2016年08月12日

◆「脚光を浴びる殺人」マニア

平井 修一



相模原殺傷事件も犯人は「脚光を浴びる殺人」を狙ったのだろう。「独精
神分析学者『脚光を浴びる殺人』」(世界日報8/5)から。

<独精神分析学者マーチン・アルトマイヤー氏は独週刊誌シュピーゲル
(7/30号)に「脚光を浴びる殺人」という見出しのエッセイの中で「テロ
リストは病的なナルシスト」と述べている。

テロリストは、国際空港で、劇場で、フランス南部ニースの市中心部のプ
ロムナード・デ・ザングレの遊歩道付近で、ショッピングセンター周辺
で、といった公共の場でテロを行う。

アルトマイヤー氏は

「Amoklauf(暴力の暴発事件)とテロの違いはなく、脚光下の殺人は犯人
の全能ファンタジー(Allmachtsfantashie)の演出と理解すべきだ。殺人
動機が精神疾患によるものか、破壊された自己像、世界観の結果か、宗教
的、政治的イデオロギーによるかとは関係ない。両者は巨大な侮辱への怒
り、病的な抹殺欲、完全な狂気によって動かされている」

と分析している。

ミュンヘンのオリンピア・ショッピングセンター(OEZ)の銃乱射事件も
アンスバッハの野外音楽祭会場前の自爆テロも単独犯行だったが、必ず犯
行を見ている人々がいる。犯行後の声明もビデオでの犯行宣言も全て病的
なナルシズムの自己表現となる。

オペラや演劇では観客が多く、拍手喝さいが多いほど成功となるように、
暴発行為やテロでも犠牲者が多いほど成功であり、自己のナルシズムを満
足させることができる、というわけだ。

ミュンヘンの銃乱射事件の18歳の犯人は過去の大量殺人事件を詳細に研究
していた。犯人が強い関心を寄せていたノルウェーのアンネシュ・ブレイ
ビク容疑者(37)は5年前の7月22日、オスロの政府庁舎前の爆弾テロと郊
外のウトヤ島の銃乱射事件で計77人を殺害したが、拘束された直後、

「オスロの爆発が計画通りにいけば、自分はもっと多くの人を殺すことが
できた」

と悔しがったという。ミュンヘンの犯人は自殺することで事件の幕を閉じ
たが、彼のリュックサックには300個以上の弾薬があったという。彼はブ
レイビクの大量殺人を意識していたわけだ。

なお、歴史学者 Dan Diner 氏はその著書の中で、イスラム教世界の停滞
について言及し、

「イスラム教徒の連帯的無意識の中にあるナルシスト的な痛み、傷ついた
自尊心、それらを克服するために彼らは絶望的な努力を繰り返すが、結局
は過去の西側の植民地化にその責任を帰してしまい、イスラム指導者の責
任、教育の欠如などを無視し、イスラム教徒への慢性的差別に不満を吐露
している」

と述べている。イスラム教世界の“歴史的なナルシズム”を指摘しているわ
けだ。

ちなみに、アルトマイヤー氏は寄稿記事の中で「イスラム過激派テロ組織
が主張するイスラム全体主義は20世紀の2つの全体主義(共産主義とファ
シズム)から遺産を相続している」と興味深い点に言及している。

同氏によると、イスラム全体主義は共産主義とファシズムに酷似している。

1)「偏執的な世界共謀説」、共産主義にとって資本が敵であり、ファシ
ズムにとってユダヤ民族だった。イスラム全体主義には堕落した西側世界
が悪となる、

2)「理想とするユートピア」、共産主義では無階級社会、ファシズムで
はアーリア人世界、イスラム全体主義はイスラム教をシャリア(法律)と
したカリフ制国家、

3)「蛮行に対する道徳的理由」、プロレタリアの名による階級闘争、民
族の名によるユダヤ民族抹殺。イスラム全体主義は無信仰者、異教者への
戦闘、

4)「終末的な殉教者、死のカル ト(Todeskult)」、英雄的、社会的、民
族的革命家のように、イスラム全体主義は神の戦士だ。(ウィーン在
住)>(以上)

ジョン・レノンを銃殺した犯人は「俺はビッグになりたかった」とほざい
たそうだが、一人で自殺すればいいものを人を巻き込んでの自殺も一種の
「脚光を浴びたい」願望だろう。「世間を騒がせたい」という「劇場型犯
罪」の面もうかがえる。

南/東シナ海で暴れまくる中共海軍も武力衝突には至っていないが「脚光
を浴びる殺人」を狙っている。「脚光を浴びたい」、そして称賛を受け、
面子が大いに高まって満足する。カネ(予算)も入るし、人民も喜ぶし、
政府への求心力も高まるから一挙三得だと思っているに違いない。

プーチン・ロシアや金北豚・北朝鮮もその類だろう。

相模原殺傷事件を契機に日本でも「脚光を浴びる殺人」は増えるはずだ。
隣は何をする人ぞ、とんでもない殺人鬼、犯罪予備軍かもしれない。巨大
な侮辱への怒り、病的な抹殺欲、完全な狂気によって動かされる「脚光を
浴びる殺人」。

世界有数の安全な日本でも、常に警戒していないと犠牲者、被害者になっ
てしまう。(社)日本防犯設備協会の「防犯設備推定市場の推移」を見る
と、平成26年度の時点で市場規模は1兆2000円を突破し、過去最高になっ
た(防犯・監視カメラや機械警備業を含む)。

防犯ブザーや催涙スプレー、警棒、スタンガンなどの身の回りの防犯・防
護グッズも売れているようだ。『相模原の障害者施設での殺傷事件で「さ
すまた」の注文が殺到しております。「さすまた」は不審者の確保に大変
有効です。不審者に対し2本で対処するのがお勧めです』(ALSOK)。

警察がいつも近くにいるわけではない。自分の身は自分である程度は守れ
るようにした方がいい。小生はナイフ付きのワインオープナーを携行して
いたが、自分の方が危険ではないかと放棄した(死傷事件を起こしかねな
い)。今は鉄筋仕込みの杖を考えている。

自分の国を守るのは基本的に自国の軍隊だ。抑止力として同盟関係は重要
だが、それに頼り切ってはいけない。備えあれば憂いなし、タブーをなく
してしっかり備えないと中共軍の「脚光を浴びる殺人」の犠牲者になって
しまう。一寸先は闇、この世は危険に満ち溢れている。(2016/8/10)

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