平井 修一
中共経済はほぼ終わりになってきた。高田勝巳・アクアビジネスコンサルティング代表の論考「上海の不動産が大変なことになってます!」(ウェッジ3/5)から。
<2月半ばの春節の休暇明けから、上海の不動産が暴騰を始めた。1週間で30%以上上昇した物件もあるようだが、上海の仲介会社によると今年に入ってから概ね10〜30%程度上昇しているイメージだそう。
*上海バブルは終わらない?
はっきりしているきっかけは、2月19日に交付された「不動産取引税軽減策」と言われている。
といっても、軽減されるのは、上海市の場合でも一時取得のケースで140平方メートル以上(この面積は共有部分も入って建築面積といわれるものなので、日本流の占有面積で言えば100平方メートル程度)の物件の取引税3%が1.5%になった程度であるが、これでも、買替え需要を随分と刺激しているようだ。
最近話をした上海の不動産デベロッパーの友人も、にわかに「新規開発用地の取得の動きが出始めて忙しくなってきた」という一方で「あまりにも急な値上がりとその背景に心配もしている」とのことであった。
中国のネットメディアをみても、今回の暴騰は異常であり、その危険性を指摘する声もでている。以下の諸点は、あるネットメディアの分析であるが、
「現在の不動産関連政策は、不動産市場の活性化のために最近10年ないし、少なくとも2008年以来最も緩和された状況」
と分析している。
こうしてみると国を挙げて不動産市場を下支えしようとする政府の意図が見て取れる。
もしそうだとすると、昨年の株式市場のように、もともとは市場の活性化を意図した中での、経済実態を反映しない株価の暴騰が、最終的には株価の暴落で治ったと同じことになるのではないかと心配している。
もちろん、不動産は株式と違って、実際に居住のための実需があるので一概にはいえないが、これまでの不動産開発に頼りすぎた経済成長政策のために、市場に供給しすぎて在庫になっている不動産があるなかでの話なので、こうした懸念が出ている。
*大学生は自己資金ゼロで住宅ローンが組める
もっと心配しているのは、瀋陽市で出された大学生は自己資金0でも住宅ローンを借りて住宅を買えるという政策。
いずれ学生が住宅ローンを払えなくなり、中国版サブプライムになり、最終的に銀行にそのしわ寄せが行くのではないかと心配している。
自分も不動産を複数所有しそれが資産形成になっているが、一方で、中国経済の健全な発展を考えると、不動産価格ばかりが上がる状況に対する疑念も強くもっている。
(以下)は中国でよく聞かれる笑い話であるが、本当の話である。
1)10年前に自分の唯一の資産であるマンションを80万元で売却しそれを元手に事業を始めた。
2)身を粉にして働いて事業は成功し、10年後に400万元の貯金ができた。
3)この金で10年前に売却したマンションを買い戻そうとしたら400万元だった。
全く、中国経済の矛盾、問題点が凝縮された話である。
中国はこれから産業の高度化が必要であるのに、これではだれもまともな事業に投資しようとはしないのではないか>(以上)
ずいぶん面妖なことになってきた。習近平・中共、あるいは上海閥の悪あがきだろうが、彼らは価格高騰(買い注文)を仕掛けて“売り逃げ”するつもりだろう。騙される奴はもういないのではないか。もうお仕舞ということだろう。(2016/3/7)