2016年12月26日

◆現状維持から台湾独立へ

Andy Chang



年末の挨拶にクリスマスカードを添付して送信したら日本の読者か
らたくさんの激励メールをいただいた。特に湾生と呼ぶ台湾に生ま
れ育った方々、生まれ故郷台湾を愛している先輩方からのメールに
はまことに感動した。

私は昭和9年生まれ、嘉義の旭小学校の生徒だったが戦争のため4年
1学期で田舎に疎開してみんなと別れてしまった。

私の受けた日本教育はこれだけである。手元にある1年生の時の写
真を見るとみんなの名前も覚えているけれど今では連絡が付かない。

インターネットで嘉義旭小学校の同窓を探していたけれど1人も見
つかっていない。戦争が終わって71年経ったが、日本人が最も親し
みを感じる国は台湾だと言う報道がある。同じように台湾人が最も
親しみを感じる国は日本である。

台湾は戦後から一貫して中華民国の独裁の下で苦しんできた。今は
アメリカの保護と中国の勝手な領土主権の主張の板挟みから独立を
模索している。蔡英文総統はアメリカの現状維持の約束と中国の武
力恫喝の間で綱渡りをしている。台湾人民は蔡英文総統の現状維持
に不満を持っているが中国もアメリカも独立に反対である。台湾人
は現状維持に不満だが独立には困難が多い。これが現状である。

オバマのアジア政策は一貫してリップサービスだけだった。トラン
プが当選して台湾の蔡英文の電話を受けたと言うので中国側が反発
し、トランプは中国批判をエスカレートさせたので、台湾人は有名
になったと喜んだが糠喜びである。トランプは強いアメリカを目指
して中国とやり合っているだけで台湾はバーゲンチップだと言う。
オバマは台湾はバーゲンチップではないと批判したけれどオバマは
反トランプだけで台湾を弁護しているのではない。

台湾ではトランプの発言に憤慨し、政治家や評論家が台湾はアメリ
カのバーゲンチップではないと反発した。中国は爆撃機を台湾の周
囲を示威飛行し、アフリカの小国サントメ・プリンシペに働きかけ
て台湾と断交させた。台湾政府は小さなアフリカの国と断交しても
影響はないと発表した。

●台湾独立諸論

台湾人は独立願望が強い、しかし方法論が違うので纏まりがない。
独立論は大別して4つのグループに分かれている。最大のグループ
は蔡英文の率いる民進党で、その総元は李登輝の「台湾は既に独立
した国だ。私は台湾独立を主張したことがない」という主張である。
台湾には政府があり、人民があり、制度が確立しているから国であ
る。国の名前は中華民国であるというのだ。この主張は台湾人には
受け入れられない。中華民国を受容すれば台湾は独立できない。

蔡英文は李登輝の理論を継承して「台湾=中華民国、中華民国=台
湾」と主張していたが最近は沈黙している。台湾が独立するなら中
華民国を倒さなければならない。蔡英文の現状維持とは中華民国を
維持することだから独立派は絶対反対である。

それではどうするか。民進党の主張は中華民国の体制内で公民投票
や国会で国名を変更し新憲法を制定する暫進的独立である。しかし
多くの台湾人は中華民国を認めれば常に中国の圧力を受け、たとえ
一時的に国名を変更しても次の国会で「変更を破棄」される可能性
もあるから反対している。

もう一つの分派は許世楷らの国連加盟運動で、台湾の名で国連加盟
が成功すれば台湾は独立するとしている。しかし国連は台湾国は存
在しないから加盟を受け付けない。国連とは諸国の連合で、国では
ない台湾の加盟は不可能、そしてRepublic of Chinaは中国のことで
中華民国ではないから加盟できない。つまり国連加盟で台湾独立を
達成する見込みはゼロである。

●体制外運動

第3の独立方式は民間運動で中華民国を倒す、つまり街頭運動を拡
大して現今の制度と違う政府を作る運動である。体制外運動と名付
ける民間運動にはいろいろな名義のグループがあるが、最大のグル
ープは蔡丁貴の率いる自由台湾党(Free Taiwan Party)で、元の名
を公投盟(公民投票連盟)という。自由台湾党は中華民国体制に反
対し、街頭抗議で民衆が現今政府を倒す「比較的平和な革命」であ
る。このほかにも台湾愛国党とか自由台湾党などがあるが最近は自
由台湾党と合作しているけれどまだ合併していない。

革命方式は暴力でも平和でも最終的に今の制度を倒すのだから、成
功するまでは混乱、成功しても多難である。今では新憲法研究会な
どが発足しているので幾らか混乱は避けられるかもしれない。あと
はどれだけ人民の同意と参加が得られるかにかかっている。

この他にサンフランシスコ平和条約を掲げてアメリカが台湾の占領
権を持っていると主張する団体もある。平和条約を結んだけれどま
だ占領権を持っているという不条理な理論で人民を騙すだけ、しか
もアメリカに依頼しながらアメリカを告訴し、アメリカのパスポー
トを法廷に要求したり、占領国アメリカの許可もなく台湾民間政府
を名乗ったりするオカルト集団である。

●現状から独立までは遠い

以上述べたように、台湾の独立方式は体制内の正名制憲か、体制外
の大衆運動の二つであるが、台湾独立が成功するには(1)アメリ
カの安全保障のもとで(2)中国の武力侵攻を避け、(3)人民の総
意を受けた政府を創立すべきである。中華民国の改名か廃止かの違
いはあるがアメリカと中国の影響は避けられない。

中国は武力恫喝を止めない、アメリカは現状維持を要求し中国と対
決を避ける。この現状が変わるまでは体制内も体制外も大きな変化
は期待できないだろう。現状維持から台湾独立への道はまだ遠い。

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