2016年06月02日

◆参院選はアベノミクスVs民共共闘の様相

杉浦 正章



野党・朝日の増税延期批判は「詭弁」
 

通常国会終了に伴い、政局は参院選挙に向けて与野党激突段階に突入した。7月10日と確定した参院選挙の焦点は、アベノミクスの是非に絞られる。野党は「失敗・退陣」を求めるが、政府・与党は「成功」を唱えて、互いに譲らぬガチンコ勝負になろうとしている。


野党の理論的主柱は朝日新聞、与党は安倍が先頭に立って論戦を展開する。その前哨戦の口火を切ったのが1日の安倍の記者会見であり、2日付の朝日の社説だ。社説は安倍の増税延期を「納得できぬ責任転嫁」と断じて、民進・共産連合支持ににはっきりとかじを切った。折から民共両党は全小選挙区での共闘を実現させており、選挙はアベノミクス対民共共闘の様相となった。
 

安倍も「参院選最大の焦点はアベノミクスを力強く前に進めてゆくのか、後戻りするのかだ」とアベノミクスへの賛否を前面に据えた。それも「今こそアベノミクスのエンジンを最大限にふかし、一気呵成にデフレから抜け出す速度を最大限にあげる」と一歩も譲らぬ正面切っての対決姿勢だ。


それではアベノミクスをめぐる両者の主張を比較分析して論争の行方を占うと、総じて、安倍が実績を主張できるのに対して、野党と朝日はどうも「詭弁(きべん)」調が目立つ。詭弁とは外見・形式をもっともらしく見せかけた虚偽の論法だが、安倍の実績主義を論破できていない。
 

まず安倍は成功の理由として、@有効求人倍率が24年ぶりの高水準で全都道府県で上昇A高校生の就職率は24年ぶりの増加、大学生は過去最高B中小企業も含めて最も高い水準の賃上げを実現した、と強調している。


とりわけ税収がかってないほどの絶好調を示しており、安倍は「アベノミクスによって3年間で税収は21兆円に達した」と述べた。これを背景に、「2年半の消費税延期でアベノミクスをもう一段加速し、税収アップを確保して2020年度のプライマリーバランス黒字化を目指す」と言明した。
 

確かに3年間で21兆円の税収増なら、年平均で7兆円である。これは消費税10%で見込まれる税収増4.4兆円を大きく上回る。増税なしで黒字化は達成できるのだ。


一方で岡田は消費増税延期の代替財源として赤字国債の増発を挙げたが、これは官界、財界から総スカンを食らっている。安倍も「赤字国債で社会保障費を賄うことは無責任だ。自公の連立政権では絶対にしない」と真っ向から否定。街頭演説になった場合どちらが通用しやすいかは歴然としている。
 

岡田が述べたように「消費増税延期により、アベノミクスの失敗が歴然とした」という主張も、企業の収益が史上最高という現実の前に通用するかだ。総じて失業率が低く、企業の収益が良好で、賃上げも前例のない高水準ならGDPの6割を占める消費もやがては上昇に転ずるだろう。


野党の主張の欠陥は、GDPが他の指標に先駆けて上昇すべきだと言っているようで、経済学の基礎を知らない。GDPの空論より国民は食べてゆくのが重要なのだ。GDPが先行しない例は世界の経済でも良くあることだ。
 

一方で朝日の社説の責任転化論は2つあって1つは「海外の経済の不透明感を増税延期の理由にするのは新興国への責任転嫁に等しい」だ。しかし、安倍に海外の経済が不透明だから増税延期するとした発言があっただろうか。寡聞にして知らない。社説子は幻聴を聞くのだろうか。


G7サミットでも中国経済など新興国経済が原因となったリスクの存在は宣言された。そのための財政政策動員はうたわれたが、確かに消費増税はこれに逆行する。しかし、延期が中国への責任転嫁というのは、詭弁(きべん)の最たるものではないか。いくら朝日の大好きな中国であっても牽強付会のこじつけだ。
 

もう一つの「不人気な政策を先送りをすることで自らの公約違反にお墨付きを得ようとする。これは国民感情を逆手にとった有権者への責任転嫁でもある」に到っては、詭弁(きべん)を通り越して荒唐無稽(むけい)だ。国民感情に出来るだけ添うのが政治家のつとめであるが、安倍の延期の意図は、ひとえに20年続いたデフレからの完全脱却にある。


脱却しなければ国民はもっと不幸になるのが目に見えている。いま増税を実行しても高給取りで新聞貴族の朝日の論説子は痛痒を感じないかも知れないが、庶民は2度の増税に耐えられるほどの収入はない。安倍は大きく網をかぶせて当面経済を好転させて税収増につなげようとしているのであって、いま予定通りの増税を断行すれば、泥沼の不況に陥るのは目に見えている。


無定見に消費増税を主張して朝日は責任を取れるのか。それにつけても岡田が5月18日に消費増税延期を発言したときには、何ら反対の社説を掲載しないで、安倍の延期にだけ待ってましたとばかりに批判を展開することこそ不偏不党の社是に逆行するものではないのか。
 

安倍は会見で参院選の勝敗ラインを「国民の信を問う以上、目指すのは、連立与党で改選議席(121議席)の過半数の獲得だ」と発言した。これまでは「予党全体で非改選を含む過半数」としてきた。その場合必用な議席数は46議席だが、今回の改選議席の過半数は61議席を獲得する必要がある。自公の改選議席は合計で59議席。2議席のプラスで達成できるが、民主、共産を軸とした政策なしの野合的な野党共闘が全32の1人区で成立しており、厳しい戦いを迫られよう。


安倍の戦略のようにアベノミクスを前面に押し出して有権者の理解を得る必要がある。事実上アベノミクス対野合的民共共闘の様相となるのだろう。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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