2015年11月24日

◆中台会談、習近平の「中国夢」

Andy Chang



18日の日本経済新聞で中沢克二編集委員の書いた「中台会談、80秒握手の深謀.習氏の任期延長への布石」を興味深く読んだ。習近平は会談の結果で共産党総書記の三選を図るというのである。ところが中沢論文ついての読者コメントは中沢氏の見解に相反するものだ
ったのが面白かった。

中国に住む外人記者がメディアの報道を解読した予測と台湾で解読した予測は全く違う。台湾の報道でも国民党系メディアで予測するのと民間から見た予測は違う。

中国のメディアが習近平を批判することはあり得ない。台湾の国民党系メディアも馬習会談を批判しない。だが台湾人は馬習会に批判的で馬英九の支持率は9%以下だから、習近平が馬習会談を使って中国共産党総書記の三選を図るのは無理だと思う。2024年まであと
8年もある。この期間に何が起こるかは台湾だけでなく米国やアジア諸国の出方も見なければならない。

●中沢氏の「習近平の深謀」とは

中沢氏の記事、中国側の解読と台湾側の反応は大きな違いがある。簡単に書くと以下のようになる:

第一に、習近平は81秒の長い握手で中国と台湾の首脳が握手で和議に入ったという歴史的事実を作りあげたと言う。だが「中台会談」のを成果を大袈裟に報道したニュースはすぐに各国のメディアで否定されたように、「中台会談」ではなく、中華人民共和国の総書記と
中華民国総統の「中中会談」である。

中国メディアは歴史的握手と賛美したが、これは中国側の一方的解釈である。台湾は中国の領土ではない。中華民国は台湾に亡命した蒋介石政権である。1952年のサンフランシスコ平和条約で日本が台湾の「主権を放棄した」が中国に譲渡したのではない。台湾の国際
的地位は未定であり、中華民国には統一を協議する権利はない。

第二に、習近平と馬英九は「92共識」と「一つの中国」を強調し、統一の合意があるとする狙いがあった。中国の新聞はそう書いたけれど台湾では逆に台湾は中国の領土ではない、馬英九は売国奴だと糾弾した。つまり「一つの中国」を主張したため台湾独立の意識を
高める逆効果となり、合意は無かった事がわかった。

第三に、会議のあと習近平が強調したように、92共識と一つの中国を中台協議の条件とする。国民党が政権を失っても「一つの中国」の緊箍咒(きんこじゅ)で民進党を縛ることが出来る。国民党は中台パイプの影響力を維持し、馬英九は中台パイプ元老の権威を維持
できると言うのである。

だがこの意図は台湾では通じない。92共識は存在しない嘘である。台湾人は一つの中国を認めない、中国と台湾は二つの違う国である。一つの中国を条件にした協議は人民が承知しない。

●トウ小平の遺言から現在まで

中国の台湾政策は?小平によって企画され、周知のように中国共産党総書記は?小平の遺言により、江沢民→胡錦濤→習近平の移譲が指名された。?小平の遺言録音は中国共産党の機密だが知る人も多い。台湾問題について簡単に書けば次のようになる:

(1)台湾問題は中国の生死存亡、共産党の生死存亡である。
(2)台湾は香港と違って租借ではない。早急に解決すべきだ。
(3)出来れば胡錦濤の二期、2012年を越さないうちに解決すべき。
(4)江沢民は台湾問題で焦って冒険してはならない。

?小平の死後、江沢民、胡錦濤から習近平まで、中国共産党の主導者は?小平の遺言に沿って台湾併呑を計画してきた。台湾併呑は武力でなく「和平解決、不戦而勝」を目標としている。

それでも江沢民の時代には部下の陳良宇、王守業などが果断な手段で台湾を解決する計画を進言したが江沢民は拒否した。胡錦濤が2005年に軍の権力を手中にすると王守業、陳良宇は逮捕され、汚職の名義で処罰された。胡錦濤も習近平も政界や軍部の大物を粛清す
るときは汚職を理由にしている。

2002年に胡錦濤が中共総書記になると国民党の最高権力者の買収を始めた。胡錦濤は2008年6月に政治局拡大会議を開催し、彼の幕僚令計画が作った三つの主要計画、「台湾問題解決の政治戦略」、「台湾軍事闘争に関する預案」、「台湾統一に関する政治法律処置の預案」
を通した。この年に馬英九が政権を取り、連戦、宋楚瑜などが争って中国詣でを始め、中台貿易の利権を手にした。民進党の政治家も中国投資に熱中した。だが胡錦濤は2012年に台湾問題を解決するこ
とはできなかった。

習近平が総書記になったあとも和平統一路線を続け、馬英九も合作して強引にECFA(経済合作枠組み協定)、経済市場一体化と金融一体化を推進した。

台湾問題の外に習近平は「中国夢」を発表し、汚職追放、南シナ海進出など世界覇権の夢を推進した。中国の太平洋進出では台湾が最大の課題である。台湾を併呑すれば太平洋の東半分は中国の勢力範囲となる。

●「ヒマワリ学生運動」と台湾アイデンティティ

中国の台湾併呑計画が挫折したのは2014年のヒマワリ学生運動のおかげである。国民党が国会で強引に提案30秒だけでサービス貿易協定を通そうとしたために起きた学生の反対運動だった。

この運動のあと台湾人の反中意識が高まり、同年11月の総合選挙で国民党は惨敗した。こうして台湾人の反中、反統一が高まり、来年の総統と立法委員選挙では国民党の総統候補者・朱立倫は落選し、立法委員過半数も取れないと言われている。

馬習会談は一つの中国と中台のパイプを掲げて選挙に勝つことだが、逆効果で惨敗する可能性の方が高い。民進党が選挙に勝てば国民党の汚職追放、国民党違法資産の追及、司法改革、国民投票法改革などで独立意識が高くなる。

米国は中国の台湾併呑に反対だから中国の台湾に対する武力行使は出来ない。習近平は和平路線の他に方法はない。中沢氏の予測した習近平の総書記三選は実現しそうもない。
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