2015年10月23日

◆末期ガン患者の「在宅ケア」

毛馬 一三

末期ガン患者の治療などの「緩和ケア」を如何に進めるかが、いま大きな社会問題になっている。行政・医療機関・開業医が、末期ガン患者を在宅でサポートするため、如何にして有機的な連携を取れるかという課題だ。

しかしその連携だが、決して円滑だとは言い難い。医療機関で治療を受けている末期ガン患者が、<自宅で痛みをコントロールし自分らしい人生の最後を過ごしたい>と思ったとしても、現状は医療機関と地域ケアの軸となる開業医との取り組みが希薄な上、肝腎の「在宅ホスピス」専門開業医の不足が障害となっているからだ。

そんな中、大阪北千里で、医療法人永仁会・千里ペインクリニックが主催して「在宅ホスピス」の在り方を考える「勉強会」と「家族の会」とを兼ねた会合を、大勢の関係者が参加して開いている。

「在宅ホスピス」専門開業医の絶対数が極度に少ない大阪で、こうした「在宅ホスピス」現場の「会合」は、有効なものだ。

会合は、まず「在宅ホスピスとは・・」と題して、医療法人永仁会の松永美佳子理事長が、スライドを使って約30分間講演する。

@在宅ホスピスの意義A家と病院の違いAチーム医療の重要性とサポート体制B延命の利点・欠点C宅移行時の障害D入院に比べて費用は軽減E家と病院の違いF在宅ホスピスの課題などを軸に、医療現場での感激や悩み、それに病院との連携、経営維持の課題など現場で直面している諸問題について分かりやすく解説される。

特に「在宅ホスピスの意義」では、
☆最後まで自分らしい人生が送れる。
☆残された時間を有意義に使える。☆家族の絆が強くなる。
☆家族が死の受容をしやすい。☆みなが死について考える機会となる有意義性が顕著だと強調される。

また「家と病院の違い」の点では、点滴・各種ドレーン(体内の液を管で排出)の管理・人工呼吸など、(病院で行う手術・副作用の強い化学療法以外)殆ど家で出来ると、在宅ケアの実情を説明。

締め括りに取り上げた「在宅ホスピスの課題」は、患者のためには、より早い時期からの病院との連携が不可欠であることを指摘されると共に、通院していれば在宅医療を一切受けられないという現行制度の改正と、更には24時間・365日体制の経営維持ためには、関連諸制度の改正が避けて通れないなど、制度改正と医療機関との連携の重要性を熱ぽく訴え続けられる。

「在宅ホスピス」を利用した家族の声を聞いた。<在宅ケアに当ってくれた医師・看護師さんからの支えで、生前夫と心穏やかにゆっくり話が出来、なすべき事がすべて出来た。「在宅ホスピスの大切さ」を知ったし、この経験を広く伝えたい>と語っていたことを思い出す。

また末期ガンの母を看取った男性は、<在宅ホスピスのことを全く知らなかった私は、たまたまケアマネージャーから、ここ千里ペインクリニックのことを教えて貰った。知らないままだったら、家族で旅立つ母をおだやかに看取れなかった。まさに天が授けてくれた千里ペインクリニックだと思っている>と感謝の言葉もだされた。

問題はまだまだ山積している。医療機関と開業医の連携の問題もその一つだ。大阪厚生年金病院では、医師・看護師・ソーシャルワーカーなどによる「緩和ケア対策チーム」を結成、大阪厚生年金病院と連携できる開業医のピクアップを地域性や能力などの点から選定する作業に取り組む一方、ばらばらに実施している院内緩和ケアの現状を一本化する対策も進めていく活動が進められているる。

北千里で始った「緩和ケア現場」のささやかな運動が、他の診療所や医療機関にも波及して、「痛みで苦しむ患者の救済」に益々年毎に発展することを願っている。
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