2016年09月06日

◆予想を下回る「年金離婚」者数

川原 俊明

平成19年度4月、そして、さらに平成20年4月の法律改正により、厚生年金の離婚時分割制度が実施されるようになりました。
  
長年にわたり家庭内別居を続けてきた仮面夫婦。

この法案が審議されていた頃、彼らに朗報、とばかり、マスコミが騒ぎたてた年金離婚。年金分割制度の実施を機会に、平成20年4月以降、熟年離婚の急増が想定されていたのです。

ところが、意外な現実が判明しました。年金分割制度が実施されて約1年経過した統計では、なんと、「年金離婚」者数は、予想を下回っていたそうです。

様々な要因が考えられます。私は、次のように分析しました。

@分割制度への幻滅

分割額は、夫の厚生年金額の半分ではない。
分割制度は、夫名義の厚生年金額が、そのまま妻に半額分割されるものでないのです。
この理解が、徐々に浸透してきたのでしょう。

平成19年4月以降に離婚した夫婦は、それ以前の婚姻期間中の保険料納付記録が、2分の1を上限に、請求によって初めて、分割されます。夫の厚生年金額全体の半分分割、という幻想は、これで、醒めてしまいます。

A相続の方が得
 
せっかくの年金分割が、この程度か、となると、発想が代わります。ここまで我慢してきたのだから、もう少し、ついでに我慢しておこう。

どうせ、男の平均寿命は、女よりも、6歳ほど短いのだから、離婚で経済的に苦労するよりも、たっぷり、相続でもらったほうがいい。 この方が正解かもしれません。

B余りにも不況

不況下で生き延びるには、夫婦共同体がいい。
たとえ年金を分けてもらっても、この不況下で、別々の生活を営むには、経済環境が余りにもお寒い。
一から生活を始めることの経済的負担がどれほど大きいか。

多くの賢明な仮面夫婦さん。
夫婦は、いつまでも仲良くするものです。(完)
                         <弁護士>

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