2016年01月01日

◆「習近平劇場政 治」は終焉だ

石  平



中国人民が、習主席が無能愚昧な「暗君」と気づく時 「習近平劇場政治」は終焉だ

「習主席アジア外交の惨敗」と題した前回の本コラムが掲載された前日の16日、米国のオバマ政権は台湾への4年ぶりの武器売却を議会に通知した。

11月のイージス艦の南シナ海哨戒活動の開始と同様、この挙動は 大国・中国に対する遠慮のない「挑発行為」ともいえる。逆に言えば「新 型大国関係の構築」を持ち出してアメリカをうまく丸め込もうとする習主 席の対米外交が再び「惨敗」を喫することとなったのである。

就任以来数年間、習主席はずっと、外交上の成功を政権の浮揚策として利用してきた。増大する経済・軍事力をバックにしてアメリカと対等に渡り合い、世界を凌駕(りょうが)する「大国外交」を展開する。そうすることによって国内向けには、自分自身の政治的権威を高め、権力基盤の強化を図る。それが彼の一貫した政治手法である。

そのために彼は、たとえば対米外交に関しては、オバマ政権との対話の窓口を独り占めしてきた。首相の李克強氏は就任以来一度も訪米を果たしていない。中国の首脳外交は今、習主席の「1人劇場」となった観がある。

しかし今年になってから、「反腐敗運動」も徐々に熱が冷めてきた。定年退職となった周永康氏などの「元大物」たちの摘発を一通りやってから、党内と軍内で隠然たる力をもつ本物の長老たちや現役の反対勢力の厚い壁にふさがれた習主席は、期待値の高まった国民にそれ以上の「出し物」を提供できなくなった。

この1年間、習政権はもっぱら「北京副市長」や 「上海副市長」など「副」のつく地方幹部を摘発のターゲットにしてきた が、この程度の「反腐敗」では国民の関心と喝采をつなぎ留める「劇場効 果」はもはや期待できない。

外交上の「習近平劇場」が白けてきたのと同時に、「反腐敗」という習政権最大の「演劇」もいよいよ、幕を下ろすときが迫ってきている。

その中で、習主席の演じてみせた「天下無敵の大国外交」はただのほら吹きであること、国内の反腐敗運動が単なる「期間限定」のパフォーマンスであることが分かってきた。国民の多くはやがて、今までの興奮からさめて目の前の現実に目を転じていくのであろう。

そしてその時、彼らが目にしたのは結局、習政権の下でますます悪化してきた経済状況と、習政権になってからますます深刻化してきた大気汚染などの厳しい現実だ。賢明な中国人民はこれで、「演劇上手」な習主席が実は無能愚昧な「暗君」にすぎないことに気がつくのではないか。

浅はかな「劇場政治」の終焉(しゅうえん)とともに、習主席の権勢が落ち目になるのは間違いない。来年からの習政権は一体どうやって延命を図るのか。

                  
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【プロフィル】石平

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

産経ニュース【石平のChina Watchch】 92015.12.31  
     

        
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