2015年11月16日

◆振り込め詐欺犯を封じ込めろ

川原 俊明(弁護士)


蔓延する振り込め詐欺。被害額は、全国で数千億円にも及ぶとされています。

独居老齢者などに対し、「息子」と偽り、「交通事故を起こした。至急、被害弁償金がいる。」など、緊急事態を装い、慌てた老齢者から、多額の金員を送金させてだまし取る手口。
 
各銀行では、ATMによる自動送金手続の前で、携帯電話を片手に送金しようとする老齢者に対し、注意を呼びかけていますが、それでも振り込め被害は後を絶ちません。
 
被害者が、一旦送金してしまえば、犯人に対する振込金返還請求はなかなか困難なのが実情です。

しかし、振り込め詐欺の仕組みには、当然のことながら、犯人側の銀行口座が開設されていて、振り込んだ金は、特定の銀行口座に入金されています。
 
それならば、銀行口座の開設・運営を厳重に管理してこなかった金融機関に責任はないのでしょうか。

銀行口座の開設は、昔と異なり、架空名義ではできない仕組みになっています。このため、振り込め詐欺の場合、他人口座を借用したり、買い取ったりしての口座利用が圧倒的です。
 
では、他人口座では、取り締まりは全くお手上げでしょうか。決してそうではありません。
 
現代の銀行取引は、すべてコンピュータ管理です。特定のプログラムにより、当該銀行口座の異常な入出金のデータは、一瞬にして判明でき、管理できるはずです。しかも、今年6月から、振り込め詐欺被害救済法施行されました。

この法律に基づき、振り込め詐欺被害者の依頼を受けた弁護士から、振込先の銀行に対し、送金先の銀行口座を凍結するよう申し入れると、警察への通報とともに、現実に銀行口座凍結の事態が実現できます。

振り込め詐欺被害者が、一刻も早く、弁護士からの手続をとれば、被害回復の可能性が生じるのです。

しかも、金融機関は、振り込め詐欺に利用した口座名義を、今後一切、口座開設を許さないことにしました。

安易に、犯罪に荷担して銀行口座を提供すれば、自分も、今後一切、銀行取引ができなくなるのですから、要注意です。
 
この事態は、振り込め詐欺にかかわらず、「ヤミ金被害」でも、同様の扱いがなされています。
 
ヤミ金業者は、超高金利をヤミでとり続け、脅しすかしで、被害者の骨の髄までしゃぶろうとしているのです。

被害者は、勇気を振り絞って、一刻も早く対策を講じるべきです。 (完・2008年)
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