2016年09月01日

◆納豆OK「プラザキサ」なのに

渡部 亮次郎



納豆食べても大丈夫!ワーファリンに代る脳卒中予防の新薬ダビガトラン
(商品名:「プラザキサ」)承認

血管を詰まらせる血栓をできにくくして脳卒中を予防する新しい抗凝固薬
の製造・販売が厚生労働省から承認され、2011年4月から国内で発売され
た。私も2012年4月から服用し始めた。

従来薬「ワーファリン」は、納豆を食べると効かなかったが、新薬は食べ
合わせなどの影響はない。

独製薬大手べーリンガーインゲルハイムが開発した「プラザキサ」(成分
名ダビガトラン・エテキシラート)。血液を固めるトロンビンという酵素
に直接作用する。

心臓病の一種の「心房細動」(不整脈)の患者が1日2回服用すると、従来薬
よりも35%、脳卒中や全身性塞栓症の発症が減る。

1950年代から使われているワーファリンは、心房細動後の脳卒中予防のほ
か、人工関節や人工心臓弁の装着など血栓ができやすい手術の後に欠かせ
ないが、血液中の凝固成分を増やすビタミンKの作用を抑える薬なので、
納豆やクロレラなどビタミンKを豊富に含む食品は禁忌だった。

畏友石岡荘十さんは心臓手術をしているのだが、無類の納豆好き。我慢し
切れなくて食べたら、ワーファリンの効き目はたちどころに消えてしまっ
たそうだ。だから石岡さんにとって「プラザキサ」
の発売は実に待ち遠しいものだった。ところが、弁膜症経験者には
まだ許可がでないのは残念至極。

さりながら実は新薬だから医師は厚生労働省の指示で1回に処方できるの
は2週間分だけだったが、2012年4月からは指示が消えた。

もともとワーファリンは抗凝固薬として脳梗塞の予防などに用いられてい
て、脳梗塞の発症は、心房細動(不整脈)などの「心原性」と「非心原性」
の2つに大別される。

非心原性にはアスピリンやクロピドグレル、シロスタゾールなどの抗血小
板薬が、心原性には抗凝固薬の投与が推奨されている。

これは、心原性脳塞栓症については、大規模臨床試験の結果から、抗凝固
療法の効果が抗血小板療法の効果を上回ることが明らかにされているため
だそうだ。

ダビガトランは、経口直接トロンビン阻害剤で、血液凝固カスケードの下
流にあるトロンビンを阻害して抗凝固作用を発揮する。NEJM誌電子版に報
告された大規模臨床試験によって、ワーファリンの代替として有用である
ことが明らかになった。

ワーファリンは、食べ物や他の薬物の影響を受けやすい上に、個人による
変動が大きいため、プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)をモニタリ
ングしながら、至適用量を決める必要がある。だからせめて1ヶ月1回の
採血検査も欠かせない。

ところがプラザキサは治療域が広く、凝固モニタリングの必要性がないこ
とや、肝臓の薬物代謝酵素の影響を受けにくいこと、早期の効果発現など
の点で明らかにワーファリンよりも優れている。

ワーファリンは安価だが、凝固モニタリングの費用などを考えると、経済
的にも「プラザキサ」が優れている。

一昨年発刊された「脳卒中治療ガイドライン2009」では、心房細動を原因
とした脳梗塞が含まれる心原性脳塞栓症については、ワーファリンが第一
選択薬として推奨されている。しかし、この「プラザキサ」や現在、開発
が進められているファクター]a阻害剤などが次々に出てくるので、このガ
イドラインも近々変わるだろう。

心原性脳梗塞の予防薬としてはワーファリンが唯一の経口剤だったが、@
納豆などの食品、薬品に対する相互作用が多いA感受性に個人差があり、
血中濃度の安全域が狭く、定期的な採血検査を必要とする。など制約が多
い薬だった。

これに対して「プラザキサ」は納豆などのビタミンKに対する制約もな
く、採血をし、血液凝固能を測定する必要もない。今までワーファリンの
マイナスとされていた部分の多くを克服している。

またワーファリンとの比較試験ではワーファリンよりも有効性が高く、大
出血のリスクは有意に低かったという結果が出ている。

しかし、よい点だけではない。問題のひとつとしてワーファリンに対して
薬価が高いこと。プラザキサの標準量1回150mg1日2回だと
132.60×4=530.4円/日、ワーファリン1mgが1錠9.7円なのでかなり値段
が上がる。

60日分が3万円強。高齢期後半は1割負担だからそれでも3000円強。しかも
なぜか尿酸値が急上昇したため、納豆向こう2ヶ月間禁止を言い渡された。
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