2016年08月09日

◆支那流は「俺の面子をまず立てろ」

平井 修一



産経8/4「日中『政冷経冷』時代へ 13億人市場に『魅力』も熾烈な競争
 経済同友会が訪中」から。

<1日、北京の釣魚台迎賓館で訪中団と会談した中日友好協会会長の唐家
セン元国務委員は安倍政権について「言葉では友好と言いつつも行動が必
ずしも伴っていないのではないか」と批判。「政治が冷えていれば『経
熱』になるのは不可能だ」と述べ、「友好的な政治環境の構築」を政権に
働きかけるよう要請した。

やや唐突な内容に日本側の出席者からは「意外な発言」との感想も漏れ
た。東シナ海や南シナ海問題で中国側に妥協しない安倍政権へのいらだち
とともに、日本から対中投資が大幅に減少していることへの懸念も背景に
あるようだ。中国商務省の発表によると、2015年の中国への直接投資額は
25.2%減少した>(以上)

唐家センは日本から投資を呼び込むのが仕事で、それが上手くいっていな
いので大いに面子を潰され、不愉快なのだ。

田中信彦氏の論考がこのところ冴えている。氏のプロフィールには「中
国・上海在住。1983年早稲田大学政治経済学部卒。毎日新聞記者を経て、
90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング
活動に従事」とある。人材活用のプロだ。

氏の論考『「先払い」の中国、「後払い」の日本〜中国人と付き合う法』
(WISDOM7/29)から。

<最近、南シナ海や東シナ海における領有権問題の議論が激しくなってい
る。政治的な議論をするつもりはないが、中国のあるウェブサイトを読ん
でいたら、中国政府の幹部が大意において以下のような発言をしたと報じ
られていた。

「中国外交には以下のような特徴がある。もしあなたが私と良い関係にあ
り、私のメンツを立ててくれれば、それにふさわしい配慮をして、譲歩す
ることにやぶさかでない。しかし、仮にあなたが私のことを尊重せず、強
い態度に出るなら、こちらも強い姿勢で臨む」

この発言は中国人の思考の脈絡を考えるうえで、とても興味深い。

この発言の根底に流れている論理は「先に相手がこうしてくれれば、私は
こうする」という考え方である。まず自分のメンツを立てるのは相手であ
る。まず相手の行動を期待する。くだけた言い方をすれば、相手に「先払
い」を求めているのである。

政治の場だけでなく、同様の発想は中国の日常生活に根強く流れている。
今回はそんな話をしたい。

*他人に冷たい中国人

中国の社会で暮らすと実感することだが、中国の人々は見知らぬ人に対し
て非常に冷淡である。例えば、マンションでエレベーターに乗る。途中の
階で誰かが乗ってきたとする。その人が顔見知りである場合を除き、ほと
んど無反応である。日常生活で他人と挨拶を交わすという習慣はほぼない。

お店や飲食店などに行っても基本は同じである。お客が笑顔で歓迎される
ことは少ない。最近でこそ従業員教育を施した店も増えてきて、客が来る
と「歓迎光臨(いらっしゃいませ)」などと声をかける店も増えてはきた
が、それでも大方の従業員は義務的にやっている感じで、店主が目を離す
とすぐに元に戻ってしまったりする。

だから初めて中国に来た外国人は「中国はサービスが悪い」「中国人は愛
想がない」「ぶっきらぼう」などといった印象を持つことが多い。

しかし、実はこの問題を解決する非常に簡単な方法がある。誰でもできる
即効性のある方法だ。それは、こちらから先に笑顔で挨拶をすることであ
る。そうすると中国の人たちは多くの場合、途端に花が咲いたような笑顔
になり、時には慌てたように挨拶を返し、以後、私に対してにこやかに接
してくれるようになる。これは高い確率で有効な方法なので、中国に行く
機会があったらぜひ試してみていただきたい。

*「自尊心の維持」から出発する中国人

なぜそういうことになるのか、そのメカニズムを分解してみよう。

この行動には、中国社会の面子(メンツ)の問題が大きく影響している。
メンツとは「“自分が他人より優れている”ことを周囲に認めさせたい」と
いう意識である――と第33回「面子とは何か〜中国社会を動かすエネルギー
源」で書いた。なぜ中国人が、一般に他人に対して愛想がよくないのかと
いえば、それは中国人の心理の根底に「自分を低く見られたくない」とい
う意識があるからである。

中国社会では「自尊心」が非常に重く考えられており、「自分の本心を覆
い隠して他人に迎合する」とか「プライドを省みずに他人に媚びる」と
いった行為を強く否定する。そしてそういう行動をする人を嫌うし、信用
できないと考える。もちろん、自分はそういうことを絶対にやりたくない
と思っている。

やや極端に言うと、日常の行動がすべて「自尊心の維持」という観点から
出発している。ふだん街を歩いている時でも、「私は私だ。なぜ他人に媚
びへつらわなければいけないのだ」と思っている。中国人を見たら「自尊
心のかたまり」が歩いていると考えてちょうどいいくらいである。

というようなことだから、中国社会では「自分のほうから他人に笑顔でア
プローチしていく」という行動が起きにくい。むしろ、見境なく周囲に愛
想を振りまくような人間を低く見る傾向すらある。「あいつは右顧左眄し
ている。確固たる自分というものがないのか」というわけだ。

多かれ少なかれ、誰にもこういう意識があるから、自分から率先して相手
に好意を示そうとする人が少ない。日本人がなんとなく常に曖昧な微笑み
を浮かべているのに対し、中国人はあまり人前で笑顔を見せない。常にし
かめっ面をして歩いているような印象がある。要するにそれは、自分が見
くびられるのが嫌だからである。

*「あなたがそうしてくれるなら…」

ところがこういう自尊心の強さは、相手から先に自分に対する好意が示さ
れた途端、一瞬にして満足される。自分は自分のままなのに、相手から先
に笑顔で挨拶されたということは、自分の存在が相手から認められた、相
手から自分が尊重されたことに他ならない(と中国人は受け止める)。こ
うなると嬉しくて仕方がない。そして突然、満面の笑顔になって、自分を
尊重してくれたその相手に、自分も最大限の好意で向き合おうとするので
ある。

要するに誰もが相手に好意の「先払い」を求めている。これが中国社会の
共有されたルールというか、行動のスタンダードになっている。

*「後払い」の日本社会

こうした考え方は社会の隅々にまで及んでいる。例えば、中国人の働き方
がそうである。中国の人たちは会社から評価を先払いしてもらわないと働
かない。「賃金の前払い」ではない。「自分に対する評価」の先払いであ
る。

どういうことか。日本社会の考え方と比較しながら説明してみよう。

日本社会の働き方はすべからく「後払い」である。「まずとにかく頑張
れ。悪いようにはしないから」とか「入社○年ぐらいは修行だと思って文
句を言わずに働け。まず自分の力をつけるのが先だ」といった類の考え方
は、建前上はともかく、本音では現在も根強くある。こうした考え方に反
発し、経験が乏しいうちから自分の力を認めてほしいと主張すると、「生
意気だ」「10年早い」などと言われる。

働く側の個人も、なんとなくそういうものだと思っていて、とにかくまず
実力をつけることが先で、要求を表に出すのはそれからだと考える傾向が
強い。まず良い仕事をする。報酬は自ずとついてくる――といった話が日本
人は好きだし、実際にそう考えてコツコツと努力をする人が少なくない。
これは明らかに日本人の美徳だろう。

終身雇用的な考え方は崩れてきてはいるものの、日本の大きな組織の人事
体系は新卒採用が軸で、長期間かけて組織内で能力形成していくのが普通
だ。そこでは今でも、若いうちは比較的低い賃金に甘んじて経験を積み、
10〜20年といった長い年数をかけて帳尻を合わせる。これも一種の後払い
的な発想ということができる。

*評価を「先払い」する中国社会

ところが中国社会はそうなっていない。先に述べたように、中国人はさな
がら「歩く自尊心」だから、まず自分の能力が認められなければ、そもそ
も働こうという気にならない。まず自分のことを高く評価してほしい。当
然それには、評価に見合った報酬が附属するはずである。そうすれば自分
は一生懸命働きます――というのが普通の感覚である。

だから、中国人の経営者やマネジャーは、人を採用する時はもちろん、日
常業務の中で部下を動かそうとする時、常に評価の先払いを心がける。誰
かにある仕事を任せたいと考えた時、心中では「こいつに任せて大丈夫か
なあ」と思っても、「キミは素晴らしい力がある。キミならできる」と持
ち上げて、働かせる。その一方で、現実の能力は疑わしいのだから、進捗
のプロセスをチェックする仕組みを確実に構築しておく。

当然、その人材に能力があることを認めたのだから、それに見合った報酬
を先に約束する。ただその場合でも、報酬の一部を目標達成後に支給する
成果報酬としたり、もし達成できなかった場合には、降格や最悪の場合、
契約を延長しないといったペナルティが待っているのが普通である。

このように働き方の面でも、中国社会には先払い的感覚が存在している。
もちろんこれは、全体としてそのような傾向があるという話であって、個
別には当然そうでない個人も企業もあるし、どちらが良くてどちらが間
違っているという話ではない。具体的に検証してはいないが、世界を見渡
せば、こういう先払い的感覚のほうが世界の多数派かもしれない。

*優秀な人が寄ってこない日本企業

その結果、何が起きるかというと、日本企業に優秀な人材が集まりにくく
なるのである。日本企業は人に対する評価も、それに伴う報酬も「後払
い」なので、中国人的感覚からすると、「自分は認められていない。自分
の価値が正当に評価されていない」という思いがつきまとう。その結果、
強い意欲が湧いてこない。また賃金体系も後払い的色彩が強いので、本当
にそのお金がもらえるのか、心もとない。「実力が伸びたら払うよ」と日
本人は言うのだが、本当にそれが実現するか、確信が持てない。

そんなことがあって中国の日系企業では、なかなか高い実力を持った人を
引きつけにくいうえに、いったん入った人材であっても、働いているうち
に自分に対する会社の評価に疑念を持ち始め、退社してしまうというケー
スは非常に多い。先払いか後払いかという感覚の差は、さまざまなところ
で影響しているのである。

*なぜ中国人は日本に来て気分が良くなるか

中国社会では先に述べたように、すべての人が相手から先に自分を立てて
くれることを期待しているので、互いに牽制し合って、双方が「オレは偉
いんだぞ」と意地を張っているようなところがある。この「メンツのせめ
ぎ合い」は傍から見ているとなかなか面白く、興味尽きないものがある
が、もともとあまりメンツに深いこだわりがなく、実利を取ればいいと考
えている人間から見ると、効率悪いことこのうえない。

別に人に頭を下げても減るものではなし、こっちから先に挨拶したところ
で自尊心に痛みがあるわけでもない。別にそれで相手の気分がよくなり、
その場の雰囲気が明るくなって仕事がスムーズに進めば、こちらにとって
もメリットがある。さっさとそうしてしまえばいいのにと思うことは少な
くない。

近年、中国から日本に旅行に来る人が激増し、そのほとんどの人が日本で
の接客やサービスに大きな満足を得て帰っている。中には一種の「日本中
毒」になってしまい、「日本のサービスが忘れられない」と年に何度も日
本を訪れるようになってしまった知人もいる。

どうしてそういうことが起きるのかというと、中国ではたとえ商売であっ
ても、そこに従事している人は、自尊心が邪魔をして自分から先に一段へ
りくだってお客を尊重するという行動を取りたがらない。香港や台湾の社
会はまだしも、供給側に有利な、硬直した計画経済の時代が長く続いた大
陸中国ではなおそうである。

そこへいくと日本社会は、まずお客を尊重する。仮に少額しか買わないお
客であっても、お客はお客、丁重に応対する。そういう職業意識がある。
お客に頭を下げて自尊心が傷つけられるという人は日本には少ないだろ
う。こういう態度に中国人は弱い。

「自分は尊重された、大事に扱われた」と感じると、相手にも好意を持た
ずにいられなくなる。相手からの尊重に自分も応えなければならないと思
う。中国人とはそういう人たちである。これが中国人の日本旅行人気、日
本での旺盛な消費の一つの理由になっている。

*評価の戦略的な先払い

そういう習性があるので、中国社会でも、優れたリーダーや商売人になる
ような人は、この中国人の感性を最大限に利用する。つまり率先して自分
から相手を尊重して、それで相手を動かそうという戦略を取るのである。
要するに評価の戦略的な先払いである。

中国の優秀な人は、まず自分の周囲にいる人の能力を自分から率先して認
める。それを言葉や形にして、大仰なくらいに表現する。自分のほうから
部下や目下の人間に積極的に声をかける。

社会的、社内的に地味な仕事、目立たない業務、辛い仕事に就いている人
に積極的に目を配る。相手を尊重し、自尊心を満たす。その種の仕事に従
事している人からみれば、自分よりも優越的な地位にある人から声をかけ
られれば嬉しくないわけがない。あの人は見ていてくれた、自分が尊重さ
れたという証(あかし)だからである。

そうやってメンツをどんどん先払いして、人に「貸し」をたくさんつく
る。それを貯めておいて、いざという時にドンと使う。

私はもういい歳だから(平井:55歳くらいか)、周囲の友人知人は年齢的
にも成熟して比較的裕福な層が多い。そういう人たちの行動を見ている
と、何かにつけてプレゼントを贈ったり、旅行先でお土産を買ってきた
り、こまめにWeChat(微信)などのSNSでコンタクトしたりしながら、周
囲の人間を褒め、相手の家族を褒め、「私はあなたを尊重していますよ」
というメッセージを送り続けている。これはすべて何かの時のための「先
払い」なのである。

*「実を捨てて名を取る」社会

だから私もそういう優秀な中国人を見習って、できる限り先払いを心がけ
ている。タクシーに乗ったら、まず自分から運転手さんに笑顔で「ニイハ
オ」と言う。無反応なことも少なくないが、めげない。

マンションのガードマンさんには行き帰り、必ず笑顔で挨拶し、できる限
り雑談して、さりげなく労をねぎらう。ホテルやレストランでトイレに
入って、中で掃除をしている人がいたら「謝謝」とお礼を言う。とにかく
「先払い」する。

そうやってみると、中国の社会は格段に生きやすくなる。みんな私に好意
を持ってくれるからだ。偉そうにしていても何もいいことはない。

さすがに国家間の関係となると、先払いばかりしている訳にはいかないか
ら話は複雑だが、相手の心理を考えるヒントにはなる。

「名を捨てて実を取る」という言葉があるが、中国社会はある面、多くの
人が自ら好んで「実を捨てて名を取っている」ようなところがある。この
あたりに「中国」という巨大な存在とうまく付き合うカギがあるように思
う>(以上)

実に上手いね。支那流は「俺の面子をまず立てろ」なのだ。「さすがに国
家間の関係となると、先払いばかりしている訳にはいかないから話は複雑
だが、相手の心理を考えるヒントにはなる」、なるほど、日本が習近平を
たたえ、譲歩すれば、WINWINで13億市場にアクセスできるというわけだ。

ところが日本企業の現実は「もうウンザリ、中国とは市場欲しさに“耐え
がたきを耐え、忍び難きを忍んで”付き合ってきたが、もうピークは終
わった、中国ビジネスは今やお荷物、いかに撤収するかが課題だ」となっ
ているだろう。

覆水盆に返らず、日本企業の中国進出を先導したパナソニックを2012年に
破壊した時点で、日中友好は終わったのだ。彼らは「井戸を掘った人」を
忘れるどころか血祭りにしたのである。我々は、少なくとも小生はこの暴
挙を永遠に忘れない。血は血で贖われるべきである。

経営の神様を侮辱した報復として、小生は中共党員8000万人は必ず殺す。
天安門式に戦車で踏みつぶす。それが嫌なら離党せよ、離党して誠意を示
せよ、先払いで「俺の面子をまず立てろ」や、習近平の首を持って来い。
さすれば情状酌量で罪一等を減じ、死罪から永蟄居閉門にしてやろう。汚
染大陸で自滅するがいい。

日本人の多くはそんな風に思っているのではないか。習近平が「平和的台
頭」「韜光養晦」をやめて「偉大なる支那民族の復興」へ舵を切ったとき
に、中共は後戻りできない「面子迷路GO」にはまったのだ。間もなく穴に
落ちるだろう。(2016/8/6)

平井修一

産経8/4「日中『政冷経冷』時代へ 13億人市場に『魅力』も熾烈な競争
 経済同友会が訪中」から。

<1日、北京の釣魚台迎賓館で訪中団と会談した中日友好協会会長の唐家
セン元国務委員は安倍政権について「言葉では友好と言いつつも行動が必
ずしも伴っていないのではないか」と批判。「政治が冷えていれば『経
熱』になるのは不可能だ」と述べ、「友好的な政治環境の構築」を政権に
働きかけるよう要請した。

やや唐突な内容に日本側の出席者からは「意外な発言」との感想も漏れ
た。東シナ海や南シナ海問題で中国側に妥協しない安倍政権へのいらだち
とともに、日本から対中投資が大幅に減少していることへの懸念も背景に
あるようだ。中国商務省の発表によると、2015年の中国への直接投資額は
25.2%減少した>(以上)

唐家センは日本から投資を呼び込むのが仕事で、それが上手くいっていな
いので大いに面子を潰され、不愉快なのだ。

田中信彦氏の論考がこのところ冴えている。氏のプロフィールには「中
国・上海在住。1983年早稲田大学政治経済学部卒。毎日新聞記者を経て、
90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング
活動に従事」とある。人材活用のプロだ。

氏の論考『「先払い」の中国、「後払い」の日本〜中国人と付き合う法』
(WISDOM7/29)から。

<最近、南シナ海や東シナ海における領有権問題の議論が激しくなってい
る。政治的な議論をするつもりはないが、中国のあるウェブサイトを読ん
でいたら、中国政府の幹部が大意において以下のような発言をしたと報じ
られていた。

「中国外交には以下のような特徴がある。もしあなたが私と良い関係にあ
り、私のメンツを立ててくれれば、それにふさわしい配慮をして、譲歩す
ることにやぶさかでない。しかし、仮にあなたが私のことを尊重せず、強
い態度に出るなら、こちらも強い姿勢で臨む」

この発言は中国人の思考の脈絡を考えるうえで、とても興味深い。

この発言の根底に流れている論理は「先に相手がこうしてくれれば、私は
こうする」という考え方である。まず自分のメンツを立てるのは相手であ
る。まず相手の行動を期待する。くだけた言い方をすれば、相手に「先払
い」を求めているのである。

政治の場だけでなく、同様の発想は中国の日常生活に根強く流れている。
今回はそんな話をしたい。

*他人に冷たい中国人

中国の社会で暮らすと実感することだが、中国の人々は見知らぬ人に対し
て非常に冷淡である。例えば、マンションでエレベーターに乗る。途中の
階で誰かが乗ってきたとする。その人が顔見知りである場合を除き、ほと
んど無反応である。日常生活で他人と挨拶を交わすという習慣はほぼない。

お店や飲食店などに行っても基本は同じである。お客が笑顔で歓迎される
ことは少ない。最近でこそ従業員教育を施した店も増えてきて、客が来る
と「歓迎光臨(いらっしゃいませ)」などと声をかける店も増えてはきた
が、それでも大方の従業員は義務的にやっている感じで、店主が目を離す
とすぐに元に戻ってしまったりする。

だから初めて中国に来た外国人は「中国はサービスが悪い」「中国人は愛
想がない」「ぶっきらぼう」などといった印象を持つことが多い。

しかし、実はこの問題を解決する非常に簡単な方法がある。誰でもできる
即効性のある方法だ。それは、こちらから先に笑顔で挨拶をすることであ
る。そうすると中国の人たちは多くの場合、途端に花が咲いたような笑顔
になり、時には慌てたように挨拶を返し、以後、私に対してにこやかに接
してくれるようになる。これは高い確率で有効な方法なので、中国に行く
機会があったらぜひ試してみていただきたい。

*「自尊心の維持」から出発する中国人

なぜそういうことになるのか、そのメカニズムを分解してみよう。

この行動には、中国社会の面子(メンツ)の問題が大きく影響している。
メンツとは「“自分が他人より優れている”ことを周囲に認めさせたい」と
いう意識である――と第33回「面子とは何か〜中国社会を動かすエネルギー
源」で書いた。なぜ中国人が、一般に他人に対して愛想がよくないのかと
いえば、それは中国人の心理の根底に「自分を低く見られたくない」とい
う意識があるからである。

中国社会では「自尊心」が非常に重く考えられており、「自分の本心を覆
い隠して他人に迎合する」とか「プライドを省みずに他人に媚びる」と
いった行為を強く否定する。そしてそういう行動をする人を嫌うし、信用
できないと考える。もちろん、自分はそういうことを絶対にやりたくない
と思っている。

やや極端に言うと、日常の行動がすべて「自尊心の維持」という観点から
出発している。ふだん街を歩いている時でも、「私は私だ。なぜ他人に媚
びへつらわなければいけないのだ」と思っている。中国人を見たら「自尊
心のかたまり」が歩いていると考えてちょうどいいくらいである。

というようなことだから、中国社会では「自分のほうから他人に笑顔でア
プローチしていく」という行動が起きにくい。むしろ、見境なく周囲に愛
想を振りまくような人間を低く見る傾向すらある。「あいつは右顧左眄し
ている。確固たる自分というものがないのか」というわけだ。

多かれ少なかれ、誰にもこういう意識があるから、自分から率先して相手
に好意を示そうとする人が少ない。日本人がなんとなく常に曖昧な微笑み
を浮かべているのに対し、中国人はあまり人前で笑顔を見せない。常にし
かめっ面をして歩いているような印象がある。要するにそれは、自分が見
くびられるのが嫌だからである。

*「あなたがそうしてくれるなら…」

ところがこういう自尊心の強さは、相手から先に自分に対する好意が示さ
れた途端、一瞬にして満足される。自分は自分のままなのに、相手から先
に笑顔で挨拶されたということは、自分の存在が相手から認められた、相
手から自分が尊重されたことに他ならない(と中国人は受け止める)。こ
うなると嬉しくて仕方がない。そして突然、満面の笑顔になって、自分を
尊重してくれたその相手に、自分も最大限の好意で向き合おうとするので
ある。

要するに誰もが相手に好意の「先払い」を求めている。これが中国社会の
共有されたルールというか、行動のスタンダードになっている。

*「後払い」の日本社会

こうした考え方は社会の隅々にまで及んでいる。例えば、中国人の働き方
がそうである。中国の人たちは会社から評価を先払いしてもらわないと働
かない。「賃金の前払い」ではない。「自分に対する評価」の先払いであ
る。

どういうことか。日本社会の考え方と比較しながら説明してみよう。

日本社会の働き方はすべからく「後払い」である。「まずとにかく頑張
れ。悪いようにはしないから」とか「入社○年ぐらいは修行だと思って文
句を言わずに働け。まず自分の力をつけるのが先だ」といった類の考え方
は、建前上はともかく、本音では現在も根強くある。こうした考え方に反
発し、経験が乏しいうちから自分の力を認めてほしいと主張すると、「生
意気だ」「10年早い」などと言われる。

働く側の個人も、なんとなくそういうものだと思っていて、とにかくまず
実力をつけることが先で、要求を表に出すのはそれからだと考える傾向が
強い。まず良い仕事をする。報酬は自ずとついてくる――といった話が日本
人は好きだし、実際にそう考えてコツコツと努力をする人が少なくない。
これは明らかに日本人の美徳だろう。

終身雇用的な考え方は崩れてきてはいるものの、日本の大きな組織の人事
体系は新卒採用が軸で、長期間かけて組織内で能力形成していくのが普通
だ。そこでは今でも、若いうちは比較的低い賃金に甘んじて経験を積み、
10〜20年といった長い年数をかけて帳尻を合わせる。これも一種の後払い
的な発想ということができる。

*評価を「先払い」する中国社会

ところが中国社会はそうなっていない。先に述べたように、中国人はさな
がら「歩く自尊心」だから、まず自分の能力が認められなければ、そもそ
も働こうという気にならない。まず自分のことを高く評価してほしい。当
然それには、評価に見合った報酬が附属するはずである。そうすれば自分
は一生懸命働きます――というのが普通の感覚である。

だから、中国人の経営者やマネジャーは、人を採用する時はもちろん、日
常業務の中で部下を動かそうとする時、常に評価の先払いを心がける。誰
かにある仕事を任せたいと考えた時、心中では「こいつに任せて大丈夫か
なあ」と思っても、「キミは素晴らしい力がある。キミならできる」と持
ち上げて、働かせる。その一方で、現実の能力は疑わしいのだから、進捗
のプロセスをチェックする仕組みを確実に構築しておく。

当然、その人材に能力があることを認めたのだから、それに見合った報酬
を先に約束する。ただその場合でも、報酬の一部を目標達成後に支給する
成果報酬としたり、もし達成できなかった場合には、降格や最悪の場合、
契約を延長しないといったペナルティが待っているのが普通である。

このように働き方の面でも、中国社会には先払い的感覚が存在している。
もちろんこれは、全体としてそのような傾向があるという話であって、個
別には当然そうでない個人も企業もあるし、どちらが良くてどちらが間
違っているという話ではない。具体的に検証してはいないが、世界を見渡
せば、こういう先払い的感覚のほうが世界の多数派かもしれない。

*優秀な人が寄ってこない日本企業

その結果、何が起きるかというと、日本企業に優秀な人材が集まりにくく
なるのである。日本企業は人に対する評価も、それに伴う報酬も「後払
い」なので、中国人的感覚からすると、「自分は認められていない。自分
の価値が正当に評価されていない」という思いがつきまとう。その結果、
強い意欲が湧いてこない。また賃金体系も後払い的色彩が強いので、本当
にそのお金がもらえるのか、心もとない。「実力が伸びたら払うよ」と日
本人は言うのだが、本当にそれが実現するか、確信が持てない。

そんなことがあって中国の日系企業では、なかなか高い実力を持った人を
引きつけにくいうえに、いったん入った人材であっても、働いているうち
に自分に対する会社の評価に疑念を持ち始め、退社してしまうというケー
スは非常に多い。先払いか後払いかという感覚の差は、さまざまなところ
で影響しているのである。

*なぜ中国人は日本に来て気分が良くなるか

中国社会では先に述べたように、すべての人が相手から先に自分を立てて
くれることを期待しているので、互いに牽制し合って、双方が「オレは偉
いんだぞ」と意地を張っているようなところがある。この「メンツのせめ
ぎ合い」は傍から見ているとなかなか面白く、興味尽きないものがある
が、もともとあまりメンツに深いこだわりがなく、実利を取ればいいと考
えている人間から見ると、効率悪いことこのうえない。

別に人に頭を下げても減るものではなし、こっちから先に挨拶したところ
で自尊心に痛みがあるわけでもない。別にそれで相手の気分がよくなり、
その場の雰囲気が明るくなって仕事がスムーズに進めば、こちらにとって
もメリットがある。さっさとそうしてしまえばいいのにと思うことは少な
くない。

近年、中国から日本に旅行に来る人が激増し、そのほとんどの人が日本で
の接客やサービスに大きな満足を得て帰っている。中には一種の「日本中
毒」になってしまい、「日本のサービスが忘れられない」と年に何度も日
本を訪れるようになってしまった知人もいる。

どうしてそういうことが起きるのかというと、中国ではたとえ商売であっ
ても、そこに従事している人は、自尊心が邪魔をして自分から先に一段へ
りくだってお客を尊重するという行動を取りたがらない。香港や台湾の社
会はまだしも、供給側に有利な、硬直した計画経済の時代が長く続いた大
陸中国ではなおそうである。

そこへいくと日本社会は、まずお客を尊重する。仮に少額しか買わないお
客であっても、お客はお客、丁重に応対する。そういう職業意識がある。
お客に頭を下げて自尊心が傷つけられるという人は日本には少ないだろ
う。こういう態度に中国人は弱い。

「自分は尊重された、大事に扱われた」と感じると、相手にも好意を持た
ずにいられなくなる。相手からの尊重に自分も応えなければならないと思
う。中国人とはそういう人たちである。これが中国人の日本旅行人気、日
本での旺盛な消費の一つの理由になっている。

*評価の戦略的な先払い

そういう習性があるので、中国社会でも、優れたリーダーや商売人になる
ような人は、この中国人の感性を最大限に利用する。つまり率先して自分
から相手を尊重して、それで相手を動かそうという戦略を取るのである。
要するに評価の戦略的な先払いである。

中国の優秀な人は、まず自分の周囲にいる人の能力を自分から率先して認
める。それを言葉や形にして、大仰なくらいに表現する。自分のほうから
部下や目下の人間に積極的に声をかける。

社会的、社内的に地味な仕事、目立たない業務、辛い仕事に就いている人
に積極的に目を配る。相手を尊重し、自尊心を満たす。その種の仕事に従
事している人からみれば、自分よりも優越的な地位にある人から声をかけ
られれば嬉しくないわけがない。あの人は見ていてくれた、自分が尊重さ
れたという証(あかし)だからである。

そうやってメンツをどんどん先払いして、人に「貸し」をたくさんつく
る。それを貯めておいて、いざという時にドンと使う。

私はもういい歳だから(平井:55歳くらいか)、周囲の友人知人は年齢的
にも成熟して比較的裕福な層が多い。そういう人たちの行動を見ている
と、何かにつけてプレゼントを贈ったり、旅行先でお土産を買ってきた
り、こまめにWeChat(微信)などのSNSでコンタクトしたりしながら、周
囲の人間を褒め、相手の家族を褒め、「私はあなたを尊重していますよ」
というメッセージを送り続けている。これはすべて何かの時のための「先
払い」なのである。

*「実を捨てて名を取る」社会

だから私もそういう優秀な中国人を見習って、できる限り先払いを心がけ
ている。タクシーに乗ったら、まず自分から運転手さんに笑顔で「ニイハ
オ」と言う。無反応なことも少なくないが、めげない。

マンションのガードマンさんには行き帰り、必ず笑顔で挨拶し、できる限
り雑談して、さりげなく労をねぎらう。ホテルやレストランでトイレに
入って、中で掃除をしている人がいたら「謝謝」とお礼を言う。とにかく
「先払い」する。

そうやってみると、中国の社会は格段に生きやすくなる。みんな私に好意
を持ってくれるからだ。偉そうにしていても何もいいことはない。

さすがに国家間の関係となると、先払いばかりしている訳にはいかないか
ら話は複雑だが、相手の心理を考えるヒントにはなる。

「名を捨てて実を取る」という言葉があるが、中国社会はある面、多くの
人が自ら好んで「実を捨てて名を取っている」ようなところがある。この
あたりに「中国」という巨大な存在とうまく付き合うカギがあるように思
う>(以上)

実に上手いね。支那流は「俺の面子をまず立てろ」なのだ。「さすがに国
家間の関係となると、先払いばかりしている訳にはいかないから話は複雑
だが、相手の心理を考えるヒントにはなる」、なるほど、日本が習近平を
たたえ、譲歩すれば、WINWINで13億市場にアクセスできるというわけだ。

ところが日本企業の現実は「もうウンザリ、中国とは市場欲しさに“耐え
がたきを耐え、忍び難きを忍んで”付き合ってきたが、もうピークは終
わった、中国ビジネスは今やお荷物、いかに撤収するかが課題だ」となっ
ているだろう。

覆水盆に返らず、日本企業の中国進出を先導したパナソニックを2012年に
破壊した時点で、日中友好は終わったのだ。彼らは「井戸を掘った人」を
忘れるどころか血祭りにしたのである。我々は、少なくとも小生はこの暴
挙を永遠に忘れない。血は血で贖われるべきである。

経営の神様を侮辱した報復として、小生は中共党員8000万人は必ず殺す。
天安門式に戦車で踏みつぶす。それが嫌なら離党せよ、離党して誠意を示
せよ、先払いで「俺の面子をまず立てろ」や、習近平の首を持って来い。
さすれば情状酌量で罪一等を減じ、死罪から永蟄居閉門にしてやろう。汚
染大陸で自滅するがいい。

日本人の多くはそんな風に思っているのではないか。習近平が「平和的台
頭」「韜光養晦」をやめて「偉大なる支那民族の復興」へ舵を切ったとき
に、中共は後戻りできない「面子迷路GO」にはまったのだ。間もなく穴に
落ちるだろう。(2016/8/6)



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