2016年01月17日

◆平成28年展望

上田 和男



■新元素「ジャポニウム」 米独露の独占を崩した誇るべき成果

冒頭から余談を挟み込ませていただきますが、年号には3種類あり、第1に「紀年法」(開祖に因み無限に継続される)、第2に「元号」(君主の即位退任等有限でリセットされる)第3に「干支(60年周期)」や「インディクテイオン(15年周期)」など循環式システムによるものがあります。

紀年法でいうと今年は、ユダヤ創生・紀元暦5777年、皇紀(神武国)2676年、釈迦入滅・仏暦2559年、キリスト生誕・西暦2016年、ヒジュラ(マホメット聖遷)イスラム暦1437年…となります。この中で一国家として紀年を継続しているのは日本だけで、世界最古の国家ということが分かります。

しかも、紀年法2種に加え、元号暦も干支暦も併用するといった融通無碍に多数の年号を使用する国は世界に皆無です。これからしても、日本文化が世界を取り込む融合術を持つ特異性を示しているといえましょう。

さて、話を本題に移します。平成28年は、嬉しい話で明けました。日本の「理化学研究所」が「新元素113番」を発見したことで認証確認を受け、“知の集大成”と呼ばれる「周期表」に、アジア初の快挙として、新規登録されることになりました。

科学技術の世界では、ノーベル賞受賞をはじめ、わが国は世界の最先端を走ってきましたが、「周期表」の分野においてもついに、米独露の独占を崩すに至ったのです。

命名権を得て「ジャポニウム」と命名される予定の新元素は、平和目的である原子核研究の一環から、核融合反応で元素合成に成功して生まれたものです。

誇るべき成果であり、唯一の被爆国日本が、世界の平和をリードする上でも、お墨付きを得たことになると考えられます。

■技術大国・日本の巻き返しは「原点回帰」で

青色発光ダイオードで世界をリードした日本ですが、プラズマや液晶ディスプレー
に関しては、アジアの追随者に模倣を許し、ソニー、パナソニック、シャープなど大手家電メーカーの苦戦が続いています。

しかしながら、「有機EL」の分野では進化の余地はまだ残されています。発光効率の向上と、より高機能な単一層のデバイス創作に取り組んでいるのは、九州大、東北大、京都大、東京大などのわが国の研究者たちで、軽量小型化の極致として、伸縮自在で曲げても折り畳んでも機能が維持される「有機電子部品」の実用化が待たれます。

先の大戦で、世界最大の工業国、最先端の技術国アメリカに敗れた後、奇跡的に「追いつき追い越す」ことができたのは、努力、勤勉、誠実、職人精神、忍耐力、協調チームワーク、創造力、細心器用さ、粘り強さ、学究・工夫力…といった日本人の伝統的な文化文明の独自性の賜であって、こうした原点への回帰を忘れなければ、わが国の巻き返しもかなうはずです。

■歴史戦 中韓の暴走にブレーキが掛けられるか

一方で、わが国の苦戦が続きそうなのが、近隣諸国に苛まれている諸難題と歴史戦でしょうか。北朝鮮による拉致被害者の帰国や北方領土や竹島の奪還など長年の懸案事項はなかなか実現しそうにありませんが、米国や国連まで巻き込んでの中韓による歴史戦の解決もなお時間を要すると思われます。

中韓が連携して捏造史を世界に向けて謀略喧伝する反日活動に関しては、中韓を責める前にわが国自身も深く反省・自覚すべきことがあります。朝日新聞をはじめ、左派ジャーナリストや一部の文筆家・学者・弁護士らは、史実にもとる自虐的な捏造史をばら撒き、中韓の“応援隊”を買って出る愚挙を犯しました。

その上、多くの与野党政治家や外務官僚は、国益をわきまえない“自縄自縛外交”を繰り返し、問題が大きくなるまで放置してきました。

ここへきて、遅ればせながら、現政権がこの問題解決に本腰を入れ始め、良識派の史家、学者、正道派の評論家・ジャーナリストらが世界へ向けて積極的な言論活動を継続するようになりました。

これに呼応するように、親日派で史実を良く理解している海外の有力オピニオンリーダーたちが、慰安婦問題や南京事件の嘘を暴き、強力な応援活動を展開してくれるようになり、ようやく中韓側の暴走にブレーキが掛けられるところまできたように思います。

■反日戦略の矛先鈍るも油断大敵

そんな中、中韓両国の経済低迷が内政の混乱を招き、反日戦略の矛先を鈍らせているかに見えて来ました。

中国は南シナ海問題で米国の糾弾を受けて外交的孤立を深め、内政面でも大事故や環境汚染も絡む抗議ストが続発し、汚職摘発が内部抗争を激化させているようで、「政治的反日派」と「経済的親日派」の綱引きも聞こえてきます。

一方、韓国では、歴史教科書の国定化をめぐって左右両派の対立が激化し、朴槿恵大統領退陣要請デモ隊が10万人にも達したそうで、内政面での経済対策を含め、反日の狼煙がどう変化するかを見極める必要があります。

今般、米国の差し金なのか、慰安婦問題の外交的な決着を急ぐかのような両国外相声明発表がありましたが、その文言は曖昧であり、今後とも論争と慰安婦像設置運動は不可避と思われます。

中国や国連、米地方議会をも巻き込んだ案件だけに、大切な詰めは、韓国のみを対手とせず、国連と米国、およびその他世界の良識派に向かって、史実(虚偽の訂正)に基づいた反論をし、「中韓両国こそが歴史修正主義者だ」という明確な宣伝広報を積み重ねることだけが、汚名を返上する最善の手立てであると確信致します。

■FRB利上げ、日本にとって吉か凶か

世界経済で少々気にかかるのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げです。BRICS新興国を含む世界の資金が米国へ移動する速度と量の多寡によっては、市場の

波乱要因となりかねません。中でも実質経済が見かけより悪化している中国の資金の急激な流動化が進むと、世界の景況にかなり甚大な負の影響を及ぼす「押し下げ圧力」になる恐れがあります。また、せっかく米経済(ことに製造業)が復活中なのに、中国に買ってもらえないとブーメラン現象になってしまいます。

わが国にとっても、資金の米国集中度が高まりすぎ、円のドル調達コストが急上昇してしまうと、ドル資金確保に不自由を強いられ、金融業や輸出産業戦略に齟齬をきたす恐れが出てきます。

もっとも、過去の実例を見ると、利上げ後は日本の実質輸出が上向きに転じているので、米国実体経済さえ堅調であれば、わが国には追い風と見るべきかもしれません
が…。

グローバル金融政策に関しては、世界政府機能を発揮すべき国連、G7などが頼りにならぬ以上、FRBのイエレン議長、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事、日銀の黒田総裁ら、世界的金融リーダーたちがそれぞれの領域を踏み出して、世界を俯瞰する智恵を分かち合って、世界経済の安定を図っていただきたいものです。

■米大統領選、共和党候補選出に注目

「世界のリーダー」に目を転じると、政界では、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平主席といった“悪代官”が目立ち、併せて、米国のトランプ氏やフランスのルペン氏のような“過激派ポピュリスト”が結構人気票を集めております。

いずれも、民族宗教闘争をかかえる中、国際テロ、難民問題などに対する言動には「言論と暴力、自由と規律、権利と義務、競争と平等、福祉政策」などの政治難題に関わる大いなるジレンマが背景に見え隠れします。

ちなみに、米大統領共和党候補に関して私見を許していただければ、トランプ氏が最終的に選出されるか否かについては、かなりの疑問を持っております。

私の一押しは、マルコ・ルビオ上院議員(キューバ移民2世で弁護士、44歳、外交委員会で東アジア委員会筆頭を務めた)です。雄弁で「共和の星」と人気を集め、移民政策にも合理的な制度改革を示し、しかも対中強硬派で日米関係にも理解が深く、「アジアの安保を重視する」と主張しています。彼が一番政策的バランスが取れており、指名獲得を願ってやみません。

ワシントンの外交専門家や米国の知友たちの風評では、民主党の指名を受けそうなヒラリー・クリントン女史の対抗馬としては、ルビオ氏が最も脅威の強敵になれるといい、しかも共和党が勝つ可能性が大なのだそうです。

■喫緊の問題は「地球温暖化対策・二酸化炭素削減」レベルではない

最後に、地球規模の問題、人類社会の課題について展望したいと思います。COPが提唱する地球温暖化対策・二酸化炭素削減が話題の中心を占めていますが、世界が現下に取り組むべき最も重要で喫緊の問題は、もっと幅の広い、総合的環境対策だと思います。

大気と水(地表・地下の全て)、および土壌の汚染除去、宇宙や海陸上のあらゆるゴミの排除であるべきだと提言致します。

 地球温暖化には、そもそも疑問があり、気象学者や天文学者によれば、地球は長期的視点からは、むしろ寒冷化に向かっているそうです。平均気温の1〜2度上昇などは、太陽黒点移動次第で一挙に吹っ飛び、100年1000年の経時で、10〜20度も降下するケースがあることは、地球の歴史を顧みれば明白です。

ちなみに、北極の氷が解けても海水は上昇せず、ツバルが沈んでいるのはサンゴ礁沈下による現象で、実は米国東海岸で水位が下がっているそうです。

また、南極の氷は中央部でより高くなっていて、その圧力があがり、臨海部が押し出されて崩れるところだけを写真にとって、北極も南極も氷が解けだしたと大騒ぎする報道には、疑問を禁じ得ません。

一説に、欧米主導でCO2排出量を取引材料として、金融投資対象にしようとする一部政治経済界の暗躍も囁かれる中、人類にとって生存を脅かす問題点の排除と食料の確保など抜本的な対策こそ急ぐべきでしょう。

仮に少々の温暖化が進んでも、シベリアやカナダのツンドラ地帯への熱帯・砂漠地方からの移住者が増え、穀菜果実類が栽培可能となることで、世界の食糧自給が大幅に改善される方が、地球万民にとってはるかにメリットが高いはずです。

元来、軍事目的でスタートした宇宙開発にも見直すべき課題が増えています。仮想敵としての衛星をやたらと打ち上げ、それをミサイルで打ち砕く実験を繰り返した中国が、宇宙空間に膨大な大小ゴミを撒き散らせたままとなっているそうです。

この宇宙ゴミがいずれ航空産業の危険物に転ずる恐れがあり、早急な規制なり回収義務形を課すべきではないでしょうか。

いずれにせよ「地球民が挙って人間らしく生きられる新世界を築く」努力が急務だと信じます。



           ◇

【プロフィル】上田和男(こうだ・かずお) 昭和14(1939)年、兵庫県淡路島生まれ。37年、慶応大経済学部卒業後、住友金属工業(鋼管部門)に入社。米シラキュース経営大学院(MBA)に留学後、45年に大手電子部品メーカー、TDKに転職。米国支社総支配人としてカセット世界一達成に貢献し、57年、同社の米ウォールストリート上場を支援した。その後、ジョンソン常務などを経て、平成8(1996)年カナダへわたり、住宅製造販売会社の社長を勤め、25年7月に引退、帰国。現在、コンサルティング会社、EKKの特別顧問。

産経ニュース【日本千思万考】2016.1.14
             (採録:松本市 久保田 康文)


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