2016年09月29日

◆難民モドキという難問

平井 修一


山本夏彦翁曰く「人はついぞ自分は見えない」。

他者のことは冷徹に観察できるが、ことが自分に及ぶと冷静に現状を把握
して行動することができない。パニックになったり、無謀な行動をして自
滅したりする。

「PCの作業では30分に1回は上書き保存する」・・・これは多くの失敗か
ら学んだ上の鉄則だが、1時間、2時間でも問題ない状態が続くと、この鉄
則を忘れるのである。

人は賢いか、愚かか。現状としては「賢くもあり、愚かでもある」「冷静
に判断することもあるが、失敗が多く、一時的な感情でバカなことをする
こともある」あたりだろう。

難しいことではあるが、人間は概ね経験で動くから、未知の明日、来週、
来月、来年のことはなかなか予測できない。ちょっと前までは無茶をして
も「ガンガン飲んで、ひと眠りすればOKだ」なんてやってきたから、老人
になっても無茶をして、そして老人であることを自覚し、「もう以前の体
ではないんだ、無茶は禁物だな、教訓とすべし」と反省するのである。人
間は賢い。

ところが体調が戻ると教訓は忘れて、ヨッシャーッとなり、そして後悔す
るのだ。全然進歩しない。人間は愚かである。

どんなに経験を積んで、賢くなっても、その知恵を後進にバトンタッチで
きないというのが人間の哀しさだ。物質は残せるから、その蓄積の上に今
があるのだが、精神は2万年前と一緒で、いつでもゼロからのスタート
だ。まったく発達、発展しない。2万年前の苦労を今も繰り返すのである。

ウィキによれば「ニッコロ・マキャヴェッリ(1469年5月3日 - 1527年6月
21日)は、イタリア、ルネサンス期の政治思想家、フィレンツェ共和国の
外交官」。新大陸が発見され、大航海時代、移民、移住が移住して続々と
植民地が作られていった時代である。われわれは500年経っても彼を超え
られない。

塩野七海氏の「マキアヴェッリ語録」にはこうある。

<いくつかの民族は、なぜ自分たちの土地を捨てて他国に侵入し、そこで
国を創るか――の理由だが、これは戦争の一種と見るべきであろう。

この人々は、戦乱によるか、飢餓のため貸して、やむを得ず家族ともども
侵入してくるわけだが、この種の侵入は、領土欲に駆られてではない。と
はいえ、先住民族を追い出したり殺したりすることにおいては、変わりは
ないのである。だからこそ、通常の戦争よりも残酷な様相を呈する場合が
多いのだ。

この、やむを得ずにしても新天地を求めて侵入してきた民族が、もしも非
常に多数の人間からなっている場合は、必ずといってよいほど先住民族を
追い出し、殺し、財産を奪った果てに新国家を建設するようになる。

そして建設の後は、モーゼがしたように、またローマ帝国のあちこちに侵
入した各民族が行ったように、地名を変える現象が起こる。

ガリア・チザルピーナと呼ばれていた地方がロンバルディアと呼ばれるよ
うになり、ガリア・トランスアルピーナがフランスになるという具合で、
侵入してきた民族の名にとって代わるというわけだ。

イリリアはスキャヴォーニに、パンノニアはハンガリーに、ブリタニアは
イギリスに代わったように、例を挙げていくときりがない。モーゼも、彼
が征服したシリアの一部地方を、ユダヤと呼ばせたのであった(政略
論)>(以上)

以下は、昨日PCがフリーズして壊滅した原稿(引用以外)を記憶を頼りに
修復したものである。上書き保存を忘れたのだから自業自得で、仕方がな
い、明日再チャレンジだと思ったのは賢明だが、この際、気分転換で一杯
やるか、ちょっと早いがいいだろうとなったのは愚かである。人間は複雑だ。

在ウィーンの長谷川良氏の論考「新たな『民族の大移動』が始まった!」
(アゴラ9/22)から。

<私たちは大きな勘違いをしているのかもしれない。彼らは一時的な難民
殺到ではなく、欧州全土を再び塗り替えるかもしれない人類の大移動の始
めではないだろうか。以下、その説明だ。

メルケル独首相は19日、ベルリン市議会選の敗北を受け、記者会見で自身
が進めてきた難民歓迎政策に問題があったことを初めて認め、「今後は
『我々はできる』(Wir schaffen das)といった言葉を使用しない」と述
べた。

この発言は「難民ウエルカム政策」を推進してきたメルケル首相の政治的
敗北宣言と受け取ることができるが、来年実施される連邦議会選への戦略
的変更と考えることもできる。賢明なメルケル首相のことだから、当方は
後者と受け取っている。

オーストリアはファイマン政権時代の1月20日、収容する難民の最上限数
を3万7500人(年)と設定した。参考までに、17年は3万5000人、18年3万
人、そして19年は2万5000人と最上限を下降設定している。すなわち、今
後4年間、合計12万7500人の難民を受け入れることにしたわけだ。

同国は昨年、約9万人の難民を受け入れている。そして今年9月現在、最上
限をオーバーする気配だ。そのため「最上限を超える難民が殺到した場
合、どのように対応するか」が大きな政治課題となっている。

すなわち、難民受け入れ数の最上限設定の背後には、「殺到する難民を制
御し、必要に応じてその上限をコントロールできる」といった自惚れた考
えがその根底にある。

現代の代表的思想家、ポーランド出身の社会学者で英リーズ大学、ワル
シャワ大学の名誉教授、ジグムント・バウマン氏は、「移民
(Immigration)と人々の移動(Migration)とは違う。前者は計画をたて、
制御できるが、後者は津波のような自然現象で誰も制御できない。政治家
は頻繁に両者を混同している」と指摘している。

ここで問題が浮かび上がる。欧州が現在直面している難民、移民の殺到は
Migrationではないか、という懸念だ。そうとすれば、欧州はトルコやギ
リシャに難民監視所を設置し、殺到する難民を制御しようとしても、制御
しきれない状況が生じるだろう、という懸念だ。

欧州では3世紀から7世紀にかけて多数の民族が移動してきた。これによっ
て古代は終わり、中世が始まったと言われる。ゲルマン人の大移動やノル
マン人の大移動が起きた。

その原因として、人口爆発、食糧不足、気候問題などが考えられている
が、不明な点もまだ多い。民族の移動はその後も起きている。スペインで
はユダヤ人が強制的に移動させられている。

ジュネーブ難民条約によれば、政治的、宗教的な迫害から逃れてきた人々
が難民として認知される一方、経済的恩恵を求める移民は経済難民として
扱われる。

ところで、視点を変えてみれば、21世紀の今日、“貧しい国々”から“豊か
な世界”へ人類の移動が始まっているのかもしれない。換言すれば、北ア
フリカ・中東地域、中央アジアから欧州への民族移動はその一部に過ぎな
い。この場合、政府が最上限を設定したとしても彼らの移動を阻止できない。

ドイツで昨年、シリア、イラクから100万人を超える難民が殺到したが、
大多数の彼らはジュネーブ難民条約に該当する難民ではなく、豊かさを求
めてきた人々の移動と受け取るべきだろう。繰り返すが、制御できない民
族の大移動は既に始まっているのかもしれない>(以上)

仕事、安全、未来、豊かさ、温暖な気候を求めて2万年前から人は移動し
てきた。北から南から東京、大阪に人が集まるのはごく自然なことだ。た
だ、国境を越えたり、異民族だと衝突は避けがたい。

ジャーナリスト・井本省吾氏の論考「塩野七生氏の卓見『難民、移民は入
れるな』」(アゴラ9/21)から。

<前回、イタリア人による移民礼賛論の危うさをを取り上げた。長くイタ
リアで暮らし、イタリアの生活と文化、歴史について日本人の中でもっと
も詳しい一人である塩野七生氏の「移民への対処」論を紹介したい。

2008年12月号の月刊「文藝春秋」に載ったエッセイと同時期のナンバー
715号に掲載された記事だが、今でも十分に通用する。筆者は塩野さんの
考えにほぼ全面的に賛成である。

塩野さんは「純粋培養だけでは、いずれは衰弱する。異分子による刺激は
常に活気を取り戻すには最適な手段」として、有能な外国人の日本への移
住を歓迎する。

だが、当時、日本では移民を一千万人受け入れると言い出した。塩野さん
は「これくらい、バカな政策はない」と一蹴する。理由は以下の如し。

《移民政策では先行していたのがイギリスやドイツやフランスやイタリア
だが、これらの国の現状を見てほしい。今では移民受け入れに積極的で
あったゆえに苦労が絶えない。ヨーロッパ人がアメリカへの移民であった
百年前とは、事情が変わったのである。

以前は移住先の国の言葉を習得し法律を守るのは当たり前と思われていた
が、今はまったくそうではない。移り住んだ国に同化するよりも、その国
の中に自分たちのための治外法権区域を作ることのほうに熱心な感じだ》

移民がその国に問題なく定住する大きな条件はその国の言葉を自由に話
し、生活習慣を身につけることである。さらに、その生活習慣をこよなく
愛することが大きい。

そうした外人はしばしばテレビなどに出演し、流暢な日本語とユーモアで
日本人に親しみをもたらす。彼らが日本に愛着を感じている事は話しぶり
や身振りで良くわかる。日本人そのもののような所作をする人々も珍しく
ない。

私はこうした外国人の存在を大いに歓迎する。中には日本人に帰化した者
も少なくない。

だが、自分たちの言葉を話し続け、生活の文化も持ち込み、さらに自分た
ちの治外法権区域を作れば、その国の国民との摩擦、争いが多発しないは
ずがない。塩野さんは言う。

《これが現状である以上、今の日本の選択すべき道は、一つしかないよう
に思われる。深く静かに潜行してきたこれまでの厳しい移民政策を、これ
以後も黙ってつづけることなのだ。来られては困る人々を、なるべく人目
に立たずに排除するために》

外国人の移民を歓迎する向きは、外国人の流入を閉ざすと労働力が不足し
日本は孤立する、と心配する。だが、塩野氏は「その心配はない」と退ける。

女性や非正規労働者、高齢者を今まで以上に活用することで解決できる
し、長期的には必要な外国人は日本にやってくるから、日本が孤立する心
配もないと見る。

世界の知的労働者、有能な技術者は何を欲しているか。「治安の良さ」
「親切な人々」「便利な日常生活」の3点セットだ。この点については日
本は世界のトップクラスにあると塩野さんは太鼓判を押す。

今や米国のような先進国でさえ、城塞都市かと思うくらいに高い塀をめぐ
らせガードマンが見張る中で、有力な知的・技術的労働者が富裕階層とと
もに日々を暮らすようになりつつある。日本なら、城塞なしでそれが実現
できる。

日本は説明不足で、そうした情報を海外に提供していないから、知的労働
者も不十分にしかやってこない。しかし日本に少し長く旅した人々はそれ
を認識し、徐々に定住の道を選び出す。

例えば、テレビや洗濯機などが壊れたら電話で数時間で修理に来て、ほぼ
満足行くように直して行ってくれるし、修理にコストがかかるようだと、
安い新品を手配してくれる。欧米だと修理に1〜2週間かかるのはザラ。
新興国や途上国ではまともな修理を期待できない場合も少なくない。

重ねて言えば、塩野さんは「『来られては困る人々』は、断固として排除
すべきだ」と書いている。

《日本にとって一番困る人々は、もちろん反日教育で洗脳された中国人と
北朝鮮・韓国人だ。彼らは日本を嫌いだが、母国で生活に困窮したため、
豊かな日本にやってくる。ある者は犯罪行為、ある者は性産業や水商売で
金を稼ぐ。

彼らが日本に来たことによる(日本の)メリットは何もない。あるのはデ
メリットだけだ。彼らが多く集まればチャイナタウンやコリアタウンを形
成し、そこは治外法権区域と化す。彼らは多くの犯罪を犯し、日本の治安
は悪化するだろう。

今回の国籍法改正案(改悪案)は、ザル法である。偽装認知がおそらく中
国・韓国人により多発するはずだ。……(その結果、治安、親切さなど)日
本の良さも消えるだろう。日本語を全く話さず反日教育を受けた新・日本
人の手によって。まあ、多くの人が気がついた時には、もう手遅れかもし
れないが》

塩野さんがこう書いたのは、欧州への難民流入問題が本格化する直前のこ
とだが、今日の混乱を正確に見通している。

1000万人の移民に賛成しているきれい事の好きなリベラリストは、今も欧
州での社会的混乱に見て見ぬふりをしている。

だが、問題の深刻さを少しでも理解している日本人、特に政治家は塩野氏
のように、毅然と言わねばならぬ。

「日本は移民、難民を安易に受け入れるわけには行かない。自分のことは
自分の国で、自分でせよ」と。

中国や韓国に対しては、特にこの姿勢で対応すべきである。塩野氏の冷徹
な視点は、かつて福澤諭吉が喝破した次の「脱亜論」の観点と共通する。

《シナ朝鮮(に対しては)隣国なるが故とて特別の会釈に及ばず。悪友を
親しむ者は共に悪友を免かる可らず。我は心に於て亜細亜東方の悪友を謝
絶するものなり》

諭吉も手を携えて共に欧米列強の攻勢に対処しようと、最初は大いに期待
した。だが、傲然と誇り高いだけでまったくヤル気なく、日本の援助に頼
り、ぶら下がり、しかも恩を仇で返す。その魂胆、性格にあきれ返った末
の脱亜論である。

100年たっても変わらない隣国人の業、性。そこを見据えないと「気がつ
いた時には、もう手遅れかもしれないが」となるやも知れぬ>(以上)

遠くさかのぼれば我々もアフリカから大陸経由で、あるいは海を越えて日
本にやってきた開拓者、難民、移民だったろう。国は縄張り、シマであ
り、先住民族の早い者勝ちである。遅れてきたものはいじめられ、差別さ
れ、辺境に追いやられるのが常だ。

あるいは先住民族を圧倒してシマ乗っ取ることも多いだろう。マヤ文明、
インカ帝国は駆逐された。豪州タスマニアのアボリジニは白人に瞬く間に
絶滅された。北米の住民は1500年には100%がインディアンだったが、今
はたったの3%に過ぎない。

非妥協的な宗教妄想で自由、民主、人権、法治の近代国家造りに失敗し国
土破壊を招いた難民モドキの侵入を許せば、やがて国家は乗っ取られる、
ハイジャックならぬカントリージャックだ。もし日本が100年後も素晴ら
しい国であるためには異民族の浸透をしっかりコントロールしなければな
らない。これは子孫に対する我々の義務である。(2016/9/28)


      
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