池田 元彦
民主党ヒラリー前国務長官はウォーレン・バフェット等からも強い支持が有り、当初から最有力候補だ。共和党は混迷で、強いて言えばブッシュ家の最高傑作(≒一番出来が良い)のジェブ・ブッシュ フロリダ州知事が本命視されていたが、本年2月に入り、2つの州で敗戦、早々に脱落した。ヒラリーは、オハイオ時代から疑惑のデパートだ。
国家機密の私的メール問題、ベンガジ事件等々もあり、今もFBIが調査中だ。外交はタカ派、内政はリベラルだが、一番の問題は日和見、時として立場を翻す、個人的には信用出来ない候補者だ。日本よりは親中派であることも気になる。
3月1日のスーパーチューズデー迄の予備選で、民主党はヒラリーとサンダース、共和党ではトランプ、クルーズ、ルビオに絞られてきた。当原稿は2月29日脱稿で、スーパーチューズデーの結果は知る由もない。混迷要因はトランプだが、敢えて各候補者の直前の棚卸を試みたい。
トランプはドイツ系父親とスコットランド系母親の間に生まれの長老派なので、厳密にはWASPはヒラリーだけだ。サンダースはユダヤ人、クルーズとルビオは共にキューバ系で、夫々バプティスト右派とカソリックだ。オバマの唯一の功績は、大統領候補の人種・宗教の多様化を促進したことだ。
サンダースは自ら民主社会主義者と名乗るようにアメリカでは極左と見做され、大統領候補には残れない。民主ではヒラリーが残るが、疑惑のヒラリーでは大統領選は勝てない。結果は共和党勝利で、多少非現実的だが、ルビオ大統領、クルーズ副大統領を期待するのが、棚卸の結論だ。
テッド・クルーズは古き良き時代のアメリカ保守の再来だ。小さな政府・自由主義・自由貿易、イスラエルとの同盟強化、均等税導入・死刑支持で、銃規制・妊娠中絶・LGBT・マリファナ反対、不法移民合法化反対だ。生物進化論に反対との、最近には珍しいキリスト教原理主義者と言える。
ルビオは数年前迄教育ローン10万ドルを完済出来なかった貧困層出身だが、意外とクルーズと政策が近い。違いは不法移民の合法化・市民権賦与に賛成なところだ。安倍首相とも面識があり、尖閣諸島は日本領土だと明言する唯一大統領候補だ。ウォール街、ティーパーティが支持基盤だ。
風雲児トランプ程マスコミに嫌われる候補者もいない。発言毎に人権派を刺激し、WP、NTY、WSJ、NW全てがヒットラー、ポル・ポト、スターリンと非難する。ローマ法王さえトランプを批判した。
奔放な言動もあるが、対外的にはモンロー孤立主義・保護貿易のようだ。酒もたばこも嗜まない。
共和党候補なのに富裕層への課税強化、ウォール街・国際金融資本の規制強化、累進課税強化、格差是正・社会福祉の拡充を主張する。リビア、イラク、シリアも全てオバマの失政だとし、プーチンを評価する。
イスラエルも支持する。大統領になれば、意外と真面な政治をするかもしれない。
日本にとっては、出来ればルビオかクルーズが望ましい。但しクルーズは国益追求に邁進し、厄介な相手になる可能性はある。トランプも日本との蜜月は難しそうだ。トランプは自滅も有り得るし、ルビオ・クルーズが正副大統領候補として提携し共同作戦に至れば、トランプの芽は消える。
何れの候補も、オバマの軟弱、日和見7年間に愛想を尽かした候補者だ。強くて豊かな米国を再生することを目標にしている。そしてサンダースやトランプの支持は、景気が回復しても、少数の富裕層と少しも生活が豊かにならない一般市民の欲求不満が根底にある。3月1日の結果が楽しみだ。
7月には両党とも候補者確定、11月8日に次期大統領投票、12月に正式決定となる。