろ足で泥をかけて離党した維新の党代表・松野頼久には「出戻り」しか道がない。2012年の総選挙では54議席を獲得して国政第3党に躍進した日本維新の会は、結局は海千山千の政治家に食い散らされてまさに断末魔の状態にある。


自民党を割った新自由クラブが既成政党に食いちぎられたように、2大政党の谷間に生まれた政党は、一時のブームだけが頼りでありブームが過ぎれば、しょせんは紙くずのように捨てられる運命にある。


維新の最大の欠陥は、橋下が大阪からの遠隔操縦で国政を牛耳れると判断したことにあるのだろう。石原慎太郎の人生最後の火遊びに利用されて分裂したかと思えば、今度はみんなの党を除籍された江田憲司が代表となった結いの党との合流で、いいように庇(ひさし)を貸して母屋を取られた。


すべてが目の届かない遠隔操縦に起因すると言ってよい。そしてついには2度目の分裂の憂き目を見ることになった。何のことはない。慎太郎も江田や松野も、ブームを利用するだけ利用しただけのことだ。


橋下は19日のツイッターで「維新の党は日本の国にとって百害あって一利なしです。これから潰しにかかります。これは政党交付金を少しでも国民の皆様にお返しするためです」と書いた。


仮にもかつて自らが指揮して有権者の選挙を経た議員らの政党を「百害あって一利なし」とこき下ろし、国民に政党交付金を返すと言うが、まるで「金返しやいいんだろう」と言うように聞こえる。国民にしてみれば「返してくれなくていいからまともな政治をして欲しい」というところだろう。


橋下は「党を作った者の責任として、維新の党を解散させる」と解党を宣言した。これに対して松野は「維新の党の財産が国庫に返納されるかのようなイメージを与えているが、実際に今解党したらマイナスしかない。国民に耳障りの良いようなイメージを与えている」と反論した。


返そうにも赤字で返せないということだが、貯金通帳と印鑑は橋下サイドが握っているのだから、返そうと思ったら返せる。今年の第3回分政党交付金約6億6000万円が維新の口座に振り込まれたばかりである。松野は「解散することは全くない」と反論するが、24日の臨時党大会に向けて主導権は橋下が握っており、阻止できるかどうかは疑問だ。


大阪派は議員の数は少なくても、党員数においては橋下が絶対的に有利だから、党大会では何でも決められる。では解党してどうなるかだが、幹事長・松井一郎(大阪府知事)は今後について「党を解散して、新しく出直そうということだ」と述べている。


つまり党大会での解散は「おおさか維新の会」結成のためであり、同時に松野らの「維新の会」をつぶす意図があるのだ。まさに今週末には食うか食われるかの段階に移行することになる。


しかし「本家」の象徴である通帳と代表印は、大阪が抑えており、これを守る議員まで常駐させている。松野は幹事長代行・松木謙公を大阪に派遣して印鑑と通帳の奪還作戦で本部に殴り込みをかけたが、新党組の衆院議員・井上英孝と浦野靖に追い払われてあっけない敗北をきっしている。


反大阪組の舌戦は激しさを増し、松野側の政調会長・柿沢未途は19日のツイッターで橋下を「通帳と印鑑をガメて大阪本部に立て籠もる「守銭奴」ぶりが報じられてしまったので、口とは裏腹の実態がバレて焦りがあるんだろうが、あなたはもう党員ですらないし、勝手に届出したら犯罪行為を構成しますよ」と書いた。橋下を守銭奴と呼び捨て、脅迫しているのだ。


しかしどちらかというと大阪組の反撃の方が激しく、松野組はたじたじとなっている感じだ。橋下が弁護士であることも、けんかを有利にしている。問題は仲裁に入る「留め男」が全くいないことであり、事態は泥沼化の様相だ。場合によっては政党内部の抗争が、訴訟による裁判沙汰になる可能性すら出てきている。


冒頭述べたが、このけんかは激しくなればなるほど両方が負ける運命にある。国民は、第三極の雄であった維新が、その理想とはほど遠い国政そっちのけの内紛を目の辺りにし続けるのだ。もともと第三極などは「風」が左右するものであるが、その末期症状は村会議員でもやらない醜悪さだ。


したがって党名を平仮名にしようが、ブームは生じない。橋下が国政選挙に出れば、少しは話題を呼ぶかも知れないが、これも限度があるだろう。「昔の名前で出ています」の印象が濃厚だからだ。むしろ当選したら手勢を率いて自民党に合流した方が結局は為になる。


民主党は松野ら出戻りを引き入れても、駄目と駄目の合併は駄目の二乗になるだけだ。いずれにしても勝つのは漁夫の利を占める自民党だけだろう。首相・安倍晋三はついている。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック