2016年08月10日

◆「1億総ゆるキャラ」では戦えない

平井 修一



柚留木廣文氏/ジャーナリストの論考「東シナ海上の領空侵犯 早急に法
的不備の是正を」(世界日報8/5)から。

<*中国の危険な挑発行動

中国の「南シナ海は漢の時代の2000年前から中国の一部だった」という噴
飯物の主張に対して、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は「歴史的な権利を
主張する法的根拠はない」とする判決を示した。この判決は「最終的なも
の」であり、「紛争当事国は仲裁判断に従う義務がある」と国連海洋法条
約に定められている。

しかし案の定、中国は仲裁裁判を「政治的茶番」だとか、判決を「ただの
紙屑(かみくず)だ」として従わない立場を強調しており、中国の無法ぶ
りはいよいよ極まれりである。

このところの習近平国家主席や李克強首相、王毅外相らの言動は正常とは
とても思えない。これら首脳の顔つきを見ていると、さながら伝奇小説
『水滸伝』に描かれる盗賊首領の宋江らの風貌が二重写しになってくるの
だ。中国共産党政府は国際法や世界秩序に反抗する恰(あたか)も無法者
と盗賊の巣窟となった梁山泊のようなものだ。

これが世界の平和と安定に責任を持つ国連安全保障理事会の常任理事国で
ある中国の本性なのだということを肝に銘じておかねばならない。

情勢の悪化が懸念されるのは南シナ海だけではないのである。東シナ海に
おいても累卵の危機が迫っているのだ。6月9日、中国海軍のフリゲート艦
が尖閣諸島周辺の接続水域内に入り、初めて尖閣諸島沖にミサイル搭載の
軍艦が姿を現した。

そして15日には中国海軍の情報収集艦が鹿児島県沖の口永良部島周辺の領
海に侵入し、続けて翌日に沖縄県の北大東島周辺の接続水域にも入った。
中国の挑発行動が新たな段階に入ったと言わざるを得ない。

さらに中国の危険な挑発行動が東シナ海の海上のみならず上空でも起きて
いたことが判明した。その事実を公表したのは元航空支援集団司令官の織
田邦男元空将である。

元戦闘機パイロットでもある織田氏によれば、同17日、中国軍の戦闘機が
空自のスクランブル(緊急発進)機に対して極めて危険な挑発行動である
攻撃動作を仕掛けてきたという。空自戦闘機はドッグファイトに巻き込ま
れ、不測の状態が生起しかねないと判断し、自己防御装置(フレア)を使
用しながら中国軍機によるミサイル攻撃動作を回避しつつ戦域から離脱し
たというのだ。

これは極めて緊迫した状況であったと推知される。日本政府は一切公表し
ていないが、東シナ海の上空では毎日のように中国の危険極まりない挑発
行動が続いているというのである。

織田氏は月刊誌『Hanada』(9月号)で中国軍機の攻撃動作を告発した理
由を「法制上に大きな欠陥があることを指摘したかったからだ」とし、次
のように述べている。

自衛隊法にはどこまで武器の使用ができるかという「権限規定」が定めら
れているが、「領空侵犯措置」だけが権限規定がない。法律に明示されて
いないことは何もできないというポジティブ・リストの解釈で、正当防衛
と緊急避難の武器使用は別として、領空侵犯措置任務遂行のための武器使
用は認めないということだ。これでは無法な中国軍機による領空侵犯は防
ぎようがない、と法的不備の是正を訴えているのだ。

*2機で緊急発進の理由

以前、スクランブルの任務に就く若い2尉(中尉)のパイロットに、なぜ2
機が同時に発進するのかを訊ねたら「僚機がやられたら武器を使用するこ
とができるからだ」と答えたことを思い出す。政治の責任はつくづく重い
と思い知らされる。
安保法制の整備で事足れりと思っていたらとんでもない。こうした自衛隊
法の改正こそ急がねばならないのだ>(以上)

「どんな国家でも、その国民一般の平均水準以上の指導者を持つことはで
きない」という。精神分析学者の岸田秀(しゅう)の言葉で、山本七平と
の対談集「日本人と『日本病』について」(文藝春秋、1980年)による。
アマゾンの書評欄にはこういう言葉があった。

<日本の秩序がどのような構造でできているのか――。たとえば日本では
「共同体の一員」としての組織がなりたっている。それに対して、外国は
「奴隷」とみなして能率的なシステムを考えだす>

「みんな友達、仲良くやっていこう」という日本、日本以外は「社員は怠
けるから報酬で尻を叩くしかない、できない坊主はクビだ」。どちらが現
実的かというと、日本以外だろう。

日本は上は総理から下は小4中2レベルのテレビ脳まで「1億総ゆるキャ
ラ」、露天風呂のように快適だけれども、現実的ではないということだ。
現実を見ない、見えない、見たくない・・・これでは戦争に勝てない。

「防衛白書、新たな事態への対応策説明を」(世界日報8/7)から。

<今年の防衛白書が発表された。白書の指摘通り、「アジア太平洋地域に
おける安全保障上の課題や不安定要因は、より深刻化」している。

この環境下で、日本の安全と国益をどのように守るかが政府・防衛当局の
課題だが、これまで通り「日米同盟の強化」を強調している程度だ。 

*安保上の課題が深刻化

わが国の安全保障を考える際、世界情勢、中でも北東アジア情勢について
の的確な認識が不可欠であることは言うまでもない。

ただ注意すべきは、現状認識は安全保障戦略、政策を策定するための前段
の手段であって、それ(現状認識)自体が目的ではない。防衛省は、白書
を通して国民に、新事態への対応策案や必要な防衛装備を説明すべきである。

ところが、白書は従来通り、現状認識とこれまで防衛省が実施した施策に
多くのページを費やしている。「より深刻化」した事態への新対応策への
言及はなきに等しい。

安保法制の制定は新対応策と言うより、集団的自衛権の行使に関する国際
常識を一部取り入れたにすぎない。

中国の沖縄県・尖閣諸島奪取の動き、南シナ海での人工島建設・軍事基地
化や、北朝鮮の核弾道ミサイル開発の進展は、むしろ「危機の新たな段
階」である。従って、集団的自衛権行使に関する憲法解釈を、国際常識に
一歩近付けただけで対応しきれるものではない。

わが国では新たな安全保障上の変化が生じると、いつも日米同盟の深化、
強化が持ち出される。かつてはそれで切り抜けられた。

だが、大きな変化が起こっているのは北東アジアだけではなく、欧州連合
(EU)や米国などでも生じつつある。冷戦終結後、理想とされてきた国境
なき共同体に対する見直しもその一つだ。

頼りにしている米国内でも、日韓など同盟国に米軍駐留経費の全面的負担
を求め、親中国的態度を表明しているドナルド・トランプ氏が共和党の大
統領候補になったのである。米国の建国の父たちの教えは「孤立主義」と
いう点も想起すべきである。

仮に同氏が大統領に当選しなくても、同氏の主張を支持した多数の米国人
がいるという点を忘れてはならない。

かつてマキャベリは「同盟に安全を託する国家は危うい」と指摘したこと
がある。このため、安全保障面で米国の支援が得られなくなればお手上
げ、という事態は避ける必要がある。

国家の安全保障は個人の生命保険のような性格を持っている。一か八かで
はだめなのだ。従って、我々に求められる安全保障政策は、重層的な対応
策の構築である。 

*自衛隊の攻撃能力整備を

このように見てくると、自衛隊の攻撃能力を整備することが必要な事態に
なっている。運動競技でもそうだが、攻撃能力がなければ必ず敗れるから
だ。それとともにここ10年近くの防衛費削減で、弾薬、ミサイルの備蓄は
大きく減少している。有事における自衛隊員の死傷を懸念するよりも、継
戦能力の回復が喫緊事である>(以上)

非核三原則(勝たない、勝てない、勝ちたくない)、専守防衛(首を引っ
込めた亀)などと「国民一般の平均水準=中2レベル」に合わせた寝言を
唱えたところで安全保障は一歩も前進しない。美空ひばりの「お祭りマン
ボ」状態だ。

<♪私のとなりのおじさんは 神田の生まれで チャキチャキ江戸っ子 お祭りさわ
ぎが大好きで

ねじりはちまき そろいのゆかた 雨が降ろうが ヤリが降ろうが 朝から晩ま
で おみこしかついで ワッショイワッショイ ワッショイワッショイ

景気をつけろ 塩まいておくれ ワッショイワッショイ ワッショイワッショイ ソーレ ソレソレ お祭りだ

おじさんおじさん大変だ どこかで半鐘がなっている 火事は近いよ スリバン
だ 何をいっても ワッショイショイ 何をきいても ワッショイショイ ワッショイワッショイ ワッショイワッ
ショイ ソーレ ソレソレ お祭りだ

おばさんおばさん大変だ おうちは留守だよ からっぽだ こっそり空巣が
ねらってる

何をいっても ピーヒャラヒャ 何をきいても テンツクツ ピーヒャラピーヒャラ テンツクテンツク ソーレ
ソレソレ お祭りだ

お祭りすんで 日が暮れて つめたい風の 吹く夜は 家を焼かれた おじさ
んと ヘソクリとられた おばさんの ほんにせつない ためいきばかり

いくら泣いても かえらない いくら泣いても あとの祭りよ>↓
https://www.youtube.com/watch?v=OXpsI0TZpwM

「1億総ゆるキャラ」では戦えない。後世の人は今の時代を「お祭りマン
ボ時代」と名付けるだろう。(2016/8/8)
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