石岡 荘十
「危ない!?マーガリン」(既掲載)を読んだ小生のメルトモから以下のようなメールが届きました。
<トランス酸なるものを初めて知りました。バターがマーガリンにとって代わったのは、どういった理由だったか思い出せないくらい長いことマーガリン党です。
(アメリカに住んでいる)娘の所では勿論マーガリンで、それもマーケットに行くと、バケツに似た容器で売っていてとても使いやすく、どうして日本ではこうゆう容器で売らないのかしらと思っていました。でも、動物性脂肪のことはどう考えたらいいのかしら?>
そういわれてみると、寄稿した文章はいささか舌足らずだった。で、少し補足をしたい。
「マーガリンが危ないよ」というのはその通りなのだが、だからバターならばんばん摂っても問題ない、と言っているわけではない。
第6次改訂 日本人の栄養所要量(厚生省)によると、「反芻胃の微生物により合成され吸収されることから、反芻動物(牛)の肉や乳脂肪中にも存在するという研究報告がある」。
つまり牛肉にも含まれ、牛乳、その2次製品であるバターにも当然、トランス酸は含まれているからだ。
トランス酸が危ないというアメリカでの研究成果は、「動物性脂肪の塊みたいなバターに較べると植物性のマーガリンのほうが健康にいい」というかつての常識は、”神話“に過ぎなかったことを科学的に証明したものだ。
どっちがいいとか悪いということではなく、長期間でみれば双方に差が出ないという新しい常識を打ち出したところに研究成果の意味がある。
それじゃあ、肉も牛乳も有害食品なのかといわれそうだが、問題は摂取量だとされている。
日本マーガリン工業会はHPでこう言っている。
「日本のマーガリン、ショートニングは米国の物と違い、トランス酸の含有量が少なく、 国民1人当り1日のトランス酸の摂取量も、WHOの勧告値の1%未満である点から、トランス酸の摂取に関しましては日本人の食生活の現状で何ら問題無いと考えております。
穀類、肉類、魚介類、野菜、果物といった食物をバランス良く摂っていただくことが何よりも大切と考えております」。
つまり、何かというと、焼肉、バーベキュー、牛乳がぶがぶ。ポテトチップス、クッキー、ケーキ、クリーム入りコーヒー、アイスクリーム、レトルトカレー、その他ジャンクフードといった若い人たちの食生活を改めれば――という前提つきで「大丈夫」といっているのだが、いまさらこの勢いが衰えるとは思えない。となると、彼らが親になり、孫を持つ頃には、一億総トランス酸漬けになっている可能性を否定できない。
先のレポートでも取り上げたように、トランス酸を大量に摂取した人は、最も少ない人に比べ心筋梗塞などの心臓病になるリスクが30%も高いといわれる。
それだけではない。インターネットを検索していくと、“一億トランス酸漬け”の可能性を示唆するレポートや癌との関連を懸念する研究や統計も散見される。例えば、・トランス型脂肪酸の含有量は、通常の精製油(サラダ油など)で、大体1〜2.4%程度。マーガリンで、14%近く含まれてる。
・アメリカでのここ100年間のガンによる死亡率の上昇(1900年には30人に1人だったのが、現在は4人に1人)は、実は、トランス型脂肪酸含有の植物油の消費量の増加ラインと、ピッタリ一致している。
・欧米のメーカーは各種研究発表に早急に反応し、トランス脂肪酸を除去するメーカーも出ています。
・例えば英国では、1994年にトランス型が8〜12%含まれていたソフトマーガリン類は現在は1%以下に抑えられています。ちなみにオランダでは、トランス型脂肪酸の含まれた油脂は販売禁止となっている。
アメリカでは、ラベルには、 “partially hydrogenated”と表示する義務がある。日本ではこの表示義務はない。
BSE問題で日本はアメリカを責めている。が、食の安全性の観点で言うと、メクソハナクソ議論のように私には思える。
( ジャーナリスト)