2015年11月11日

◆「謝らぬ安倍」が日韓支持率を直撃

杉浦 正章



うなぎ登りの安倍に朴は低迷
 

ついつい自慢してしまうが、政治の予測が当たるかどうかが、もうじき後期高齢者になる年寄りの唯一の生きがいだから御寛容願いたい。


今度は世論調査予測が当たった。安保法制成立に際しての9月19日の記事で「安倍の支持率は一時的には下がるだろうが、新聞とはいえ私企業が行う世論調査などに一喜一憂する必要は無い。好きな外交に専念すれば、自ずと支持率は回復する。」と書いたがその通りとなった。


報道機関の調査では安保法成立の頃は支持不支持が逆転していたが、首相・安倍晋三の「好きな外交」が功を奏して読売、NHK、産経などで軒並み逆転が解消した。朝日だけがまだ逆転しているがこれは設問や聞き方に欠陥があるからだろう。
 

日本の世論の傾向でとりわけ注目すべきは、安保問題での議論の「一過性」であることだ。筆者は岸信介による60年安保による政権への不人気が、池田の所得倍増計画で吹き飛んで、半年後の総選挙で自民党が勝利を収めたことを指摘して、安倍の支持率の回復を予測した。


読売の調査によると、まず安全保障関連法の成立を「評価する」とした人は、成立直後の9月調査の31%から、10月は36%、今回は40%と2か月連続で上昇傾向を示している。要するに「アンポ」は国民に保革の対立軸をもたらすが、日本のような島国で平和な国にとっては「観念論」になりやすいのだ。


上昇傾向はとりわけ最後にその「観念論」の象徴である曲学阿世の学者に頼った野党の戦術も失敗に終わったことを物語るのだ。野党と学者らのやれ「戦争法案だ」やれ「徴兵制だ」という国民へのすり込みも、事が終わって冷静になれば安倍は戦争はしないし、徴兵制も実行に移さない。


自民党副総裁・高村正彦が「抑止力は伝家の宝刀だ。集団的自衛権が一部容認されたが、10年、20年と発動されることなく終わることを期待しているし、そうなると思う」と述べている通りである。安保改定でも安保法制でも目的は抑止力であることが賢明な国民にはやがて分かって来るのだ。


さらに見逃してはならないのは、日韓首脳会談への支持が日韓で大きな相違が出て、これが両国の内閣支持率の明暗を分けたことだ。会談を支持するかどうかは「支持する」が読売が76%、朝日が75%と圧倒的だ。


これに対して、韓国ギャラップの調査では「成果がなかった」とする韓国国民が46%で、「あった」の23%の倍となった。おまけに政権への支持率も安倍と朴で決定的な差が出た。安部内閣への支持は読売が5ポイントアップの51%、NHKが4ポイントアップの47%となった。


これに対して朴の支持率は支持・不支持が逆転して、支持がマイナス3ポイントの41%なのにたいして不支持がプラス5ポイントの49%となった。
 

この原因は何かといえば、簡単である。安倍が慰安婦問題で「謝らず」、朴が安倍を「謝らせられなかった」結果である。日本国民は朴政権になってからの韓国と言えば慰安婦問題での陳謝要求を繰り返す国という印象ばかりで、もう陳謝などはうんざりなのに対して、韓国民は愚かな団体に扇動されて首相が来れば謝るものという「癖」がついてしまったのだ。


安倍が朴政権の陳謝要求に対して徹頭徹尾応じない姿勢を維持したのは正解であり、日本国民はこれにやんやの喝采をしたのだ。国民は見るべきところをみているものなのだ。


一方韓国民は、当てが外れて矛先が朴に向かった。もともと朴は慰安婦をめぐる「反日強硬姿勢」だけが“売り”であり、その姿勢で韓国民に「すり込み」をしてきたことがあだとなって返ってきたのだ。「何だ。遠吠えだけか」という落胆が満ち満ちたのだ。
 

加えて朴の「狭量」さへの批判も生じた。安倍への昼食会すら拒否したことにたいして、本質的には「人の良い」韓国人が、やり過ぎではないかと反応したのだ。見送りに出た朴が「これからどうされます」と日程を聞いたのに対して安倍は「韓国料理を食べます」と嫌味ではなく答えたのだが、韓国民に「大統領は客に対する礼儀を欠いた」という反応をもたらしたのだ。


この世論調査の結果で気をつけなければいけないのは、朴が支持率挽回を目指して、また強硬姿勢に転ずる可能性がないかということだ。


11日から両国の外務省の局長協議がソウルで開かれる。日韓首脳会談で、いわゆる従軍慰安婦の問題について早期の妥結を目指し協議を加速させることで一致したことを受けたものだ。朴は10日、閣僚らに従軍慰安婦の問題について、「可能な限り早期に解決されることを望む」とのべた。


日本側は慰安婦問題について、「法的には解決済みだ」という立場を堅持したうえで、人道的な見地から元慰安婦に対する財政的な措置を検討する方針を固めつつあるようだが、朴の言う「年内妥結」への流れが生ずるかどうかは微妙だ。
 

とりわけ政局を一筋に読んできたプロとして驚がくするのは、自民党支持率の高さだ。読売では何と40%に達した。過去最高ではないかと思う。逆に民主党は7%と二ケタを割った。まるで国民は民主党政権3年3か月に対して、いまだに「遺恨試合」をしているかのようである。10日の予算委閉会中審査をつぶさに見たが、野党の追及のいいかげんさに記事を書く意欲も湧かなかった。


これでは臨時国会など開く必用は全くない。民主党は複数の問題が浮上する復興相・高木毅を追及したが、攻め手を欠くお粗末な質疑に終わった。高木の薄汚さはぬぐえないが、攻めるならもっと決定的な問題を独自調査でえぐり出さなければ駄目だ。新聞、週刊誌の切り抜きを掲げても、迫力はない。


自民党幹部が「返り血を浴びせる材料など腐るほどある」とすごんでいるとおり、野党も政権サイドに弱みを握られているのが実情だ。その他の問題でもテーマが拡散して、政権を追及しきれなかった。

<<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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