2016年09月14日

◆ぼろ続出で“蓮舫ブーム”とはほど遠い

杉浦 正章



公選法抵触問題、首相の座も目指せない
 

蓮舫二重国籍問題のポイントは、次期代表に民進党が選出した場合に政治的なディスアドバンテージが目立つことである。1つは公選法に抵触する恐れのある議員を、党首に推戴することのマイナス。他の1つは政党の代表は大小を問わず首相の座を目指すのが憲政の常道だが、蓮舫の場合きわめて難しい。


この2つのいわば“致命的問題”を抱えて、党勢挽回が可能かということにつきる。土井たか子以来の第二党の党首になる可能性が高いが、土井ブームのような現象は生じそうもないのである。

 まず公選法問題だが、蓮舫は2004年の参院選挙公報とホームページ上に「台湾籍から帰化」と書いたが、これは二重国籍を認めた以上虚偽の記載となる。以後、3回に渡って参議院議員に当選したが、おそらく証拠隠滅を目的として2016年にHP上の記述を削除している。明らかに公職選挙法の虚偽記載となる可能性が高いからだ。

さらに首相の座を目指すことがなぜ困難かと言えば、外交・安全保障上の問題がある。人事院規則により多重国籍者は外交官に採用することを禁止されていることがポイントだ。同規則8-18(採用試験)の規定により、多重国籍の者は、外務省専門職員の採用試験は受けられない。国籍を有しない者又は外国の国籍を有する者は、外務公務員となることができないのである。ということは、この公務員を指揮監督する立場にある外相はもちろん、その上にたつ首相も、二重国籍者が就任してはいけないことになる。


憲法にはその規定はないが、事実上国政選挙で排除される可能性が高い。台湾籍を放棄すれば可能かと言えば、これも選挙民がネガティブな判断するだろう。民進党は、沈滞する党勢を拡大するため美人で雄弁で話題性のある蓮舫に期待するところが大きいが、その実は選挙向きでない党首を抱えて選挙を戦うことになるのだ。


民進党代表・岡田克也は「父親が台湾の人だからなんかおかしいような発想があるが、きわめて不健全だ。多様性を大事にするのは我が党の基本的価値観」と発言しているが問題はそこにはない。不健全であろうが、党の基本的価値観であろうが、蓮舫が二重国籍である事実と、首相にふさわしい政治家であるかの2点は別問題なのである。


それでは、仮に2大弱点を除いた場合、政党のリーダーとしてふさわしいかどうかだが、これも疑問が生ずる。その発言から見ると美人の悪い癖が垣間見える。それは二重国籍疑惑について「今そのようなうわさが流布されるのは本当に悲しい」と述べた事である。

この「悲しい」発言は、明らかに「悲しむ美人」を演出しているのだ。テレビタレント出身だけあって視聴者の同情をいかにして買うかのテクニックに長けているが、政治の世界ではこのような情緒的発言は、鼻につくし邪道だ。蓮舫の過去の政治行動を見れば女性だから美人だから許されるという判断が多い。国会内でファッション雑誌の撮影をして、参院議長から「不適切」と厳重注意を受けたのがよい例だ。


民主党政権の“おごり”の現れでなくて何であろう。「仕分けの女王」ともてはやされて、次世代スーパーコンピューターの仕分けで予算を削減したが「2位じゃだめなんでしょうか」という“名言”を吐いた。事の本質を理解していないのだ。1位を目指さない限り2位もないのだ。石原慎太郎が「文明工学的な白痴」と評したが、見事に形容している。まるでマリーアントワネットが「パンがなければケーキを食べればよい」と述べた「パー」さ加減と酷似している。

岡田は「蓮舫ブーム」を期待しているが、外国の女性党首を見るがよい。「鉄の宰相」マーガレット・サッチャーに始まって、ドイツ首相・アンゲラ・メルケル 、台湾大統領・蔡英文、英国首相テリーザ・メイ、初の米大統領になりそうなヒラリー・クリントンにいたるまで共通項は「男以上の男」であり、「色気」などは、あってもみじんも見せない。世界的にも二重国籍の指導者は少なく、ペルーの元大統領・アルベルト・フジモリくらいのものだ。

社会党党首で自民党を追い込んだ土井たか子も、若い頃は美人で筆者もあこがれたが、活躍した時期は男性ホルモンいっぱいのおばさんであった。1989年の第15回参院選では、消費税、リクルート事件の追及で圧勝、自民党を過半数割れに追い込み、「山が動いた」という名言を吐いた。与謝野晶子の詩「そぞろごと」の冒頭「山の動く日来たる」をふまえた言葉だ。


民進党が蓮舫を担ぐ背景には、紛れもなくポピュリズムが存在する。小池百合子が“ポピュリズムの自転車操業”で都政を運営しようとしているのと同じで、なんとか「蓮舫ポピュリズム」で、党勢を挽回しようとしているのだろうが、るる述べてきた理由で裏目に出つつある。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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