2007年05月30日

◆あぁ事件は潰れた


                      渡部亮次郎

私は事件記者も検察記者もしたことは無いが、松岡農水相に続いて緑資源機構の「陰のドン」も命を絶った。29日、機構の前身、旧森林開発公団の山崎進一・元理事(76)が自殺したことで「あぁ、これで事件は潰れた」という東京地検特捜部の嘆きが聞えてくる。

私の配信しているメルマガ「頂門の一針」817号(2007・05・28)に松岡利勝はなぜ死を選んだか、という月刊FACTAの直前記事が載った。最新号(6月号、5月20日発売)の記事である。

松岡利勝農水相が5月28日、首吊り自殺した。緑資源機構の談合捜査に絡んで、東京地検特捜部の標的となっていたというのが、大方の想像する自殺の理由だが、特捜部の捜査はどこまで松岡氏を追い詰めていたのか。

調査報道の月刊総合誌「FACTA」(6月号、5月20日発売)の記事(「現職閣僚めがけ東京地検が臨戦態勢」)は、直前の切迫した状況を克明に追っているので、ここに公開する。彼はなぜ死を選んだのか……。

<連休明け応援検事を招集して態勢を拡充。緑資源機構の官製談合事件はいよいよ風雲急だ。YAHOOニュース5月28日より転載。

独立行政法人緑資源機構の林道工事をめぐる官製談合事件と、松岡利勝農水相周辺の捜査は、着々と進んでいる。東京地検特捜部は応援検事を全国から集め全力を傾けている。

これまで捜査に横槍を入れてきた法務省側にも変化があり、政権中枢にいる現職閣僚周辺のウミを出す日が近づいているようだ。特捜部が時の権力に真っ向から立ち向かうのは、1998年の大蔵汚職以来となる。

「頑張ります。熊崎さんのときのように闘いたい」。東京地検特捜部長の八木宏幸氏は1月16日の就任直後、元特捜部長の熊崎勝彦弁護士らとの会合で決意表明した>。

緑資源機構の「陰のドン」。機構の前身、旧森林開発公団の山崎進一・元理事(76)がなぜ自殺したのか。連日、任意取調べに当った東京地検特捜部の検事はその理由を知っている唯一の人。だが公には絶対、口を開かない。

しかし、週刊誌記者崩れのいわゆるフリーライターか現役記者がアルバイトに書いた調査報道の月刊総合誌「FACTA」最新号(6月号、5月20日発売)の記事はおそらくすべてを証言している。

私が大臣秘書官として仕えた外務大臣園田直(そのだ すなお)は松岡大臣と同じ熊本県人だった。私は北国・秋田県人。語られる熊本についてのすべてが珍しかったが、土建屋とやくざを一緒にして「よごれ」と言い捨てるのが珍しかった。「汚れ」である。

松岡氏が熊本県阿蘇町の農家に生まれながら旧熊本藩の藩校熊本県立済々黌高等学校を卒業したというのは大変な秀才と尊敬される。しかも鳥取大学農学部林学科を卒業したとはいえ、1969年に農林水産省に入省し、ノンキャリアながら、大臣官房企画課、天塩営林署長、国土庁山村豪雪地帯振興課課長補佐から林野庁広報官という経歴は尊敬を高めた筈である。

だが、ここに落とし穴があった。ノンキャリアにしては着実すぎる出世の裏である。現役当時から多分、裏金作りに長けていた筈である。それを有効に使ったからこそ他人に優る栄達があったのである。それだからこそ代議士になる夢も現実になり、農林水産大臣、ひいては総理総裁の夢も抱いてなかったとは言えない。熊本では斯くの如き人物も「汚れ」という。

<「またも自殺者が出るとは」。検察関係者は29日朝、キーマンの自殺を知り絶句した。

山崎元理事は公団発足(1956年)当時からの職員。業務部長などを経て88年10月〜90年10月、理事を務めた。担当は今回事件の舞台となった林道部門など。

発注権限を一手に握った山崎元理事は90年ごろ、天下りを多く受け入れた企業や公益法人に優先的に業務を回すため、出先機関から配分案を吸い上げ公団本部で決定する現行システムの原型を作り上げた。

「自分は山崎さんから直接引き継いだ。最近も割り振り済みの業務に介入してきて、受注先を差し替えたことがあった」。24日に独占禁止法違反容疑で逮捕された高木宗男前理事(59)=解任=は逮捕前、周辺にこう語り、関係者は山崎元理事を「陰のドン」と呼んだ。

山崎元理事には「政界とのパイプ役」というもう一つの顔があった。副会長を務めた機構の受注業者でつくる特森協は、表裏一体の政治団体「特森懇話会」=解散=を設立。

03〜05年、この懇話会から21人の国会議員に計822万円の献金があり、うち計120万円が松岡氏に渡った。

支援企業と特森協は、談合事件の裏で極秘裏に進めてきた政界捜査の焦点で、山崎元理事は真相を語ることができる重要人物だった。松岡氏の後を追うかのような自殺。「林野の闇」の実態解明が遠のこうとしている。>5月29日15時15分 毎日新聞



<「頑張ります。熊崎さんのときのように闘いたい」。東京地検特捜部長の八木宏幸氏は1月16日の就任直後、元特捜部長の熊崎勝彦弁護士らとの会合で決意表明した。


八木氏は就任記者会見で「特捜部に期待されているのは、政官財の不正を見つけて解明することに尽きる」と言い放ち、法務省幹部は「何をやろうとしているのか。ネタがあるのかな」と早速、部下に探りを入れるように指示したとされる。松岡農水相周辺が絡んだ緑資源機構をめぐる疑惑は、そんな中で浮上した。

「緑資源機構の林道工事受注先の関係者が特捜部の事情聴取で、松岡農水相周辺へのヤミ献金を供述し、農水相周辺には、特捜部に寝返った関係者もいると言われている。

このため、緑資源機構の談合は公正取引委員会の行政処分で終わるはずだったが、その事件化が決まった。こうした情報はもちろん法務省にも入っているが、ライバルがこけて昇格した『昼行灯』の大林宏事務次官や、佐賀地検検事正時代に起訴した北方事件の無罪が確定し、威信が失墜した小津博司刑事局長は手出しできないだろう」と検察関係者は明かす。

一方、現在の但木敬一検事総長は法務省の秘書課長、官房長、事務次官を歴任。与謝野馨前経済財政相らと気脈を通じ「国会対策のプロ」と評された。通信傍受法や司法改革関連法の成立などは、但木氏の力に負うところが大きいとされる。

「だからこそ、但木氏は政界捜査に前向きだ。もし、横槍を入れたりしたら『やっぱり』と言われ、現場の信頼を失うことが目に見えているから」と前出の検察関係者は解説する。

司法制度改革審議会の事務局長などを務め、次の検事総長最有力候補にまで駆け上がった東京高検の樋渡利秋検事長も、事情は但木総長と同じだ。さらに、八木氏の上司に当たる東京地検検事正には、元特捜部長で現東京高検次席検事の伊藤鉄男氏が近く就任する予定。伊藤氏は八木氏に「頑張れよ」と盛んに発破を掛けているという。


閣僚周辺捜査は参院選後

八木氏を支える態勢は次第に固まりつつあり、部下の検事も4月から増員された。特捜部のメンバーも大鶴前部長当時とは入れ替わり、応援検事とともに、緑資源機構の幹部、同機構のコンサルタント業務や林道工事の受注先関係者らの事情聴取を続けている。

すでに落札率を下げるために受注予定業者に予定価格の95%以下で入札するよう指示したとされる同機構理事らが捜査線上に浮かんでいると報じられている。

さらに、受注先の企業や公益法人で組織していた「特定森林地域協議会」(昨年11月解散)や、その政治団体「特森懇話会」(今年1月解散)と松岡農水相周辺との関係などにも、注目している模様。

5月2日付の東京新聞は特森協議会が受注実績に応じて各会員から年会費を徴収していたと報じた。これによると受注2千万円につき7万5千円を集める仕組みで、総額は年数千万に上るという。受注高に応じた特森協議会への「上納システム」だった可能性もある。

公取委と共同で捜査をしている特捜部は連休明けに応援検事を招集して捜査態勢をさらに拡充、いよいよ風雲急だ。5月中にも、林道のコンサルタント業務などをめぐる談合事件で、林野庁から天下った緑資源機構や受注先の幹部らを逮捕したうえ、林野庁OBでもある松岡農水相周辺の捜査を本格化させる方針と見られる。

「現職閣僚にメスが及ぶのか。松岡農水相周辺に捜査が迫るのは7月の参院選の後だろう。汚職は出なくとも、政治資金規正法違反のヤミ献金だけでも立件すると言われている」とある司法記者は話す。

これに対して、捜査の対象となっている側には「検察の女性スキャンダルや調査活動費問題などで揺さぶりをかける動きがある」(関係者)。捜査をめぐる水面下の攻防は熾烈をきわめそうだ。>「FACTA」(6月号、5月20日発売)。松岡氏はこれを読んだのだろう。

阿倍総理大臣は天下りが根源にある公務員の腐敗を正すために当該事件捜査の行方を注目していたのだろうが、捜査の火の手が足元に及んでいることに気付かなかった。人生経験の少なさである。

分かっていれば長老をして松岡氏を説得。早くに辞任させたであろうが、もはや左様な技を発揮できる長老は皆死んでしまった。元総理大臣というのもいないことは無いが、殆ど木偶坊しかいない。
2007・05・29
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