2016年04月02日

◆領土問題における警察権の行使

大江 洋三



3月29日に安全保障関連法が施行された。

自衛隊は専守防衛組織なので、新たに攻撃訓練が必要で即実施される訳ではない。

「攻撃」は物騒な言葉だが、攻撃のない防御はありえないから、今までの自衛隊訓練が歪だったことになる。

平たくいえば「やられる」と解っていても先に発砲してはならなかった。南沙諸島の現状をみると、中共は単なる埋め立てを通り越して軍事用滑走路まで作ってしまった。これを実力排除しようとすれば、文字通り軍事衝突を招き戦争を招来する。

これには米国政府も及び腰だから、既に南沙諸島は中共の実効支配体制に入ったと解するべきであろう。

慌てたフリピン政府は比・米軍事同盟を強化したが、それこそ泥縄式で何の役にもたたなかった経緯もある。フリピンが同盟秩序を怠った漬けである。

教訓とすれば、尖閣諸島はそうなる前に実力排除せねばならない。

つまり、実効支配される前に実力排除することが自衛隊の新しい任務の一つとなる。

いま自衛隊は上陸訓練をしているが、実力による領土奪還を目指した訓練であることに違いはない。

もちろん、出動の命令権者は内閣総理大臣にある。

一昨年の、大量の中国漁船の小笠原諸島侵犯を見ると、海上保安庁の警察権は単体の不審船排除には効果があるが、集団で押し寄せられるとどうにもならない。それこそ手も足もでなかった。

この漁船の中に実力部隊が交じっていたらと考えると恐い話である。

今後このような事案が発生すると、巡視船の後ろに海上自衛隊の護衛艦がつき、領土保全という警察権を補強することになるであろう。

個別的自衛権で、領土保全は可能という声もあるが、領土的争いを2国間に限定すると意地と意地の張り合いで際限がなくなる。

それに、周辺諸国も他所の争いに巻き込まれたくはない。

というわけで、領土保全は保証人を立てるという意味を込めて、日米軍事同盟という集団的自衛権の行使が望ましい。

因みに「自衛の措置としての武力の行使の新3要件」を採録しておきたい。

* 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること

* これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと

* 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
                     以上

現行憲法から逸脱しないよう配慮した細やかのもので「戦いたくないが戦う」とも読めるが、国防にあたり自衛隊が米軍に代わり第一線を務める宣言書に変わりはない。保証人である、強固な日米軍事同盟が後ろ盾にあることは言うまでもない。
                      (H28,3,30)


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