2017年03月09日

◆借地借家法38条2項所定の書面の意義

川原 俊明(弁護士)

 

建物の賃貸借を行う場合で、その期間を定める場合のことを「定期建物賃貸借」といいます。

 定期建物賃貸借契約を締結する場合には、『建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借契約は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない』とされています(借地借家法38条2項)。

 このように法が定めるのは、定期建物賃貸借は期間が定められており、賃借人に不利な契約であるため、十分に賃借人に契約内容を熟知させる必要があるからだと考えられています。

 そうだとすると、賃借人が十分に契約内容を熟知している場合には、事前の書面の交付がなくとも、定期建物賃貸借は成立しており、賃貸人は期間が満了すれば賃借人を追い出すことができるのではないかとも思われます。

 しかし、最高裁は「法38条2項の趣旨は契約の更新の有無に関する紛争を未然に防止することにもある」として、書面の交付を形式的、画一的に取り扱うべきであると判断しています。

 つまり、契約書とは別個独立に更新がなく、期間満了で契約が終了する旨記載した書面は必要であり、そのような書面がない場合には、期間の定めがない賃貸借として更新されたこととなります。

 定期建物賃貸借契約を締結する場合には、書面の存在に十分に気をつけて契約することにしましょう。

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック