川原 俊明(弁護士)
<わて、どないなってまうん!?>
Aさんは、B株式会社に25年勤続してきましたが、ある日、お酒を飲んで、痴漢を行い、逮捕され、有罪が確定しました。
B株式会社は、就業規則に基づき、Aさんを懲戒解雇し、さらに、退職金を支給しないこととしました。
Aさんは納得できないのですが、法的にはどういう問題があるのでしょうか?
<お答えします!>
1 懲戒解雇の当否
まず、懲戒解雇は、就業規則に基づくものでなければならず、また、具体的事案に照らし社会的相当性を有するものであることが必要です。
今回の場合、私生活上の非違行為ですので、具体的に会社の名誉や社会的信用を毀損させ、企業の円滑な運営に支障を来たすおそれがあることが必要とされます。
2 退職金を支給しないことの当否
次に、仮に懲戒解雇が有効とされる場合であっても、直ちに、退職金を(全部・一部)支給しないことが許されることにはなりません。
退職金は、功労報酬金としての性格のみならず、賃金の後払い的性格、生活保障的性格を併せ持つものだからです。
判例では、@非違行為の内容、A使用者の受けた損害、B被用者の会社における地位、C在職中の貢献度などを踏まえ、被用者の永年の勤続の功を抹消・減殺してしまうほどの重大な不信行為があることが必要とされています。
労働問題は生活に直結する重要な問題です。疑問を感じたら、気軽に相談してください♪