2016年12月27日

◆見えてきたトランプの戦略 (3)

佐藤 鴻全



「米国の形」と日本の対応

●トランプは、先ず中国を通商で干し上げ、その経済力と軍事力を削ぐ。
それによる返り血は、公共事業と軍拡、規制緩和、減税等による景気浮揚
と「米露同盟」を中心とした包囲網構築で撥ね返す。

●シリアとISは、当面プーチン主導に任せる。しかし中東戦略全体につい
ては今のところ示されたヒントは殆どない。

●プアホワイトを中心とした格差問題には、製造業の米国回帰で対処する
考えだが、持続的なモデルとなるかは疑問である。また、財政赤字と金利
高、ドル高への対処法も不明である。

◆「米国の形」と日本の対応◆

また、トランプは、プアホワイトを中心とした格差問題には、製造業の米
国回帰、公共事業、エネルギー開発に対する規制緩和、移民の制限、減税
による景気浮揚等で対処する考えのようである。

だが、元より公共事業やエネルギー開発の投資段階の雇用は、一時的なも
のである。

また、製造業の国内回帰も持続的なモデルとして定着するかは疑問である。

10年間で6兆ドルの大減税、同じく1兆ドルの公共事業、軍拡の計画は、株
式市場の高騰をもたらしているが、経済成長による税収増がそれに伴う財
政赤字と金利高、ドル高の影響をペイ出来るかについて、ノーベル賞受賞
者を含めた主流経済学者は悲観的だ。

トランプは、1期4年で大統領を辞めるなら逃げ切れるだろうが、2期8年を
続けるなら、その帳尻を合わせなければならない。

大統領選での暴言にあった米国債のデフォルトや、あるいはプラザ合意の
ような形のドル切り下げは、米経済次第であり得るシナリオだろう。

話を戻して、プアホワイトを中心とした格差問題は、今後AI(人工知
能)、自動運転、ロボット化の進展により、更に深刻になると思われる。

日本こそ他人事ではないが、米国を筆頭とした先進国は、教育、既得権の
整理、社会保障、少子高齢化問題、労働流動性を含めた持続可能な社会の
形を試行錯誤で構築する必要がある。

さもなければ、ピケティーのような形を変えた共産主義が世界を席巻する
こととなる。

日本について言えば、安倍政権はトランプの当選可能性を殆ど無視する失
態の後、一番乗りで就任前のトランプと会談するリカバリーを図った。

トランプにより世界は激動する。

1月20日の就任式など悠長に待っている暇などない。

今ある材料でトランプの戦略のパズルを解いて、先手を打って対応策を練
る必要がある。

新しい情報により逐次そのモデルを修正して行くことが求められる。

当面トランプは、公式な形、非公式な形を問わず、「米露同盟」を模索す
るだろう。

それは、共和党を含めた米国議会から反対され実現に困難が伴う。
トランプの大統領選当選により、12月15、16日の日露首脳会談で北方領土
問題の進展可能性は殆ど無くなったので、安倍首相は会談を「米露同盟」
を緩衝材として仲介するための瀬踏みの場とすればよい。

それが、行く行くは「日米露三国同盟」となるのか「日米露印四国同盟」
に結実するかは分からないが、その模索が当面の日本の戦略となるだろ
う。以上



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