Andy Chang
国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所が7月12
日、フィリピンが中国を訴えた案件判決の要点は次のようになる:
(1)中国が南シナ海の島々の領有権を主張する「歴史的権利」は
ない。中国の主張する「9段線」に法的根拠はない。
(2)南沙諸島の島々は「島」ではなく「岩」または「低潮高地(暗
礁)」で、排他的経済水域(EEZ)を形成できない。この判決は台湾
の中華民国政権が主張する太平島(Itu Abu Island)も含む。
(3)中国には岩礁埋め立てによる自然破壊を行った。中国にフィ
リピン漁民の操業を侵害する権利はない。
●台湾現政権の愚行
中国の全面的敗訴となった判決について中国は「受け入れない、参
与しない、承認しない」と発表。米国、日本や他の国々はこの判決
は最終的で上告出来ない、中国はハーグ国際仲裁法廷の判決を受け
入れ、法を順守するべきだと発表した。
台湾の現政権はこの判決で太平島の領有権を否定され、判決を受け
入れないと発表してフリゲート艦を南シナ海に派遣した。軍艦の派
遣は示威行為であるが、島の周辺をパトロールしたところで漁民と
対決する力はない。
国際法廷の判決を受け入れないなら、中国と共に「ならず者国家」
の仲間入りをするだけ、台湾には不利だ。台湾政権は判決を受け入
れて法を遵守する米国などに参与すべきである。台湾が米国やフィ
リピンと一緒に判決を承認すれば中国の恫喝に対し米国その他の国
が援助してくれる。つまり判決は台湾に有利なのである。
太平島は島でないとされ200カイリ領海権も認められない。台湾の
取るべき道は明白なのに、民進党の政治家は太平島の領有権を主張
し示威行動に賛成している。
●中華民国が判決に慌てる理由
太平島は台湾の島ではなく、中華民国が領有権を主張する島である。
戦後1945年から1949年の間に蒋介石政権が南シナ海の領有権を拡
張し主張した際の南沙諸島で最大の島である。
第2次世界大戦後の1945年から大陸を喪失する1949年までの間に、
蒋介石政権が現地への軍艦の派遣、実効支配化、国際社会への領有
の説明などを通して「11段線」の法的論拠を固めた。中国は中華民
国の継承政権として、中華民国の主張を引き継いで「9段線」を主
張した。(台湾・ASEANから見た「南シナ海」裁決。野嶋剛【新潮社
フォーサイト:2016年7月13日】)
それなのに、なぜ台湾の現政権は判決に不満で軍艦を派遣したのか。
理由は簡単:中華民国の太平島に対する「歴史的権利」主張は無効。
従って中華民国の台湾に対する「歴史的権利」も無効である。
中華民国政権が慌てたのは台湾人がこの事実に気付く事を怖れるか
らだ。台湾はこの判決に基づいて「中華民国の台湾占拠は違法であ
る、台湾は独立すべきだ」と国際法廷に提訴すべきである。
●台湾は中国の領土ではない
台湾と南沙、西沙群島の主権はサンフランシスコ平和条約(SFPT)
によって主権所属が不明瞭となったが、中国や中華民国の領土では
ないことは以下の条文で明らか、つまり中国の台湾に対する歴史的
権利の主張は無効である:
【SFPT第2条b】:日本国は、台湾および澎湖諸島に対するすべての
権利、権原及び請求権を放棄する。
【SFPT第2条f】:日本国は、新南群島および西沙諸島に対するすべ
ての権利、権原及び請求権を放棄する。
終戦後蒋介石政権は台湾澎湖を占拠し支配を続けてきたと同時に、
1945年から1949年にかけて南沙諸島の実効支配を主張し、太平島を
占拠して来た。国際仲裁法廷の判決は中華民国の主張する太平島の
「歴史的権利」は法的に無効とした。従って中華民国の台湾の支配
も法的根拠はなく無効である、中国の主張する台湾の歴史的領有権
も無効である。中華民国や中国が慌てるのは当然だ。
●台湾独立の絶好のチャンス
蔡英文は中華民国総統として国際仲裁法廷の判決に不服として軍艦
を派遣した。だが台湾は中華民国ではない。台湾人は中華民国政権
に反対し台湾の主権は台湾人にあると国際法廷に提訴すべきだ。
SFPTに基づく主張と今回の判決によれば中華民国の台湾占拠は無効
となる、同時に中国の台湾の領土主権の主張も無効となる。
国際法廷の判決が台湾の現状を完全に理解している証拠に、今回の
判決文は中華民国のことを“Taiwan Authority in China”(台湾の
中国政権)と12回も明記していた。国際法廷は「台湾の現政権とは
中華民国」であり、「太平島の領有権主張は中華民国の主張で台湾人
の主張ではない」ことを明らかにしたのである。台湾人が太平島の
領有権を主張したのではなく中華民国が主張していたのである。
今回の国際仲裁法廷の判決は台湾の独立にとって絶好のチャンスだ。
台湾独立は蔡英文や民進党に頼らず、台湾人が団結して仲裁法廷に
提訴すべきである。蔡英文は中華民国の総統であり、民進党は中華
民国の政党である。中華民国は台湾を占拠する根拠はなく、台湾は
中華民国の領土ではない。台湾人はSFPT第2条bに基づき国際仲裁
法廷に提訴すべきである。台湾人よ、目覚めよ!
2016年07月17日
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