2015年11月05日

◆韓国限定版「女性基金」再構築がよい

杉浦 正章



対決よりも慰安婦に寄り添って“妥結”せよ


ギリシャの諺に「始めよければ半ば成功」(Well begun is half done)があるが、日韓首脳会談が、日本にとって良かったか悪かったかといえばよかった部類に属する。会談すること自体に意義があるからだ。


首相・安倍晋三は韓国大統領・朴槿恵の意固地なまでに固い殻をこじ開け、“追い込む”ことに成功した。しかし「半ば成功」は達したものの、問題は「後の半分」だ。慰安婦問題の「解決」は1965年の日韓請求権協定により「解決済み」であるから、


「妥結」という“新語”を合い言葉にしたのだが、これはどっちでも同じだ。煎じ詰めれば、慰安婦問題の妥結は早い話がカネだろう。韓国側のごり押しで中途半端に終わった「アジア女性基金」事業を日韓双方が受け入れられる形で再構築するしか手はないように見える。
 

蝋人形がようやく笑ったようで気味が悪いが、朴槿恵も相当大変だったのだろう。就任以来筆者が名付けた「告げ口」外交を展開、国際世論に訴えたが、しょせんは素人外交であった。主要各国はこれに乗らず、日本が戦後培った「信用」に破れたのだ。これを朴槿恵が愕然とするほど悟ったのは今年2月である。


米国務省次官・ウェンディ・シャーマンの発言が潮目を変えたのだ。シャーマンは「愛国的な感情が政治的に利用されている。政治家たちにとって、かつての敵をあしざまに言うことで、国民の歓心を買うことは簡単だが、そうした挑発は機能停止を招くだけだ」と発言、朴を戒めたのだ。


頼みの米国から突き放され、今度は最大の貿易相手国の中国主席・習近平だけが頼りの綱となったが、習は、対米分断が出来るからウエルカムであったものの、肝心の経済がバブルの崩壊でがたがたになってしまって韓国どころではなくなった。おまけに安倍が韓国無視で習との関係を構築し始め、まさに韓国は、政治経済両面で孤立化の危機に瀕したのだ。
 

韓国経済もウォン安で輸出が不振、当初は朴の「反日」路線を支持してきた財界からも対日関係是正の声があがり、朴の路線を支持した浅薄なるマスコミも、手のひら返しをし始めた。こうして大統領官邸・青瓦台あたりから、孤立化回避のための軌道修正の動きが出始めたのが4月頃からだ。


名付けて「2トラック」作戦。慰安婦問題と、外交・安保・通商を切り離すことにしたのだ。この基調路線が「安倍・朴会談」へとつながったのだ。会談はまず少人数で「慰安婦」を主議題に1時間、その後出席者を拡大して45分行われた。
 

その結果慰安婦問題は「早期妥結を目指して交渉を加速」で一致した。事務レベル協議の妥結の時期について朴は「年内」を主張、安倍はこれに応ぜず、「早期妥結」で一致した。出来てしまえば、こんなごく当たり前の意思確認がなぜできなかったのかと言うことになるが、一にかかって狭量なナショナリズムにこだわってきた朴に責任がある。

朴が急ぐのは来年4月に総選挙が予定されており、これへの影響を最大限抑えたいのだろう。しかし安倍だって夏に参院選挙を控えており、立場は同じだ。
 

安倍は「解決済みという日本の立場は変わらない。その中でどのような知恵があるのか。お互いの国民が完全に納得できることは難しいが、交渉を続けてゆく中から一致点を見出すことも出来る」と謎のような言葉を発している。少人数会談だけあって会談の中身はいまだに出てこないが、過去を分析し将来を予測すれば、人間のやることだから滲み出てくるものだ。


過去の政権が知恵を絞って出したのが「アジア女性基金」だ。一方で存命の元慰安婦は47人。筆者のない知恵とある知恵を絞れば2007年に中途半端のまま解散した「アジア女性基金」の韓国限定版の再構築がよいのではないか。基金の残額8000万にプラスアルファして「償い金」とする。これには韓国政府や民間企業も資金参加してもよい。


とりわけ韓国政府が金額の如何を問わず参加すれば、日本の世論への緩和剤として作用することは確実だ。要するに事の本質をを国家観の対立の焦点とせず、あくまで不幸な境遇にあった元慰安婦への「心の痛み」(安倍)と「思いやり」に置くべきであろう。既に民主党政権時代であるが、当時の首相・野田佳彦が「日本政府の資金を使った支援金」での打開を試みており、行き着くところは同じだろう。
 

これに先立つか並行して韓国政府がなすべき課題がある。それはこれまですべての問題の元凶であった、慰安婦支援団体の「韓国挺身隊問題対策協議会」を強権を持って解散させることである。


そもそも朝日の大誤報によって、「女子挺身隊」を慰安婦と間違えて名付けられた団体であり、日韓両政府の慰安婦問題解決に向けた歩み寄りをことごとく妨害してきた。


一市民団体が、慰安婦問題解決の「拒否権」を握っているのは、韓国政府自体にとって両刃の剣となっていることを心すべきである。加えて、あの忌まわしい銅像の早期撤去を推進すべきだ。日本にとっては全く痛痒の感じない慰安婦像だが、韓国にとって民族的偏狭性を世界に誇示している事に思いが到るべきだ。


ベトナムが多数の韓国兵によるレイプ、殺人問題で像を造ったとは聞かない。日本兵の買春とは比べものにならない残虐行為であった。朴訪米に会わせて行われた受難女性たちの抗議活動は、韓国の恥を世界にさらしたものであり、国家間においても「因果応報」はあることを思い知るべきだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)


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