2016年09月29日

◆理解不能の「憲法改正草案」撤回要求

阿比留 瑠比



理解不能の「憲法改正草案」撤回要求 憲法の精神に反する民進党・野田
佳彦幹事長

安倍晋三首相の所信表明演説に対する27日の代表質問の質疑応答を見 て
いて、実に奇異な光景だなあという感想を抱いた。自民党が野党時代の
平成24年にまとめた憲法改正草案をめぐって、民進党の野田佳彦幹事長
と首相との間で、次のようなやりとりが交わされていたからである。

野田氏「国民の権利を軽んじ、国中心に組み立てを変える自民党草案の
実現をめざして議論に臨むのか。本気で議論する気があるなら、まずは自
民党総裁として草案を撤回してほしい」

安倍首相「大切なことは、各党がそれぞれの考え方を示すことだ。自民
党は草案という形でこれを示しており、それを撤回しないと議論ができな
いという主張は理解に苦しむ」

民進党が、保守色が濃いといわれる自民党の草案を批判したり、問題点
を指摘したりするのは別にいい。だが、他党の案に「撤回」を迫るのとい
うのは何の権利があってのことか。

自民党内で議論を経てつくられた草案を、一方的になかったことにしろ
というのはどういうことか。自民党議員の思想・信条、表現の自由を認め
ないと言わんばかりであり、憲法の精神に反するのではないか。安倍首相
ならずとも、理解に苦しむところである。

まして、自民党憲法改正草案に関しては、安倍首相自身がこれまでテレ
ビ出演や記者会見などで「草案通りに改正するのは困難だ」「わが党の案
がそのまま通るとは考えていない」と答えている。

そもそも安倍首相は、党総裁として草案を尊重する姿勢をとらざるを得な
いものの、特に気に入っているわけでもなさそうだ。

「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければなら
ない」

草案にはこんな財政規律条項があるが、安倍首相は景気対策や財政出動
を縛り、安易な消費税率引き上げに結びつきかねないこの条文に否定的
だ。周囲には「意味がないし、それはさせない」と漏らしている。

下村博文幹事長代行も27日の記者会見で、「(憲法審査会で)自民党 草
案ありきで議論してもらいたいとは考えていない」「これを国会に出す
ということではない」と明言した。誰も草案にこだわってはいない。

にもかかわらず、事実上意味のない撤回を求めるのは、民進党が憲法論
議を避けるための言い訳にしているとしか思えない。下手に憲法を論じる
と、保守系と左派・リベラル勢力が混在する党が割れかねないからだろう。

 自民党草案「撤回論」は、7月10日投開票の参院選でいわゆる改憲勢
力が3分の2に達したころから急に目立ってきた。

まず翌11日付の毎日新聞が小松浩主筆の論文で「自主憲法か絶対護憲か、
という55年体制下の対立を、再び繰り返してはならない。(中略)それ
には、自民党が復古調の改憲草案を撤回することである」と書き、社説で
もこう主張した。

「(憲法)審査会の再開にあたっては条件がある。自民党が野党時代の12
年(平成24年)にまとめた憲法改正草案を、まず破棄することだ」

すると、13日付の朝日新聞も「憲法の基本原理は受け継ぎ、統治機構のあ
り方など時代に合わなくなった部分には手を入れる。こうした議論は必要
だが、それにはまず草案を撤回すべきである」と同調した。

 あるいは民進党は、この護憲派両紙の論法に飛びついたのだろうか。
(論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2016.9.29 01:00更新


            
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