屋山 太郎
「進歩党だ。「思い切って左派斬りを」
民主党と維新の党は3月27日の結党大会に向けて党名などの協議を進めている。民維新党をどうみるか。
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カナダの進歩保守党(保守党の前身)が一時は躍進したが、1993年の総選挙で大幅に議席を減らし、最後は保守同盟に吸収合併されてしまったでしょ。日本の民主党の瓦解も同じで、いっぺん人気がはげると、小選挙区制度で挽回するのは不可能に近い。
よっぽど大きな手を打たないと再起できない。つまり、政権党がガタッとくると、それこそ生まれ変わるような改造をしなきゃダメなんだ。
民主党が政権から転落し、ボロボロになったのは、やっぱり安全保障が原因だと思う。鳩山由紀夫さんは首相時代、「米国とは仲がいいから、これからは中国だ」と言い出した。それに米国は怒った。
おまけに米軍普天間基地の移設問題はどうだったか。米国に「トラスト ミー(私を信じて)」と豪語しておきながら、日本に帰ってきて「(普天間は)最低でも県外」っていうんだよ。同盟国にしてみればうんざりだよな。
要するにね、主張の違う旧社会党系と保守系が一緒になっている状況を清算しなかったことが一因だ。今回の合流を契機に、民主党内の「非武装でいい」という思想の人たち、つまり左派を斬るってことが前提だ。あるいは考え方を変えてもらうとかしなければいけない。そんな思い切った対応さえもできないのが民主党の弱点なんだと思うよ。
ただしね、維新との合流は離党した元民主党出身者が戻るだけで、ぶっ壊れた茶碗、バラバラになった茶碗の破片を接着剤で接ごうっていう話だ。ちょこっと何かにぶつければ、すぐ瓦解する。茶番だよね。新たな党名を「茶番党」としたいところだけど、どっちにしても党名に「民主」が残ったらダメだろうな。
理由? もう民主党への人気は地に落ちている。国民からみれば「あの失敗した民主党。思い出したくもない」っていうのがこびりついている。だからこそ「新規出直しだ」というメッセージがない限り、絶対に支持されない。実際に新規に出直しをしなきゃダメなんだよ。
「悪妻だって腐れ縁」というのがあるけれど、愛着があるから党名を変えたくないなんてダメだって言うんだよ。
その上で、「進歩党」という党名はどうだろうか。外交防衛では現実的な政策で政権与党とそんなに差をつけないが、一方で「社会保障を進歩させる」「生活を進歩させる」というのを掲げる。貧困世帯がたくさんいるが、そんな世の中にはしないとかを訴え、常に進歩するんだというイメージを打ち出す。
民主党の前原誠司さんが以前、「解党しろ」っていったのも、それこそ根っこから心を改め、進歩しなきゃダメだという発想が根底にあると思うよ。
(政治評論家)
産経ニュース【民維合流を ぶった斬る!】(3)2016.3.7