2016年06月15日

◆自民党は内規で公私混同を戒めよ

杉浦 正章



舛添「貝殻追放」は「政治家狩り」の端緒
 

舛添要一は紛れもなく死に体となった。辞職は不可避である。この追放劇を鳥瞰(ちょうかん)すれば巨大なる「村八分」というか、広義の「貝殻追放」というか、法律よりも感情優先の側面が濃厚に感じられる。法律違反ではなくても、政治家を“野垂れ死に”させる新たな手段をマスコミとりわけ週刊誌が入手したことになる。


すべては政治資金の「使途」に関して法律がザル法であることが原因となっており、多くの政治家が首をすくめているのが現状だろう。今後扇情主義のイエロージャーナリズムの「政治家狩り」 が始まる可能性があり、これをいかに食い止めるか。法改正か、政党が独自の規律を一層厳しくして使途を制限するか。それ以外に方法は考えられない。
 

筆者が初めて「せこい」という言葉を使ったのが1か月前。舛添問題は「せこい」に始まって「せこい」に終わった。東大法学部1971年卒業と言えば、厳しい受験競争がたけなわの頃入学している。 一浪はヒトナミと言われ2浪、3浪は特に珍しくなかった時代だ。その東大法学部卒が舛添にあだとなった。物事を法的側面から見ることにはたけていても、政治家としての「統治」のセンスには決定的に欠けていたからだ。東大卒に良くある平衡感覚の欠如だ。政局が分からないから、自分が政局になっていることも分からない。一般有権者とのコミニケーション能力の欠如が、方向音痴の発言を繰り返す。
 

恐らく舛添は当初から法的に問題がないから乗りきれると判断したのだろう。たしかに政治資金規正法には使途の規定がなく、不記載と虚偽記載だけが有罪となる。政党助成法に到っては4条で何と「使途を制限してはならない」とまで規定している。だから舛添はヤメケン弁護士を第3者として引っ張り出した。「法的には問題ない」 と言う結論が分かっていたからだ。


加えて政治資金規正法も、過去の判例から見て本人が「政治活動だ」といえば通りやすい。だから「美術品は日仏交流の材料」「競馬は国際関係の研究」といった、発言を繰り返したのだ。問題は法的に通用しても、庶民の感覚で通用するかどうかなのだ 。
 

会社のつけに回せるかどうかで毎日四苦八苦している一般サラリーマンが、「家族旅行」「家族の食事」のつけまで政治資金に回している舛添に怒り心頭に発することが全く分かっていなかった。家庭の主婦にしてみても、10円でも安いスーパーに買いに行き、正月の家族旅行などは夢のまた夢。世論調査で圧倒的な多数の都民が、舛添の政治資金の使途を「ノー」と答えるのは当然だ。これが「貝殻追放」なるゆえんだ。


舛添の判断能力の欠如は、繰り返すが東大法学部卒のバランス欠如のなせる業であった。言っておくが逆に東大法学部卒で平衡感覚のある政治家は、首相になる素質があり、過去にも佐藤栄作などいくらでも例がある。今回のケースはカネで雇われたヤメケンですら「法律違反ではないが、不適切な支出」と指摘せざるを得なかった。舛添は法的には通用する言い訳が、だれからも蔑視されることに思いが到らなかったのだ。
 

問題は冒頭指摘したように、この「舛添ケース」が、政治資金をめぐるマスコミの摘発のハードルを極単に下げる第一歩となったことだ。週刊誌はいとも簡単に政治家を倒す手段を入手したことになり、こんご気にくわない政治家がいれば、「政治資金の使途」で追い詰めて辞任させることができるようになった。イエロージャーナリズムが日本で跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)しかねない情勢でもある。


しかし共産党を除いて、各政党は法改正には及び腰であることは確かだ。2013年の場合、自民党本部の収入の64.6%、民主党は82.5%が政党助成金であり、議員に分配されるほか、選挙費用、広報宣伝費などに使われる。民進党は民主党時代から助成金を貯め込んで選挙費用に回しているのが有名だ。
 

今回の場合は「公私混同」が問題なのであり、これは政治資金規正法と政党助成法が使途に関してはザル法であることが原因となっている。本来なら、法改正を推進すべきだろうが、ザル法を完全に抜け道がない方向で改正するには、まだこれから超大物議員らに対するマスコミの追及を経なければ難しいだろう。当面緊急措置として出来ることは、各議員への政党交付金支給にあたって、党の内規で一層厳しく制限をして、各議員に公私混同を戒めるしかあるまい。


とりわけ与党は早期にこれを実施しなければ、参院選で舛添絡みの集中攻撃を受けかねない。何事も先手を打つ事が重要だ。

      <今朝のニュース解説から抜粋>(政治評論家)
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