2017年04月13日

◆「聖徳太子」が復活した!

育鵬社編集部M



(1)パブリックコメントで文部科学省が異例の方針転換



◆厩戸王(聖徳太子)へのパブリックコメントが殺到

聖徳太子の名称をこれまで通りに戻す――3月20日に産経新聞、朝日新聞が
報道し、翌日、各社も一斉に報道した。

焦点となっていたのは、文部科学省が2月に公表した中学校の次期学習指
導要領の社会科【歴史】の改訂案で、日本史上、重要人物の一人である聖
徳太子を()書きにして、厩戸王(聖徳太子)と表記する方針を打ち出し
ていた点である。ちなみに厩戸王は「うまやどのおう」と読む。

これを現行の学習指導要領(平成20年3月告示)通りに聖徳太子をメイン
として、聖徳太子(厩戸皇子[おうじ])と表記することで最終調整が行
われていると報道された。

文科省は、この改訂案に対するパブリックコメント(政策に関する意見募
集)を3月15日まで行ったが、その「総数は1万1210件で、そのうちの4割
にあたる約4600件が『聖徳太子』について」であったという(『つくる会
FAX通信』3月25日号より)。聖徳太子を厩戸王と呼称することに対する、
国民からの強烈な反対と読み取れる。

この件は国会でも問題になり、笠浩史衆院議員(民進党)や松沢成文参院
議員(無所属)が、それぞれの文部科学委員会で質問していた。

こうした反響を受け文科省は、次期学習指導要領案の「歴史用語」の変更
に関して、異例ともいえる方針転換表明を行ったのである。最終的には、
今月3月末に次期学習指導要領は確定して公示される。

◆10年に一度改訂される学習指導要領は、どのように作られるか

そもそも、学習指導要領は、どのように作られるのか。

 学習指導要領は、おおむね10年前後に一度、改訂され、その改訂内容に
基づき教科書会社は教科書を編集し直し、学校現場では新しいカリキュラ
ム(教育課程)に基づき児童・生徒に授業を行う。こうした性格のため、
学習指導要領の改訂作業は、膨大な手間暇がかけられる。

文科省の担当部署は、義務教育を担当する初等中等教育局の中の教育課程
課であり、(1)課長をトップとして、(2)主任視学官、(3)視学官、(4)教科
調査官(国立教育政策研究所に所属)というラインがある。

ここが学習指導要領の原案を作成し、中央教育審議会(中教審)の中の教
育課程部会や教育課程企画特別部会に諮られ、中教審の総会で答申がまと
められる構図である。

今回の歴史用語の変更に関しては、上記の(4)教科調査官(小中学校の教
員出身)⇒(3)視学官(ベテランの教科調査官)⇒主任視学官(文科省キャ
リア)のボトムアップで原案がつくられ、そのまま中教審の各部会や総会
で了承された経緯という(自民党の山田宏参院議員の『言論テレビ』3月
10日放送などより)。

◆歴史用語の変更は「勇み足」?

教科調査官や視学官は、小中学校の教員出身者であり、「アクティブラー
ニング」といった教科をどう教えるかの教育方法についてはプロ中のプロ
であるが、歴史用語の詳細にわたる機微については、歴史教育に造詣の深
い専門家の意見を聞く必要がある。

仮に、中教審の各部会を含め、歴史用語の変更に関して専門家から詳しい
ヒヤリングを重ねていなかったとしたら、勇み足だったのではないか。

その一方で次期学習指導要領案では、世界史重視の観点から「ムスリム商
人」(イスラム教徒の商人)という用語を新規に加えるなど、専門家から
のヒヤリングの形跡もうかがえる。(続く)


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