池田 法彦
1995年大阪東住吉区で保険金目的で自宅を放火し入浴中の少女を殺害したとして、無期懲役確定の実母と内縁の夫両受刑者に対する再審開始を大阪高裁が決定した。TV、新聞は20年振りの釈放と、それが警察・検察による冤罪だと匂わし、正義面して連日報道を繰返している。
この裁判は、一度は最高裁迄上告されたが、地裁・高裁の判決通り棄却したため、一審確定済の事件だったのに、3年後再審請求があり、2012年3月に大阪地裁で再審開始決定がなされた。
被告女性は前夫との長女・長男を引取り離婚、その後接客により知り合った内縁の夫が1990年に女の家に転がり込んだ。翌年家賃の高いマンションへ転居、ローンで車を購入した。ローン支払い等を含め生活が厳しくなり、1994年3月には、家賃の低いマンションへ再度転居した。
翌1995年1月新築マンション最上階の4050万円の部屋を売買仮契約し、頭金10万円を支払い、直後に女性実家所有の一戸建ての事件現場に転居した。9月迄に手数料170万円を支払う必要が有った。その2か月前7月に事件が起こった。保険金殺人事件として捜査が始まった。
事件3年前、内縁の夫に3千万円、娘に15百万円、更に事件4か月前に息子に2千万円の保険を女が掛けた。家計が厳しいのに、態々実子に計2千5百万円の保険を掛ける親がいるか。
事件の経過は以下の通りだ。7月22日小雨の夕刻4時半頃、家族4人全員が家中にいる最中、構造上家の1F半分の車庫からガソリン発火、全焼火災となる。家族3人は逃げたが入浴中の娘が逃げ遅れ、焼死した。保険の件がなければ、不審な事件でもなく、有り得る話ではある。
事件前、車はガソリン満タンで入庫。母親が勧めて娘は入浴した。4時50分頃発火、内縁の夫は消火器を借りるとして車庫経由で飛出し、母は家で119番をした。電話する余裕があるに拘らず、風呂場に娘を残したまま、息子だけを連れて裏口から逃げた。何故娘の入浴を促したのか。
「内縁の夫は飛出したものの近所から消火器を借りていない。母親は娘のことを気使う様子もなく、息子が姉は未だ家の中だと叫ぶ中、救助隊員からの呼び掛けに対し女は『奥におるんや』等と言うのみで、裏路地でしゃがんでじっとしていた」「被告両人はしゃがんでジッとしていた。」
「火災初期段階では、煙は殆ど出ておらず」目撃近隣住民は消化出来ないとか、車庫内に入れない状況では」なかったに拘らず「普通なら火中の娘を半狂乱になって救おうとするがしなかった。」
再審で決定を覆すのは困難だ。多くの場合正式釈放となり20年間留置の賠償請求が有り得る。最初否定するが、事件当日夜には自白し自供調書も書いた、夜弁護士に面談すると翌日自供を否定する、その繰り返しが数回有った。弁護士が否認を、都度唆していた、としか考えられない。
自白強要、暴力的取調があったと言うが、起訴に至る迄の間、弁護士から警察への抗議が有ったとは聞かない。再審開始決定をした水島地裁裁判長の判例歴では、加害者が無罪になる事が侭ある。強姦犯、轢き逃げ殺人等が無罪や執行猶予になることが多い。この人が再審を決定した。
出火原因調査の杜撰さが釈放理由だが、この裁判長は供述よりも実験を優先する人と見た。
別件だが親戚少女を強姦して懲役12年の刑の男がいた。今回の内縁の夫が、事件前に同居女の小学生の娘を強姦していたことは事実だ。改めて懲役12年の刑に服すべきだ。最近、加害者に優しい裁判官、事実関係無視で只管無罪主張の弁護士が増殖している。嘆かわしいことだ。