2016年05月18日

◆風前の灯となった日米運命共同体路線

加瀬 英明



天下大乱が始まった。2016年に入ってから、世界が一変した。

中国とロシアが勝手気儘に振舞っている。アメリカも、深く病んでいる。
中東が溶解しつつある。

中国という巨龍が病んで、東シナ海と南シナ海に飛沫をあげて、のたうち
まわっている。

中国は天の恵みだった高度成長が終わって、経済が出口がない袋小路には
まっている。中国共産党による体制が、ケ小平以来の高度経済成長という
天命を失って、揺らいでいる。

習近平主席は人民の関心をそらすために、「5000年の偉大な中華文明の復
興」を煽るかたわら、「戦争の準備を進めよ」と訴えながら軍拡を進め、
南シナ海の人工島や、占拠した島嶼を軍事化している。

ロシアも原油価格が暴落して、よろめいている。

プチン大統領が1期目を始めた2000年から原油価格が高騰し、8年後に2
期目を終えるまで、天の恵みが続いた。

2013年に3期目が始まったが、一昨年から原油価格が急落して、昨年末に
20ドル台まで落ちた。

ロシアという大鷲も、病んでいる。ルーブルが暴落し、庶民生活を圧迫し
ている。プチン大統領はウクライナのクリミア、ウクライナの東部、シリ
アに軍事力を用いて、国民の関心を外へ向けている。

ロシア国民の大多数は、25年前にソ連が崩壊した時から、ロシアがそう
だったグローバルパワーの地位を取り戻したいと、願ってきたから、喝采
した。

プチン大統領の人気は、対外的な勝利によって、まだ高いものの、いつま
で続くものか。

オバマ政権の7年間のうちに、アメリカは世界の平和秩序を支えるのに疲
れ果てて、「パックス・アメリカーナ」(アメリカの力による世界平和)
が、破綻した。

アメリカでは、今年11月の大統領選挙へ向けて、全米で民主、共和両党の
候補を選ぶ予備選挙が進んでいるが、両党とも2人のまったく意外な候補
者が、党の体制を大きく揺さぶっている。

東京・霞ヶ関の外務省では、毎朝、省員が登庁すると、全員が跪(ひざま
ず)いて、ヒラリー夫人の勝利を祈っていると、いわれる。ヒラリー夫人
はオバマ政権の国務長官をつとめたから、日本国憲法が日本に課している
特殊な制約を、よく知ってくれているはずだからだ。

夫人のアジア外交のアドバイザーは、日本担当の国務次官補だったロバー
ト・キャンベルだが、外務省が飼い馴らしてきたから、安心できるという。

 トランプが大統領となったら、たいへんだ。

ヨーロッパを守ってきたNATO(北大西洋条約)を解消し、中東を見離
すかたわら、韓国と日本からアメリカ軍を引き揚げろと、主張している。

日本だけ甘やかして、アメリカが日本を守ることを約束しているものの、
日本はアメリカを守る義務がない日米安保条約を再交渉して、どの国とも
結んでいる共同防衛条約にせよと、叫んでいる。

トランプの登場は、日本にとって驚天動地のことだ。アメリカはいまや貧
しい国になったから、外国を守るよりも、アメリカを再建するためにカネ
を使え、というのだ。

民主党でヒラリー夫人と鍔迫(つばぜ)り合いを行っているサンダース上院
議員は、北ヨーロッパ型の福祉社会をつくることを、目指している。やは
り国防費を大きく削って、国内に振り向けようと、主張している。

誰が大統領候補となったとしても、トランプ、サンダースの支持者票を取
り込むために、2人の主張に歩み寄らざるをえない。

アメリカ鷲(アメリカン・イーグル)も、病んでいる。中国、ロシア、アメ
リカが、手負いの大国となっている。

日本はもはやアメリカに縋って、運命を委ねることができない。そこで、
自立することを強いられることになる。

  

          

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック