伊勢 雅臣
法輪功信者などを数万人単位で逮捕しては、死刑囚として「解体」して臓
器を取り出し、臓器移植を希望する人に売りつける、という「臓器ビジネ
ス」が中国では行われていました。
一方では、チベットでは、中国の弾圧に抗議して、焼身自殺した人々が百
人を超えています。
こういう中国の人権犯罪を報道しない日本のマスコミは、その犯罪に荷担
し、かつ我々の子孫がその被害者となる道を推し進めています。
■野村旗守「『臓器狩り』の闇」「正論」H28.1
2015 年4月、中国の臓器売買を扱ったドキュメンタリー映画『人間狩り
(Human Harvest)』が米放送界の名門、ピーボディ賞を受賞した。・・・
国際調査による数々の証拠を提示しながら、中国が国家ぐるみで受刑者の
生きた人体から臓器を抜き取っている現実を指摘した。
06 年4月20日、ワシントンDCで開かれたシンポジウムでアニーと仮称す
る中国人女性が衝撃的なスピーチをおこなった。
「うちの病院で手術された信者は、腎臓や肝臓などの臓器が摘出され、皮
膚が剥がされると、後はもう骨と肉ぐらいしか残りません。そういった遺
体は、病院のボイラー室に放り込まれました」
アニーの元夫は、2年ほどのあいだに2千人ほどのドナーから角膜の摘出手
術をおこなった。そのたびに月給の何十倍もの現金が支給され、彼女の元
夫は通算で数十万ドルの現金を手にしていたとアニーは言う。
角膜以外に摘出される臓器は、心臓、肝臓、腎臓が多かった。たとえば肝
臓なら、摘出された臓器は約20 万元(約300万円)でレシピエント(患
者)に移植されていた。
囚人の健康状態、血液型、細胞組織形態などを精査し、適する臓器提供者
を見つけては、旅行者の滞在期間中に刑を執行する。これはすなわち、需
要のために人を殺す、オンデマンド殺人だ」『国家による臓器狩り』自由社)
この「オンデマンド殺人」の“恩恵”を、じつは日本人も受けていた。04
年と05年の2年間に、計108人の日本人が訪中して腎臓や肝臓の移植手術を
受けていたことが、これを斡旋していた日本人コーディネー夕ーの証言で
わかった。この人によれば、日本国内ではドナーの数が少ないため、待ち
きれないレシピエントが最大の臓器提供国である中国に渡航していたのだ
という。
移植手術は北京、上海、瀋陽の有名病医院で施術され、費用はアメリカの
十分の一以下で済んだ。別の関係者は「日本人を含め、中国で手術を受け
るための移植ツアーは07、08年を最後に、現在おこなわれていない」と語る。
中国共産党は2015年には死刑囚からの臓器提出は止めると表明したが、額
面通りに受け止めている人は少ない。
■三浦小太郎「話題の書『チベットの焼身抗議』の警告」、「正論」H28.1
2012年1月6日、四川省ンガバ(中国側の統治区域名を使えば、ンガバ・チ
ベット族・チャン族自治州)の路上にて焼身抗議を行った22 歳の青年、
ロブサン・ツルテイムの遺書
「1958年、中国により侵略された後、100万人以上の人々が殺され、僧
院、宝物、家々、そして文化が破壊され、すべての国と個人の貴重な財産
は奪われ、チベット人の第一の精神的よりどころであるダライ・ラマ法王
は亡命を余儀なくされ、リーダーたちも亡命したり、獄に投げ入れられた
りした。そして今、常軌を逸した『愛国再教育』が僧院で行われている。
これは如何なるチベット人も受け入れることができないものである」
婦人ドルカル・キは2012年8月7日に焼身抗議を行ったが、中国当局は、妻
の焼身は抗議ではなく家庭内不和にあったという書面にサインすれば見返
りに金を与えようと持ちかけ、きっぱりと拒否した夫サンゲ・ドウント
ウップはその一週間後に連行され行方不明となっている。
2009年2月に始まり、本書が書かれた2015年8月1日まで、焼身抗議は47人
におよび、うち123人が死亡している。
チベット人の焼身抗議は絶望から行われているのではない。自らの犠牲を
通じて、世界がチベットの現実を知り行動することへの希望こそが焼身抗
議の原点なのだ。