馬場 伯明
2016/9/10(土)の夜、東京ドームの左翼外野でカープを応援した。カー
プは2位の巨人に6対4で快勝した。15ゲームの圧倒的な差をつけ25年ぶり
のセリーグ優勝を飾った。(超満員の46,643人、3時間41分の熱闘。詳細
は、新聞・TV・WEBなどで・・)。
「よかった(感激)」「うれしい(満足)」「ありがとう(感謝)」と大
声で叫んだ。しかし、どれも陳腐な言葉である。TV・ラジオ・新聞などが
大々的に詳細な報道する中で、一ファンの私が書く意味があるのだろうか。
小さなことだがせめて他人が知らない「体験(私事)」をいくつか紹介し
たい。待ちに待ったカープの優勝への餞(はなむけ)になればいいなと思う。
耐えて待つこと25年。ほんとに長かった。私がリーグ優勝を球場の現場で
体験したのは優勝7回のうちこれで3回目となった(1984・1986・2016)。
(1回目)1975・巨人・後楽園球場・初優勝、(2)1979・阪神・広島市民
球場、(3)1980・ヤクルト・敗北により優勝、(4)1984・大洋・横浜ス
タジアム、(5)1986・ヤクルト・神宮球場、(6)1991・阪神・広島、そ
して、(7)2016・巨人。東京ドーム)だ。
1984は山本浩二がレフトスタンドに糸を引くようなライナーの逆転3ラン
本塁打を打った。30年前の1986は長嶋清幸が満塁本塁打でヤクルトを粉砕
した。私は三塁内野席の最上段にいた。9/10は鈴木誠也が2ラン本塁打2発
を放ち一気に逆転した。またまた「神ってる」。勝つ場面はいつも劇的で
ある。
翌9/11スポーツ新聞4紙(報知新聞を除く)を駅で買い写真見て記事を読
む。勝ち試合、まして優勝の新聞はファンにとりまさに至福の時間である。
ついでに「新井直筆サイン入りバット・サイン色紙(抽選1・2人・デイ
リースポーツ)」「菊池特製タオル(抽選5人・デイリー)」「田中・菊
池・丸色紙プレゼント(抽選3人・スポニチ)」を申し込んだ。また「優
勝記念Tシャツ(球団・2000円)」の購入申し込みも。
2016のカープの上昇・爆発現象はどう表現(呼称)すればいいのか。2016
の球団のキャッチフレーズは「真赤激(まっかげき)Burn it up!」である。
たとえば、「赤い稲妻」、「赤い超特急」、「赤いハリケーン」、「赤ロ
ケット」・・・などだろうか。「赤いミサイル」は北の某国に似ておりダ
メだ。9/10の朝、先発の黒田投手を(ひそかに)激励するため、メル友6
人に「黒田は今日『赤田』になれ!」と送信したらけっこう受けた(笑)。
私の赤い応援服は今風のものとは違う。ふつうは胸に「Hiroshima15」背
には「KURODA(大きく)15」などであるが、胸に「Carp」、背には、カー
プ坊やが右手を広げてジャンプし左指はVサイン。「勝利を見たけりゃ
会いに鯉 関東限定」の文字が躍っている。勝負Tシャツなのだ(勝率が
いい!)。
カープファンの観戦・応援風景のうち、新聞・TVでは珍しい場面を紹介す
る。まず、日常風景(定番)は次。「♪宮島さん・・」「(球団歌)♪それ
行けカープ」「(個人ごとの応援メッセージ)の♪エール」などが絶え間
なく続く。
この日は、9回表の攻撃。「優勝するぞ カープ」を4回繰り返し、続い
て、ドームの屋根が割れるような、地響きの「ひろしま ワッショイ」が
続き、球場の三塁側・左翼から巨人に圧力をかけた。また、9回裏は、ク
ローザーの中崎翔太投手を応援する「中崎コール」が続き、続く。さら
に、続く・・・。
「中崎・中崎・中崎・・・」が怒号のようなうねりの波となった。何と連
続30回の呼号が巨人に襲いかかった。そして、亀井義行のショートゴロ
で、ついに試合終了となり、カープの優勝が決まった。21:41。
緒方孝市監督の胴上げ(宙に7回)と黒田博樹の胴上げ(同5回)がよかっ
たなあ。そして、新井・中崎も。緒方監督の挨拶も感動的なものであった
(詳細は省略)。選手らは両手を振り応援席の祝福に応え東京ドームを
去った。
その後、先発選手にひとり一人に対するリーダーのエールに合わせ唱和し
た。一塁側・右翼席席には、散見される赤い応援服の他にはもう誰もいな
かった。
三塁側・左翼席から興奮した赤い顔のカープファンがどっと噴き出されて
くる。その一部は三々五々JR水道橋などの居酒屋などに向かっている。
名古屋市から応援に上京したという隣の若いMさん(30代・男性)と水道
橋の居酒屋「酔っ手羽(YOTTEBA)」へ入った。ここには2台の大画面TVが
ある。先客はTV観戦・応援者だった。東京ドームでの(実)応援者は羨望
の眼で見られるととともにいろいろ訊かれ重宝がられた。
ビールや焼酎での乾杯のジョッキの音が跳ねる。TVで感激の勝利の瞬間の
場面が放送された。「♪・・・今日のカープは、勝ち勝ち勝〜ち勝〜
ち」。「♪それ行け、カープ」をみんなで歌い店内に響き渡る。
誰かが店の外の道路で「ビールかけがあるぞ」という。3本持って飛び出
すともう宴(ビールかけ)たけなわ。対面の居酒屋からも飛び出してきた
人たちと合わせ10数人。ビールの泡が消火器の放射のように飛び交う。
「バカなカープファンとお笑いでしょうが・・・」というような自虐セリ
フも、自分で言っておきながら、今夜はあっけらかんと笑い飛ばしている。
夜は更け23:00。JR水道橋へ・・。行き交う人たちとハイタッチ(この時
刻、カープファンしかいない!)。「おめでとう」「ありがとう」「よ
かった」で交歓する。見ず知らずの人たちなのに即座に共感する、カープ
ファンって、おもしろいな。
清水へ祇園をよぎる桜月夜今宵会う人みな美しき(与謝野晶子)
京都の夜桜を巡った与謝野晶子には酒が入っていたのか。熱狂冷めぬカー
プファンの心境は何となく彼女のうきうき感に似ている。秋めいてきた夜
風が顔の火照りに心地よく、深夜の水道橋では女も男もいい顔をしていた。
しかし「浮かれ気分」はいっときのことだ。カープは2016/10/12(水)か
らクライマックス・シリーズ(CS)を勝ち抜く。最終目標は2016/10
/22(土)からの日本シリーズを制覇し、32年ぶりの日本一である。
カープを信じ応援する。僕らの前に道はできる。(千葉市在住)