2015年10月26日

◆中国は将来、必ず崩壊していく

石原 慎太郎




欲望が自らを蝕む原理

最近大学で同窓の気の合った仲間数人と会食した折、誰しもがこの国は将来は一体どういう事になっているのだろうかという、慨嘆とも危惧ともつかぬ言葉を口にしていたものだった。

私とてこのところ同じ漠たる感慨を抱きつづけてきている。それは今まさに激しく変動しつつあるこの世界の中でのこの国の立ち位置の危うさと、この国自身における天変地異ともいうべき現象を合わせた懸念に他ならない。

私個人についていえば私には4人の息子とその下に7人の孫がいて上の2人の女の子はすでに社会に出て1人は弁護士の資格を取得し、1人はすでに著名な銀行で忙しく働いている。彼女たちも間もなく結婚し子供も儲(もう)けるに違いない。

他の孫たちが社会に出て大人として働く頃のこの国のありさま、いやそれ以上にこの国を囲む世界全体の態様ははたしてどんなことになっているのだろうかと誰しもが思わぬ訳にはいくまい。

思えば私たちはいかにも良き時代に青春を過してこれたものだと思う。戦後間もなくの大学時代の粗末な寮生活で味合った貧困を懐かしくさえ思える高度成長の末の今日の繁栄は世界屈指のものに違いない。

私たちの世代が断片的に体験した戦争は、同窓の際どい年齢差の多くの先輩たちの犠牲でなりたち、それが引き金になって中世以来続いてきた白人による有色人種への一方的な植民地支配と収奪は、現今のヨーロッパの混乱と衰退が証すように終りを告げつつある。

トインビーが人類の歴史における奇蹟(きせき)と称した有色人種で唯一つの近代国家日本の存在は太平洋戦争を引き金に世界の歴史をようやく変貌させたのだ。

その日本なる国家は世界最大の火山脈の上に位置している国土の原理的な危うさを今や晒(さら)している。4年7ヶ月前の東日本大震災以来頻発する地震と、それとの関連性は明らかではないがこのところ頻発する火山の爆発はせまりつつあるものを暗示しているような気がしてならない。

専門家の所見だとあの大災害の後首都東京の地下で体に感じられなくとも敏感な機械には10分間に1度の地震が感得されていたそうな。

この夏の異常な暑さと水害の続発には、まさしく天変地異の印象が拭えない。しかしこれはこの日本人一人に限ったことではなしに地球の随所に見られる現象だ。

私は都知事時代に世界全体が存外呑気(のんき)にかまえている温暖化現象について警告してきたつもりだが、米航空宇宙局(NASA)のハンセン教授がかねて警告してきた通り北極海の氷は後数年で解けてしまうだろう。

世界中の氷河は解けて崩落し海水は膨れ上がり蒸発した水分は大気に溜(た)まり大雨となって地上を襲うという循環を誰がどう防ぐのだろうか。

この今になると40年前に東京で聞いた天才宇宙学者ホーキングの予言を思い出さぬ訳にいかない。この地球のように文明の発達した天体は自然の循環が狂って宇宙時間でいえば瞬間的、およそ100年間でその生命は消滅すると。

私が歴訪したツバルやフィジーといった赤道直下の島国は地球の自転で膨れ上がった海に埋没して滅びつつあった。これを食い止める術はないものなのだろうか。

亡き開高健が愛吟していたゲオルグの詩に真似(まね)て「たとえ明日地球が滅びるとも、君は今日林檎(りんご)の木を植える」べきなのではなかろうか。

我々の将来を規定するだろう隣国中国の将来について私はそう深く懸念してはいない。彼等(かれら)のような非人間的非合理的な政治体制は大都市に鬱積している、中産階級になりきれぬ知的な大衆の不満の爆発と、地方で抑圧されている多くの異民族の反発によって近々必ず崩壊していくに違いない。

かつてあの大陸に断片的誕生し消滅していった政権の歴史がそれを証している。しかしなお我々の世代がこの世を去った後のこの国、この地球について本気で思い量っておく事は未(いま)だ生ある老いたる世代の何よりもの責任に違いない。

文明の発展が育む人間たちの欲望が、実は自らを蝕(むしば)み滅ぼすという存在の原理をこの今にこそ自覚すべき時なのではなかろうか。

産経ニュース【石原慎太郎 日本よ、ふたたび】2015,10,24 
                  (採録:松本市 久保田 康文)

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