2016年09月29日

◆狸と狐のテレビ討論会

Andy Chang


民主党のヒラリーと共和党のトランプのテレビ討論会は昨夜27日
夜、ニューヨークのある大学の講堂で行われた。メディアはこれを
世紀の弁論会で、結果が決定的な影響を及ぼすと宣伝していた。2
人とも人気が最低で何方に投票しようかと迷っている国民が多いか
らこのテレビ討論会が役立つと言うのだ。

私は数か月も前からこの2人には絶対投票しないと決めているので
テレビ討論会はどうでもよいのだが、3大メディアとFoxnewsが同
時に放送するほどの大ニュースであった。

世紀のテレビ討論会と言うのはトランプが世紀の自大狂で、ヒラリ
ーが世紀の大嘘つきだからである。トランプの参謀たちはこれまで
の放言暴言を止めて大統領らしく振舞えと言い、ヒラリーは数多の
ウソを言い繕う準備をしている、つまり2人とも真骨頂を出さず、
腹の出っ張った古狸と美女に化けた千年狐の化かし合い、ホンモノ
のトランプとヒラリーではない。

●政策と攻撃

テレビ討論会とは政策の比べあいと相手の弱点攻撃の2つである。
但しこれまでの討論会では発言時間が限られているので政策発表は
印象が薄く、もっぱら候補者の態度が印象に残るようだ。

ヒラリーは40年も政治に拘ってきたので、クリントン夫婦と本人の
スキャンダルなど弱点がたくさんある。だからこの弁論会では政策
の方に焦点を絞り個人の弱点を躱すことに腐心している。このほか
ヒラリーの戦術は相手のあら探し、個人攻撃であった。

トランプは暴言が多かったし態度が悪く、過去は悪辣な商売人だっ
たから同じく弱点も多い。今回はプライマリー選挙のような暴言を
慎み声を荒げず、大統領にふさわしい貫禄を示せと参謀たちからこ
れぐれも勧告されていた。つまり双方とも己の弱点を隠して相手の
弱点を突く、狸を狐の化かし合いだった。

●弁論態度の比較

これまでヒラリーは肺炎、痴呆症、パーキンソン病などいろいろ健
康問題が噂されていた。ところが弁論会では90分も立ちっぱなしで、
言語も明瞭だし、トランプ攻撃の資料も十分に準備していた。ヒラ
リーは90分の弁論で一度も水を飲まず、トランプの人身攻撃にも落
ち着いて反撃して、健康に問題はないように見えた。

一方トランプは言われたように落ち着きがなく、イライラして相手
の発言に横槍を入れるとか、ヒラリーの発言を横取りするなど態度
が悪く、発言が冗漫で要点を逸れることが多かった。90分の弁論会
で8回も水を飲んで緊張していることが見え見えだった。

●メディアの結果発表

今朝のニュースを見るとNew York Timesを始めLos Angeles Timesな
ど各新聞の評論家の批評はヒラリー勝利と書いていた。またCNNの
世論調査ではヒラリー62%、トランプ27%でヒラリー圧勝としていた。
討論題目は多岐にわたっているが主だった結果は以下の通りである。

*TPPについてトランプとヒラリーが反対していたが、トランプは
ヒラリーがオバマの政策に賛成していたと攻撃。トランプが優勢。

*経済、税制についてはトランプが一般減税、ヒラリーは高所得層
の増税を唱えた。ヒラリーは詳しい経済政策を発表しているがトラ
ンプは表題だけ。

*人種問題ではヒラリーが黒人と白人の話し合いと融和を唱え、ト
ランプは警察を支持し法と秩序を主張。トランプがやや優勢。

*トランプはヒラリーのメール問題を取り上げたがヒラリーはトラ
ンプが税金申告を公表しないことを取り上げ、トランプが劣勢とな
った。この弁論の時にトランプがヒラリーのメール事件やベンガジ
事件などを取り上げて攻撃できなかったのは大失敗だった。

*トランプはイラク戦争に賛成だったが事実を否定し、司会者が証
拠があると言ってもイラク戦争に反対だったと強弁したので、メデ
ィアはトランプは二重にウソを吐いたと書いた。トランプの失点。

*トランプがヒラリーには大統領のスタミナがないと批判したが、
ヒラリーの反論でトランプの敗け。これは将来の記録に残る失敗。

*ヒラリーはトランプがプーチンにアメリカのメールをハッキング
しろと言ったのは反米行為だと攻撃した。これもトランプの負け。

*司会者に「帰化人のテロをどう処理するか」と聞かれ、ヒラリー
は民族間と宗教間の融和を主張。トランプは話題を国外テロに逸ら
し、司会者が二度も「帰化人のテロだ」と注意されたが答えられな
かった。

総合するとトランプの失点が多いことがわかる。ヒラリーが十分に
下準備をしていたのにトランプの準備不足が目立った。

●狸の最後っ屁

討論が終わったあとの記者会見でトランプは大変良かったと言って
いたが、次の日のメディアはヒラリーの圧勝と書いたのが多かった。
トランプはこのあとすぐに、司会者Lester Holtが不公平で敵意の
ある質問をしたとか、彼のマイクロフォンに問題があったなどと言
い出した。つまりトランプ自身が敗北を認めた証拠である。

トランプがいつも自分に不利な結果を他人のせいにすることは衆知
のことである。だが今回の弁論会の司会者の態度は公平以上にトラ
ンプを優遇していた。トランプの横槍やヒラリーの発言妨害、2分
間の発言と言われて5分喋っても中止しなかったぐらいで、全体の
弁論でトランプの発言は3分の2を占めていたのである。狸の最後
っ屁は卑怯で醜悪である。

今回の弁論は「関ケ原の戦い」ではなかった。今朝の世論調査では
ヒラリーが相変わらず2ポイントリードしている。弁論会が選挙の
結果を左右するというメディアの宣伝ほどではなく、聴衆が今回の
結果で投票を決めたとは思えない。続く第二回、第三回でトランプ
が劣勢を挽回できるかはわからない。投票までに新しいニュースが
出てきて選挙民の評価が変わるかもしれない。

私は二人には投票しない、これは政党政治の問題ではなくアメリカ
の国益と良心の問題である。ヒラリーは希代の嘘つき、トランプは
自大狂、二人とも大統領の資格はない。


      
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