2015年12月23日

◆言論の自由が勝利した無罪判決 

西岡 力



産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に無罪判決が下された。私は起訴後、加藤記者と何回も会って話を聞いてきた。だから記者本人も、周囲の関係者も無罪判決が出るとはほとんど予想していなかったことを知っている。ただ、私は以下の理由で無罪判決が出ることも十分あり得ると思っていた。

 ≪主張貫き曖昧な決着を拒否≫

韓国の言論界や法曹界では無罪判決が当然だという意見はかなり多かった。行政機関である検察とは異なり、韓国の司法は大統領の意向に左右されることはほとんどないが、世論の影響を受けることはある。

今回の事案 は世論が沸騰する日韓歴史問題や領土問題とは全く関係ない。裁判官の中 に左派的考え方の持ち主が多くなり、北朝鮮スパイ事件などでは過去には あり得ないほど刑が軽くなったりしていたが、韓国内左派はむしろ朴槿恵 大統領のセウォル号沈没事故の処理を問題視し続け、名誉毀損での起訴を 批判していた。

判決は理路整然とした立派なものだった。例えば結論部分に以下のくだりがある。

〈韓国国民として、前支局長の見解には受け入れ難い点が多い。ただ、外国メディアの討論の自由を差別的に制限する合理的な根拠はない。前支局長が公益目的で記事を作成したという側面を考慮すれば、本件の記事も、言論の自由の保護の領域内にある。


不適切な点も多いが、このような言論の自由の側面を法理的に検討すれば、公人である大統領の名誉毀損、誹謗目的があったと断定するのは難しい。公的事案に関する名誉毀損の場合、言論の自由の価値に優位を置いて審査すべきだ。さらに、疑わしくは被告人の利益とすべきだ。〉

このような判決が出た背景の一つは、加藤記者と産経新聞が「記事は言論の自由の範囲の中にある」という点をきちんと主張し続け、曖昧な決着を拒否したことがある。一部では、判決期日が3週間延期されたのは、その期間に加藤記者から改悛(かいしゅん)の意思を引き出し刑の宣告を猶予することが検討されたためといわれている。

 ≪裁判官も共有した「価値」≫

12月16日付産経新聞によると〈宣告猶予とは英国や米国で発達した 制度で、日本は採用していない。裁判所が被告の有罪を認定した上で、刑 の宣告を猶予する。一定期間(韓国の場合2年)、別の件で有罪判決を受けなければ、刑事罰を免れるだけでなく、有罪判決自体が消産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に無罪判決が下された。私は起訴後、 加藤記者と何回も会って話を聞いてきた。だから記者本人も、周囲の関係 者も無罪判決が出るとはほとんど予想していなかったことを知っている。 ただ、私は以下の理由で無罪判決が出ることも十分あり得ると思っていた。

 ≪主張貫き曖昧な決着を拒否≫

 韓国の言論界や法曹界では無罪判決が当然だという意見はかなり多かった。行政機関である検察とは異なり、韓国の司法は大統領の意向に左右されることはほとんどないが、世論の影響を受けることはある。今回の事案は世論が沸騰する日韓歴史問題や領土問題とは全く関係ない。

裁判官の中に左派的考え方の持ち主が多くなり、北朝鮮スパイ事件などでは過去にはあり得ないほど刑が軽くなったりしていたが、韓国内左派はむしろ朴槿恵大統領のセウォル号沈没事故の処理を問題視し続け、名誉毀損での起訴を批判していた。

判決は理路整然とした立派なものだった。例えば結論部分に以下のくだりがある。

〈韓国国民として、前支局長の見解には受け入れ難い点が多い。ただ、外国メディアの討論の自由を差別的に制限する合理的な根拠はない。前支局長が公益目的で記事を作成したという側面を考慮すれば、本件の記事も、言論の自由の保護の領域内にある。〉

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