2016年02月24日

◆中国に「ノー」を突きつけた台湾の総統選挙

加瀬 英明



1月16日に、台湾の総統選挙で、民進党の蔡英文候補が圧勝したというニュースを知って、思わず「加油(チャヨウ)! 台湾(タイワン)!」と、叫んだ。

「加油」は台湾語で、「頑張れ」だ。民進党は、一院制の国会である立法院においても、単独多数を獲得し、かつて大陸から蒋介石に率いられて、台湾へ逃げ込んできた国民党は、それまでの議席数を半減した。

前日、愚妻が長年使いこんだ財布を、買い替えに出かけるというので、緑色を選ぶようにいった。緑色は国民党の青色に対して、民進党のシンボル・カラーである。

選挙の最大の争点は、台湾の人々が「中国人なのか、台湾人なのか」というものだった。台湾人は親中派だった馬英九政権を葬って、台湾が中国によって取り込まれてしまうことを、拒んだのだ。

 国民党の青色は、国民党軍が毛沢東の共産軍との内戦に敗れて、台湾海峡を渡って台湾を占領した時に、翻していた『青天白日旗』の色である。今日でも、歴史の大きな捩(ねじ)れによって、『青天白日旗』が台湾の国旗となっている。

中国は台湾が「中国の一部」だと主張して、もし、台湾が「中国から分離して、独立」をはかった場合には、「武力を行使する」といって、威嚇してきた。

しかし、台湾国民が総統選挙によって、中国に「ノー」を突きつけたことは、習近平国家主席の対外戦略に、手痛い齟齬(そご)をきたすものとなった。

習主席は「偉大なる5000年の中華文明の復興」を呼号して、アジアの覇権を握ることを目指して、アメリカに太平洋を米中の二大国によって二分する「G2」体制を受け入れるように、提唱してきた。

この戦略を実現するために、2014年以後、南シナ海で7つの岩礁を埋め立てる、大規模な建設工事を進めて、南シナ海を中国の内海(うちうみ)にしようと目論んできた。国連海洋法条約は満潮時に海面下に沈む、これらの岩礁を領土として認めていない。

北京の戦略は南シナ海から東シナ海まで、“中国の浴槽”とすることだったのに、台湾に“嫌中政権”が登場したことによって、南シナ海から東シナ海までの線に、ポッカリと大きな穴があいてしまった。

習国家主席は、臍(ほぞ)を噛んだにちがいない。

もっとも、台湾は地理的にも、中国の一部ではない。インドネシアのボルネオ島からフィリピン、日本列島まで点々と連なる島々の列に属している。台湾人は漢族ではないし、歴史的にポルトガル、スペイン、明や、清が一時的に支配していたことがあったが、中国の一部だといえない。

台湾人と中国人は、文化的にも大きく隔たっている。

台湾人は中国人が、無教養で、貪欲で、公徳心がなく、不潔であることから、中国人を台湾語で「猪(テイ)」(豚)とか、「死阿陸(シーアラア)」(死んでしまえ)と呼んでいる。韓国人も歴史を通じて、今日でも陰で中国人を、「垢野郎(テンノム)」と呼んでいる。

もっとも、アメリカは台湾が中華人民共和国の一部であることを、認めていない。中国を恐れて、台湾が「中華民国」という国号を変えたり、台湾として独立することに、反対している。

台湾は現行の国名と『青天白日旗』で、我慢し続けねばならない。


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