2016年02月18日

◆敵基地攻撃能力が最大の課題に

杉浦 正章
 


北の体制崩壊しか拉致解決の道はない


中国国家主席・習近平は自国の「戦国策」に「賊に兵を貸し、盗に食をもたらす」ということわざがあることを知らないらしい。方法を誤って悪を助長させるたとえだ。

北朝鮮という「夜盗国家」を増長させている原因はすべて中国にあることが、金正恩が核とミサイルを誇示する度に鮮明となっている。その北朝鮮が今度は制裁を科した日本への報復として、拉致問題の再調査中止と調査を担当する「特別調査委員会」の解体を表明した。


もともと最初から筆者が指摘してきたとおり、「遺骨で資金調達」の国際的な大ばくちを打ったのが調査委であり、それがばれれば解体するしかあるまい。藁(わら)をもすがる気持ちで希望をつないだ被害者家族の苦衷は察するに余りがある。


しかし残念ながら、もはや拉致問題は完全に行き詰まった。かくなる上は秘術を尽くして北の体制を崩壊に導くしか、解決の手段はないだろう。ヒトラーと酷似する独裁者・金正恩の極東支配の野望の芽を摘まなくして、すべての問題は解決しない。また座して死を待つべきではない。北の核基地をつぶす敵基地攻撃能力の保持に動くべきだ。


筆者が拉致問題で指摘してきたレベルの話を、まさか政府が知らずに遂行するはずはない。北は金目当てであったのであり、拉致問題の解決は至難の業であることは誰でも承知している。安倍内閣も最大の課題の一つとしての看板をはずそうにも外せない構図があるが、しかしもう正直にその困難性を認めるべき時かも知れない。


日本政府が認定した拉致被害者は17人。北朝鮮政府側は、このうち13人について、日本人拉致を公式に認めており、5人が日本に帰国しているが、残り12人については「8人死亡、4人は入境せず」と主張している。


この8人死亡の意味するところは、特殊工作機関がその存在と工作の実態の漏洩を恐れて「抹殺」したのであろう。20代〜30代の若さでガス中毒、交通事故、心臓麻痺、自殺など不審な死に方ばかりであり、これははっきり言って消されたのだ。「入境しない」とは日本海に沈めた事を意味すると思う。


ここをしっかりと事実関係として受け止めて対処するしかない。拉致問題だけの進展を期待してももはや不可能となっているのだ。
 

それではなぜ1年半前に北が調査委を設置したかと言えば、すべては資金調達だ。米兵の戦死者は8000人で、その遺骨1柱につき1万ドルから3万ドルを支払っているとされる。一方で北朝鮮にある日本人の遺骨は、厚生労働省によると2万1600柱ある。そのほとんどが戦争直後の混乱で死亡した人たちであるが、1柱3万ドルを日本からふんだくれば600億円となる計算だ。


これにミニヒトラーが浅薄にも目をつけて、資金をせしめようと動いたのが調査委の実態だ。だから拉致被害者の調査などは、もともと行おうにも不可能であったのだ。
 

100人もの軍人や党幹部をを粛正する異常なる独裁者に指導される国家に対抗するにはどうすべきかと言えば、既に書いたようにヒトラーをのさばらせたチェンバレンの融和策の愚を繰り返さないことだ。その融和路線排除を鮮明にさせたのが朴槿恵の16日の国会演説だ。


朴は開城(ケソン)工業団地の操業を全面中断したことについて「我々が国際社会とともにとっていく措置の始まりに過ぎない」と述べ、北朝鮮に対しさらなる対抗措置を講じる考えを示した。その上で「北朝鮮政権が核開発では生存できず、むしろ体制崩壊を早めるだけだという事実を痛切に悟り、自ら変化するしかない環境を作るため、より強力で実効的な措置をとっていく」と強調した。


これは核開発が体制を崩潰させることをを指摘しただけではなく、体制崩壊まで「強力で実効的な措置をとる」との意思表示でもある。これを裏付けるように時事通信によれば韓国政府当局者は17日、「北朝鮮が変わらなければ、体制が崩壊し、滅亡する可能性もある」と警告した。
 

翻って日本政府は相変わらずの拉致・核・ミサイル一体処理の一点張りだ。しかしいまほど政府の「全員が生存しているとの前提で対処する」という言葉が空しく響くときはない。外相・岸田文男は「北から具体的な行動を引きだすために引き続き最大限努力する」と発言しているが、これも現実逃避のお座なりさが鼻につく。


ここはまず国際世論を喚起して、金王朝を崩壊に導くしか解決策はないだろう。それには冒頭指摘したように「賊に兵を貸し、盗に食をもたらす」中国の戦略にくさびを打ち込むしかあるまい。「北を代理冷戦」に使うというさもしい中国のやり口は、金正恩をヒトラー並みに肥大化させることに考えが及ばない。


恐らくミサイル技術も原爆製造技術も中国が小出しに漏らしている可能性が大きい。なぜなら北を対米防波堤に使うには、中国の代わりに北が核実験をやり、ミサイルを飛ばすことが何より効果を生じ、対米けん制になるからだ。中国は恥ずかしげもなく国連の制裁に消極的だが、例え最終的に賛成しても、北は中国との交易がある限り何の痛痒も感じないだろう。食料も物資もどんどん中国から入るからだ。
 

首相・安倍晋三は賢明にも安保法制を実現して、北への抑止力を増強させた。今後は北の核基地攻撃能力も備えることが課題となる。政府は一時代前から北の基地への先制攻撃は可能と答弁している。


鳩山一郎は1956年に「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは、どうしても考えられない。他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」と政府統一見解を出している。


現在はその実行能力はない。しかし統合打撃戦闘機F-35が次期戦闘機に選定されたが、これに敵基地攻撃能力をつけることは可能だ。2013年の防衛力整備の基本方針「防衛計画の大綱」の中で、射程400キロから500キロの弾道ミサイルを開発すると明記しているが、敵基地攻撃には潜水艦に巡航ミサイル「トマホーク」を装備するのが効果的なのに、現在は搭載していない。


とにかく相手は何をするか分からない独裁者だ。抑止的攻撃能力はいくらつけても足りないくらいだ。敵基地攻撃能力が今後最大の課題となろう。野党でも民主党の元国家戦略相・前原誠司はブログで「情報収集能力を向上させ、敵基地攻撃能力を日本独自である程度持つことも検討されるべきだと私は考える」と賛同しており、早期導入に向けて国会は是非の論議に入るべきだ。

          <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)
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