2016年10月04日

◆国民の権利としての国防

伊勢 雅臣

 

南北戦争で、北軍の黒人部隊創設の決定に、なぜ黒人の奴隷解放運動家は
大喜びしたのか。

蓮舫議員の二重国籍問題がかまびすしいが、何の証拠も見せずに説明を二
転三転している姿を見ると、誠を大切にする本来の日本人の姿にはとても
見えない。嘘をつくことへの罪悪感に関しては、日本人と近隣諸国の間で
は、大きな違いがあるのだろう。

国籍に関して、最近読んでいる本から考えさせられた事を書かせて戴く。

その本はアメリカでベストセラーとなったリンカーンの伝記『Team of
Rivals』である。映画『リンカーン』の原作であり、アメリカのアマゾン
では2900件以上のカスタマー・レビューが寄せられ、5つ星評価で4.7
というから凄まじい。

原書は単行本サイズで本文757ページ、加えて注釈が150ページもあるとい
う浩瀚な本である。邦訳も出ているが、英語の勉強も兼ねて、毎日2,3
ページ読んでおり、3月初めから7ヶ月かかって、ようやく585ページ
まで辿り着いた処である。

場面は南北戦争の後半に入ったが、リンカーンが奴隷解放宣言を出した後
で、北軍に黒人部隊を作ることを決定した逸話があった。

これに大喜びしたのが、黒人で、奴隷解放の運動の旗手であったフレデ
リック・ダグラスであった。

彼は各地を回って、「なぜ黒人が戦いに参加しなくてはならないのか」を
説き、黒人兵の募集に協力した。その理由はこうである。

白人と平等の公民権を要求するのに、共に戦う以上に、明白な正当性はな
い。あなた方は今までよりも、誇らしく立ち、安心して歩き、侮辱される
恐れも減る。アメリカのために戦う者は、アメリカが祖国だと主張でき
る。その主張は尊重されるのだ。

国のために戦う事で、国民としての正当な権利を主張できる。それまで
は、北軍でも南軍でも、黒人は公民権は認められておらず、当然、戦いに
も参加できなかった。

国防に参加すること−それは兵として参戦するだけでなく、銃後の守り
や、献金や労働奉仕なども含むが−それが、国民としての参政権などの権
利の源泉である。国家とは国民の運命共同体である以上、国家危急存亡の
おりには共に国家を支えるために立ち上がる事が、国民たる証しである。

蓮舫議員が二重国籍問題に関して問われているのは、万一、台湾と日本で
戦争になったら、どちらの側について戦うのか、という覚悟だろう。国籍
選択や離脱の手続き論の根底には、こういう国家観の問題がある。


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