加瀬 英明
日米戦争の責任は一方的にアメリカにある
8月に、トランプ共和党大統領候補が、「アメリカは日本を守る義務を
負っているのに、日本はアメリカを守る義務を負っていない。日本が攻撃
を蒙った時に、日本国民はソニーのテレビで、われわれの青年たちが血を
流すところを、高見の見物する」と、演説した。
すると、バイデン副大統領が「アメリカは占領下で、日本に軍隊を持つこ
とを禁じる憲法を持たせた。(トランプ氏は)それを、学校で習わなかっ
たのか」と、反論した。
それに対して、ワシントンの日本大使館が「アメリカは現行憲法の原案を
日本に提示したが、帝国議会の十分な審議を経たうえで施行された」とい
う、短いコメントを発表した。
民進党の岡田克也代表も、「アメリカが書いたというのは、副大統領とし
て不適切な発言だ。最終的には、国会で議論して、つくった」と、批判した。
7月に参議院議員選挙が行われたが、明らかに違憲だった。
憲法第7条4項は、国会議員は総選挙によって選ばれると、明記してい
る。参院選挙は総選挙ではなく、半数しか選出しない。
現行憲法には、このような杜撰な誤りが多い。帝国議会で十分な審議が行
われることが、なかったからである。
いったい、日本の憲法学者は、第7条を読んだことがあるのだろうか。護
憲派の国民も、日本国憲法を読んでいない。読んでいるのならば、せめて
第7条だけでも正そうとしたはずだ。
今年も、また夏が巡ってきた。そのたびに、71年前の戦争を戦ったこと
が、大きな誤りだったとして、再び戦争の惨禍を招いてはならないと、誓
うことが行われた。
アメリカが占領下で日本に強要した現憲法は、前文のなかで「政府の行為
によって再び戦争が起ることのないようにするために(略)この憲法を確
定する」と述べることによって、日本に先の戦争の責任をすべて負わせて
いる。
日本国憲法は、東京裁判と並んで、日本国民に日本が戦争犯罪国家である
ことを、刷り込むために、日本に押しつけられた。
天皇陛下が毎年、8月15日の全国戦没者追悼式典のお言葉のなかで、先の
戦争について、「深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返され
ないことを切に願う」と、述べられる。
英霊が犬死したと仰言せられたのに均しいが、昭和天皇の開戦の詔勅を否
定なさらねばならないのは、お痛ましいことである。国民として恐懼
(きょうく)に堪えない。しかし、象徴としてのお立場から、現憲法を遵守
されなければならないから、仕方がなかろう。
だが、アメリカでも、先の日米戦争が、日本に強いられたのであり、そ
の責任が一方的にアメリカにあるという有力な証言もある。
その1人が、ルーズベルト大統領の前任者だった、ハーバード・フー
バー大統領だ。回想録のなかで占領下の日本を訪れて、マッカーサー元帥
と3回にわたって会談したが、「日米戦争の責任は、ルーズベルトという
たった1人の狂人(マッドマン)にある」と述べたところ、マッカーサーが
賛成したと、記している。
私は日本が先の戦争を戦ったことを、肯定している。もし、眉を顰めら
れる読者がおいでならば、『日米戦争を起こしたのは誰か ルーズベルト
の罪状・フーバー大統領回顧録を論ず』(勉誠出版社、2016年)を、
お読みいただきたい。私が序文を寄せている。