馬場 伯明
カープのセリーグ優勝が目前に迫った。私は60年超の永年のカープファン
である。25年ぶりのこの嬉しさをどう表現すればいいのだろう。
「わからん?なぜこうなってしまったのか?」と古い巨人ファンである友
人T君がぼやく。正直な感想なのだ。それほど終盤の巨人の脆弱さが際
立っている。
私は巨人の弱さの原因や対策には関心がない。本誌4109号(2016.9.4)で
サッカー・野球などスポーツの技術等に造詣が深い前田正晶氏が明確に指
摘されている。《主力選手の高齢化と億単位の高給取り化。新人を育成で
きなかったコーチ・・》と。正鵠を射ている。
2016/9/3現在、カープは77勝47敗2引分、勝率0.621、2位巨人に13.5ゲー
ム差をつけ、マジッ ク6。圧倒的にリードしている。
個々の成績も、打率0.275(0.256ヤ)、本塁打136(112D)、盗塁108(72
ヤ)、得点614(534ヤ)、失点451(463巨)、防御率3.33(3.48巨)であ
り全部門でトップだ。なお( )は2位(略称)の数字。
「早く来い来い お正月」ではないが、今年は「盆と正月がいっぺんに来
て」「(桜の)花見」までしているような成績である。評論家や解説者は
「予想と結果」の一致という成果 (Outcome)で評価されるが、(カープ
OBの)小早川毅彦はカープ優勝を明確に予想した。他の人たちはほとんど
外れ・・・。
巨人ファンのT君には「まだカープファン?」「鯉の滝のぼりは5月まで」
「獲らぬ狸の皮算用」などと揶揄され、いよいよ4.5ゲーム差に迫った
2016.8.6には「さあ、メークドラマの再現だ」と真顔で脅された。「い
や、今年のカープは本物!」と反論した。
でも、でも(笑)、「助さん、角さん、もういいでしょう」。9月のカー
プにはこの「決め台詞」がよく似合う。マジック6のカウントダウン。
ところで、9月に入り新聞・TVなどがセリーグ最優秀選手(MVP)は誰にな
るのかとうるさい。とにかくカープには候補が多いからだ。
(9.4現在の)投手。野村祐輔は13勝3敗・防御率2.87・4位。ジョンソン
は13勝6敗・2.26・2位。黒田博樹は日米通算200勝を達成したが8勝8敗・
3.12・7位で、MVPには距離がある。
野手。2016人は若い鈴木誠也(22)がブレイクした。3戦連発の勝利打点
の本塁打は全国の野球ファンを痺れさせた 。「神(かみ)ってる(神が
かっているの略語)」という緒方孝市監督の言葉がすっかり定着した。鈴
木は打率0.337(2位)、本塁打24本、打点85。すばらしい。
新井貴裕(39)も凄い。2016年は通算2000本安打、300本塁打、1000得点
と記録ラッシュ。今、打点94で筒香に3点差の1位。打率も0.302で9位。
数々の重要な場面で打ったシーンが思い浮かぶ。攻撃・守備の両方で大き
く貢献した菊池涼介と丸佳浩もMVP候補として捨てがたい。
MVPはカープ球団に贈呈したい。全選手にやりたい。あえて絞るならば新
井貴裕(39)としたい。よくぞ阪神から戻った。その「カープ愛」に神様
が力を付与したと思う。まさに、新井も「神(かみ)ってる」。
私の先輩のMさん(男性)は千葉市在住の女性(と娘さん)の友人だっ
た。「娘さんがカープの新井貴裕と結婚!」と聞き、Mさんから広島市の
披露宴に誘われたが多忙で行けなかった。新井がMVPに選ばれたら最高
だ。祝福したい。
今年は球場へよく通った。東京ドーム、明治神宮野球場、横浜スタジア
ム、千葉幕張のQBCマリンフィールドなど。20回に近い。負けたときは巨
人ファンの人たちには報告しなかった。
この間の歴史は「男はつらいよ カープファン篇」にも見える。1975年の
感激の初優勝から1991年の優勝まではほぼ毎年優勝への夢をもらった。そ
の後の低迷・・・、「苦節25年!」は言えば一口だが、2016年の栄光の道
への裏には苦渋と努力の価値が詰まっている。
某日、夏の夜空の神宮球場で勝利。隣席の若いカープ女子とハイタッチ!
さらにハグまでしてしまった。いや、あれはハグ(形式的な抱き合い)で
はなく熱い抱擁に近かった。TITIの柔らかさを感じた。しかし、カープの
勝利は一瞬のH気分を消し去った。それでいい(笑)。
日々大事な仕事が目白押しだ。カープの優勝間近という「事件」のために
「心ここ(仕事)にあらず」ではいけない。だが、昨夜の逆転勝ちが頭に
浮かぶ。私の「思い出し笑い」を悟られてはならない。自省!
カープ女子の友人(熟女)とは試合の途中経過をスマホで交換している。
「プロ野球速報」の画面も見る。一喜一憂しても最近逆転勝利が多いので
安心だ。小画面に歓喜の絵文字と顔文字が並ぶ。彼女の破顔一笑!を想像
し、これで今夜も熟睡できる。
ファンは欲張りである。カープファンはカープを恋人と思っている。恋人
には他の男にちらっとでも振り向いてほしくない。独占したい。全試合と
も勝ってほしい。独占的に喜びたい。そういう心境なのだ。
好きなカープを自慢したい。でも、自慢すれば嫌われる。だから、出しゃ
ばらず、自然な形で、他人に誉めてもらうのがいい。
ふと思う。河島英五の「時代おくれ」は真面目なカープファンの心情と似
ている。作詞:阿久悠、作曲森田公一。人生の表舞台での活躍は(あって
も)見せず日陰にいるけれども、心は純粋である。
一日に二杯の酒を飲み さかなは特にこだわらず(中略・・・)
目立たぬように はしゃがぬように 似合わぬことは 無理をせず
人の心を見つめつづける 時代遅れの男になりたい
(・・中略)ねたまぬように あせらぬように 飾った世界に流されず好
きな誰かを思いつづける 時代遅れの男になりたい
カープファンは、(ここへ来て)、目立たぬように、しゃがぬように、そ
して、ねたまぬように、あせらぬように、好きな誰か(Carp)を思いつづ
ける、時代遅れの男(ファン)になりたい。そうありたい。
25年間優勝を望みつづけた時代遅れのカープファンである。その夢であっ
たリーグ優勝が間近に迫った。そのあとは、勇躍、クライマックスシリー
ズ(CS)と日本シリーズを突破していく。
真赤激!(まっかげき!)Burn it up! さあ、カープ先端の時代の幕
が開くのだ。夢は叶う。(2016/9/4 千葉)