2016年05月07日

◆習近平主席の熊本地震お見舞い電報の裏に

川越 一



習近平主席の熊本地震お見舞い電報の裏に「政治利用」が透けて見える 
熊本、大分両県に甚大な被害を与えた地震で、中国の習近平国家主席が天
皇陛下にお見舞いの電報を送ったと、4月19日付の中国共産党機関紙、人
民日報が1面で報じている。

李克強首相は安倍晋三首相に、王毅外相は岸田文雄外相に宛てて、見舞い
のメッセージを送ったという。それぞれ「カウンターパート(対等の立場
にある相手)」に送ったということだろうが、習氏は自分を天皇陛下と
「対等」と位置づけていることを意味する。

人民日報によると、習氏は電報の中でこう述べている。「中国の政府と国
民を謹んで代表し、犠牲者に深い哀悼の意を表するとともに、遺族と負傷
者に心からの見舞いの意を表する。日本の人々が一日も早く困難を克服
し、故郷を再建することを心より祈る」−。

一見、被災者を思いやっているように映るが、実は日本に対する冷たさが
隠されている。

習氏が天皇陛下に電報を送ったことを伝える人民日報のニュースのすぐ下
には、熊本地震と同じ時期にマグニチュード(M)7・8の大地震に見舞
われた、南米エクアドルのコレア大統領に対し、習氏が電報を送ったとの
記事が掲載されている。

コレア氏に送った電報は、ほぼ天皇陛下に送った電報を“コピペ”したよう
な文言が並んでいる。ただ、2つの電報には大きな違いがあった。習氏は
コレア氏に「中国の政府と国民の代表」との立場に加え、「個人名義」で
も哀悼と見舞いの意を表明しているのだ。

熊本地震の発生後間もなく、日本で暮らす中国人や中国人留学生は自発的
に、中国版ツイッター「微博」や無料通信アプリ「微信」を通じて、中国
人支援ボランティア組織「熊本賑災」を結成した。

人民日報のニュースサイト「人民網」によると、同組織は、ネット決済シ
ステムを使った募金活動を展開しているほか、実際に飲料水や食料、おむ
つなどの支援物資を被災地に届ける活動を行っている。

東京を出発したメンバーは道中、公園の水飲み場などで洗顔したり、車の
座席で仮眠したりしながら、夜通し車を走らせて物資を届けたという。

中国国内でも、訪日経験のある中国人が募金活動を計画している。日中外
交筋によると、唐家●元国務委員からも「温かい言葉があった」という。

こうした善意の動きについて、日中外交筋は「自然災害のときは政治的な
難しさを飛び越えて補い合う。どういう意図でとか、どういうことでとい
うよりむしろ、近所同士、天変地異のときは見舞いを言い合い、助け合
う。近所同士のよしみと感じている」と謝意を示したが、習氏の電報につ
いては、何らかの意図があるとの先入観を拭えない。

天皇陛下と習氏といえば、今も記憶に残る騒動があるからだ。民主党(当
時)政権下の2009年12月、当時国家副主席だった習氏が訪日した際、天皇
陛下との会見をごり押しした一件だ。

日本国憲法第1条は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴で
あって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定してい
る。象徴としての天皇陛下が政治利用されることを防ぐため、外国要人と
の会見は国事行為でなく、公的行為とされている。

しかし中国側は、共産党政権の権力基盤強化のため、天皇陛下との会見を
政治利用した。前例があるだけに、権力を集中させて政権の「安定」を演
出する習氏が、天皇陛下を「国家元首」とみなし、自らの権威を高めるた
めに政治利用したとしても意外ではない。(中国総局・川越一 かわごえ
 はじめ)
●=王へんに旋
産経ニュース【川越一の視線】2016.5.3 09:30更新


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