渡部 亮次郎
30年で10倍、医療費が重い負担に―英メディア
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3月31日、英メディアは「中国でいわゆる『金持ちのぜいたく病』が深刻
化、医療システムが厳しい課題に直面」と題した記事で、増え続ける糖尿
病患者に頭を抱える中国の現状を報じた。
2012年3月31日、英ロイター通信は「中国でいわゆる『金持ちのぜいたく
病』が深刻化、医療システムが厳しい課題に直面」と題した記事で、増え
続ける糖尿病患者に頭を抱える中国の現状を報じた。3日付で環球時報
(電子版)が伝えた。
この30年で中国人の生活は空腹に耐え忍ぶ毎日から、ウエスト周りのぜい
肉を気にするまでに急変した。これに伴い、「金持ちのぜいたく病」と呼
ばれる糖尿病などの病気も急増しているが、現状の医療制度では対応しき
れていないというのが現状だ。
こうした慢性疾患の治療費急増が、14億の国民に最低限の医療保険を保障
しようとしている中国政府の重い負担となっている。医学雑誌「ランセッ
ト」によると、中国で高額医療費に苦しんでいる世帯は2011年時点で、8
世帯中1世帯の割合に上ることが分かっている。
生活レベルの向上に加え、平均寿命が延びたことにより、慢性疾患に苦し
む人が増えている。例えば、糖尿病の罹患(りかん)率は1980年の1%か
ら、現在は10%近くにまで増加した。これは米国人の罹患率とほぼ同じだ。
シンガポール国立大学の公衆衛生大学院とハーバード公衆衛生大学院が発
表した白書によれば、中国の2011年の糖尿病関連の医療費は年間約170億
ドル(約1兆3900億円)。全世界の総額4650億ドル(約38兆2000億円)と
比べれば微々たるものだが、これは中国の医療費全体の約5%を占め、さ
らにその割合は今後13%にまで上昇するとも予測されている。
米国で糖尿病関連の医療費が全体に占める割合は約10%。もはや米国をし
のぐ勢いといえるだろう。中国には現在、約9200万人の患者がいるとされ
ているが、これが2030年には1億3000万人にまで増加するとみられてい
る。(翻訳・編集/NN)