2016年03月23日

◆サミット終了会見で「増税延期」表明か

杉浦 正章



反対論の公明はしょせん“転ぶ”
 

政界も財界も市場も消費増税先送り・衆参同日選挙をすべての前提として走り出した。この流れを止められるのは首相・安倍晋三一人だけだが、本人は「今年は大切な年になる。あえて申し上げないが皆様大体想像つくのではないか」と思わせぶり発言で、逆にあおっている。


自民党内各派は既に資金調達パーティーで同日選に向けた選挙資金調達に躍起になっている。各政治家たちも資金は会期末には底をつき、早く解散をの声は悲鳴に近くなる。安倍はサミット後に決断をするとしているが、国際経済情勢の流れは増税になく財政刺激策にある。

筋書きは、議長国として最終日5月27日の記者会見に日本としても増税延期と財政で国際経済好転に貢献すると表明、解散断行を最終的に表明することになりそうだ。これが筋書きだろう。
 

新年早々の原稿で増税延期で麻生太郎と財務省幹部の首を切らざるを得なくなる可能性を指摘したが、麻生が18日閣議後の記者会見で見せた醜態が財務省と首相官邸の確執を物語る。


何と麻生は消費税先送りと衆参同日選挙で紙面を全面展開した読売新聞の記者に向かって「お前、勝手に自分の話を作るな。いかにも政府が言っているような話に書き換えている。読売の得意とするところだけど、あんまり上品なやり方じゃないな。そろそろやめた方がいいぜ」と斜に構えて、まるで山口組幹部でも最近はしない口ぶりで脅しにかかったのだ。


学習院出身にしては余りの品位の無さにあっけにとられたが、読売は1面、2面、3面、4面、社説を使った全面展開をしており、明らかに社の全力を挙げた取材に基づく記事である。それをたかが財務省担当の一記者を「お前」呼ばわりしたうえに「やめたほうがいいぜ」はない。文句なるならナベツネに言うべきことだろう。麻生発言は言論出版妨害の最たるものである。
 

読売の記者も社への侮辱に黙って見過ごすことはなかった。「受け止めを」などとコメントを求めず、麻生発言の非を突くべきであったが、突然の攻撃に即対応することは難しいことも確かである。もっともこの発言はテレビカメラの前で行ったのであり、読売批判と同時に読売に情報を流した官邸への当てつけとも受け取れる。


それでは麻生は開き直った以上、延期になったら辞職覚悟で発言しているのだろうかと言えば、そうでもあるまい。財務省向けに俺は怒っていると言うポーズを見せたのでもあろう。事々左様に軽いのである。
 

こうして消費増税実施派は追い込まれて、逃げ場を失いつつある。テレビを見ても発言は筆者が新年以来指摘してきたことを、さも自分の意見であるかのように発言するコメンテーターばかりだ。目明き千人、めくら千人と言うが、いまではめくらは約1人だけとなった。


政局が苦手と見えるコメンテーターだが、その1人が「延期すればアベノミクスの失敗を認めることになる」と民進党と同様の発言をしている。冗談ではない。アベノミクスがなければ史上最高の企業利益や完全雇用は実現していなかった。大成功だ。その大成功を維持、発展させるために、世界中どの国もやったことがない民主党政権の負の遺産である消費税倍増などというとてつもなく馬鹿げた方針を遅らせようとしているだけなのだ。


あくまでアベノミクスを完成させ、デフレからの脱却を達成することにある。解散の大義はまずここにある。コメンテーターは「増税の収入を国民に給付金で全額返せば良い」などと荒唐無稽なことを言ったが、芸人の司会者から「それなら最初から上げない方がいい」と言われ失笑を買う始末。とにかく反対論には国際経済情勢の無知からか、国内政局ばかりを見ている発言が多い。
 

公明党がいい例だ。公明党代表・山口那津男は22日「不確定なことを軽々に言うべきではない」と真っ向から否定。さらに「政府・与党ともに、日本経済の基礎的条件はしっかりしているという認識を持っており、経済状況を理由に先送りするという判断には、今のところならない。


社会保障のさきざきを見据え、中長期的に安定的な財源を確保するという大局的な意義を見失ってはならない」と発言したが、これこそ国際情勢の大局を見誤っている最悪の事例だ。


国際経済はノーベル賞学者のスティグリッツが今年は最悪の去年より悪化すると述べている。またクルーグマンも22日の国際金融経済分析会合で、消費税をやるべきでないと主張、財政刺激の必用を強調した。これで会合の大勢はほぼ決した形だ。


山口は経済がデフレに戻れば、社会保障がもろに打撃を受ける危険を知らない。山口はせめてG20の共同声明くらい読んだらどうか。「機動的な財政政策を進めよ」と強調していることくらいは勉強すべきではないか。
 

筆者は公明党の反対はこれまで同様ぎりぎりで方向転換すると見ている。だいいち増税延期と連動する同日選挙に関しては支持母体の創価学会幹部の間から、「1回でやる方が2回やるより楽だ」という声が出ている。知らないのは山口だけだ。公明党は何より「自公政権命」なのであって、いくら超重要テーマでも連立解消を覚悟で最後まで押し通す度胸はあるまい。


こうして流れは決まりつつあるが、段取りとしては自民党議員の“勘”が大きく作用する。言い換えれば動物本能である。フツーの代議士なら「安倍はダブルに踏み切る」と判断して全力疾走するのであり、この潮流は誰も止められない。愚かな代議士だけが「選挙はない」などと言い続けて落選するのだ。


幹事長・谷垣禎一は増税延期を否定しているが愚かではなく過熱を冷やしているだけだ。官邸が「最終判断をサミット後にする」としているが、これには訳がある。サミットを俯瞰すれば、G20の通り各国首脳が財政刺激策の必用で一致することになろう。これはとりもなおさず増税路線とは真逆の方向であり、日本は財政出動を約束することになる公算が大きい。


安倍は議長国としてまとめ役にならざるを得ず、日本1国だけ消費増税を断行するという選択肢はない。これが本稿冒頭のサミット終了記者会見での発言につながると予想される根拠なのだ。

    <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)
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