2016年08月15日

◆トルコ、大転換を開始した

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016) 8月13日(土曜日)通算第4991号 >  

 〜エルドアンのトルコ、大転換を開始した
 アサド政権を容認、IS空爆は黙認、そしてイスラエルと間もなく復交〜

8月9日のトルコ、ロシア首脳会談以後、トルコの変貌ぶりは驚くばかり
である。

米国駐在だったトルコのNATO代表はムハマド・ゼキ将軍。クーデタ失
敗直後から姿を隠し、米国亡命を希望しているという。

ギリシア駐在武官の軍高官ふたりは家族もろともカーフェリーでイタリア
へ逃亡したことが判明した。

米国亡命中のギュラン師を送還するようトルコがオバマ政権に要求してい
るのに対して、米国は人道上の理由から「クーデタ首謀者という証拠が稀
薄である」として送還に応じていない。

EU諸国はトルコが死刑復活を計画していることを極度に警戒し、エルド
アン批判に転じている。EU加盟国の条件のひとつは死刑廃止である。

またトルコ議会は月末までにイスラエルとの復興を承認する手はずで、ち
かくトルコ外務大臣がエルサレムへ向かう。両国は2011年、ガザ暴動で巻
き添えとなったトルコ人10人の死亡事件以来、大使を召還し、外交的に絶
好状態にあった。

トルコはロシアの勧告に従ってシリアのアサド政権を黙認し、ロシアの
IS空爆を容認する構え、これはトルコ外交の大転換以外の何ものでもな
い。アサド政権打倒を叫び、多くのIS志願兵のトルコ経由シリア入りを
黙認してきた基本方針ががらり変更するわけだ。

従来、トルコはISの石油密輸を手助けし、あるいはIS要員がトルコ経
由でシリア領内に潜入するルートを根絶せず、西側との協調を装いなが
ら、独自の軍事行動を取ってきたのだから。

極めつけがある。

ロシアにとっては「トルコがNATOから脱退する」ことが本音の希望で
ある、ロシアのメディアが一斉にトルコ、NATO離脱かという観測記事
を連続して掲載し始めている。「NATOはトルコを失うだろう。それは
ひとえにNATO同盟のミステイクから起きるのだ」(英文プラウダ、8
月11日)。

非合法に政権を掌握しようとした軍事クーデタは「法治の原理に背く」と
して西側はトルコの民主主義を称賛したが、その後の反対派への弾圧に対
しては一斉にエルドアン批判を展開してきた。

軍人、警官、教職人、公務員およそ7万6000人のパージは「民主主義の手
続きを踏んではいない」として非難してきた。

すっかりつむじを曲げたエルドアンが、これみよがしにロシアとの蜜月を
演出するのは、外交的牽制であり、またNATO諸国への外交カードでも
ある。

だが、最初は小さな歯車の狂いも、修正が遅くなればなるほどに修正不可
能となる。エルドアンの暴走を西側は放置するのか。
  
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