2016年01月28日

◆岡田氏の憲法議論は周回遅れ

阿比留 瑠比


「立憲主義を理解しない安倍晋三首相の下で憲法改正を議論すると、憲 法そのものの破壊になる」「首相はまず改正ありきだ。70年間、国民が 憲法を育んできた事実をどう考えるのか」「安倍首相のもとでの憲法改正 は極めて危険だ」…。

民主党の岡田克也代表は憲法改正問題をめぐり、ずっとこんな風に述 べ、安倍政権下では議論にも応じない考えを表明している。

岡田氏は「連合国軍総司令部(GHQ)の素人がたった8日間で作り上 げた代物だというところから、憲法改正が出ているから非常に問題だ」と も指摘するが、周回遅れの議論を聞くようでピンとこない。

岡田氏が現行憲法を後生大事に保持し、国民が戦後、憲法の精神ととも に歩んできたかのように言いたいのだろうとは推察できるが、それは事実 だろうか。

例えば、GHQのマッカーサー最高司令官は占領下の昭和26年元日、 日本国民に与える年頭のメッセージでこう強調している。

「日本の憲法は国政の手段としての戦争を放棄している。(中略)しかし ながら、仮に国際社会の無法状態が、平和を脅かし人々の生命に支配を及 ぼそうとしつづけるならば、この理想があまりにも当然な自己保存の法則 に道を譲らなければならぬことはいうまでもない」(江藤淳氏著『一九四 六年憲法−その拘束』)

マッカーサーはその前年6月に勃発した朝鮮戦争に伴う戦略的空白を埋 めるため、国会審議による法律に依拠せずGHQ命令を実行させるポツダ ム政令を発して、日本政府に警察予備隊を発足させた。予備隊は27年に 保安隊となり、現在の自衛隊の前身となった軍事組織だ。

自身が21年2月に、現行憲法の草案作成を担当したGHQ民政局に命 じた守るべき3原則(マッカーサーノート)の中で、次のように明示して いたにもかかわらずである。

「日本は、紛争解決の手段としての戦争のみならず、自国の安全を維持 する手段としての戦争をも放棄する。日本は、その防衛と保全とを、今や 世界を動かしつつある崇高な理想に委ねる」

つまり、米国の意向で戦争放棄条項を押し付けてみたものの、国際情勢 が変化してその「理想」が邪魔になってきたので、「自己保存」に励みな さいというご都合主義の堂々たる表明である。憲法の生みの親である米国 にとっても、憲法の精神など所詮その程度のものだったというわけだ。

江藤氏によると、28年12 月に来日したニクソン米副大統領(当時) も日米協会での演説で、憲法による日本の非武装化は誤りだったとこう公 式に述べた。

 「私は合衆国が1946 年に誤りをおかしたことを認めます」(同書)
自民党の稲田朋美政調会長が「29年に自衛隊が創設され、(憲法が現状と)全く合わなくなっている。憲法の中で一番空洞化しているのは9条2項だ」と指摘している通りだ。憲法の精神は米国の意向に振り回され、とっくに踏みにじられているのではないか。

岡田氏が言うように国民が憲法を育んだというより、戦後ずっと憲法は米国製のまま、国民は全く手に触れることすらできなかったというのが実態だろう。

「改正されれば(国民)自らの手で新たな憲法をつくる初めての機会となる」

安倍首相は21日の参院決算委員会で強調した。岡田氏の後ろ向きな発言より、はるかにわくわくする。(論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2016.1.28
 

      
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック