2017年04月29日

◆カーター元大統領に北朝鮮特使を打診か?

宮崎 正弘 



<平成29年(2017)4月38日(金曜日)弐 通算第5271号>   


 〜トランプ政権、ジミー・カーター元大統領に北朝鮮特使を打診か?
   北朝鮮への圧力に平行して話し合いも模索へ〜

フィナンシャルタイムズが4月27日付けで報じている。

トランプ大統領は秘策の一つとして北朝鮮へ、ジミー・カーター元大統領
を特使として派遣する打診をしているという。

94年の北朝鮮危機のおりにも当時のクリントン大統領は、土壇場でナン上
院議員の派遣を中止させ、かわりにカーター元大統領が金日成から招待を
うけていた話を思い出して、「私人」としての訪朝を促した。

平壌に飛んだカーター元大統領は、あくまでも「私人」として、金日成と
長時間の話し合いをなした。

IAEAの駐在査察の継続、使用済み燃料の再利用中止と引き替えに軽水
炉支援(合計13億ドルを米国は支援したのだが)、これらによって米国
は国連の制裁決議促進を一時停止するなどの合意を得た。

この北朝鮮の首領様と米国の「私人」との合意を、しかしながらクリント
ン政権が追認した。

たしかに、1994年の危機は回避されたが、結局、米国は北朝鮮が約束を反
古にしたため、臍を噛むこととなった。

そのカーター元大統領を、また引っ張り出すのは愚策ではないのかとワシ
ントンには懐疑論も飛び交っているという。
      

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樋泉克夫のコラム
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知道中国 1560回】      
――「湖南省を目して小日本・・・自ら稱して小日本人といふ」(安井5)
安井正太郎『湖南』(博文館 明治38年)

               ▽

「各國宣?師等は、凱歌を奏して一時に侵入し來」た結果、「省内63縣
中、一縣を除くの外は各縣皆一人の宣教師を有す」るようになった。とは
いえ、布教の成否は未だ判然とはしない。それゆえに、「湖南に入る宣?
師の何れも小心翼々湖南人を以て支那人種中の卓越したるものとなし、各
自の擧動に格別なる注意を拂ひつゝあるは、事實として注目の値あり」と
している。

次いで『湖南』は、「1904年漢口に於て開會せる中央支那宗教出版協會に
於ける記事」を紹介するが、たんなる「宗?出版事業の成績を報告せるに
過ぎざれども」、「如何に彼等が熱心、耐忍、屈辱、困難と鬪ひて、傳道
に從事せるかを知る」べきだ。それというのも「彼等の進むあつて退くこ
とを知らず、10年斯の如く、20年斯の如く、30年50年復斯の如く、努むる
を知て倦むことを知らず」、しかもキリスト教各派の別はあるが布教に関
しては「整然として一致している」。こういった状況を見せつけられるに
つけ、「吾人本邦人の短處と相對して、感服の外なし」と説く。

こわば「進むあつて退くことを知らず、10年斯の如く、20年斯の如く、30
年50年復斯の如く、努むるを知て倦むことを知らず」という姿勢に欠ける
ことが、「本邦人の短處」ということになるわけだが、対外関係を考えて
時、現在にも通じうる指摘だと思う。

さて「1904年漢口に於て開會せる中央支那宗教出版協會に於ける記事」と
は、中央支那宗教出版協會に参加したキリスト教各派の指導者の活動報告
を纏めたもの。そのうちの興味深い記述を拾っておくと、

■「來會者の中には一人も官吏又は實業家は」見当たらないものの、
「會塲の廣濶なるは來衆の多數なるに相應を呈すること一層なりき」。

■「聖書及び新訳全書」を中心に多くのキリスト教の印刷物に対し、
「地方官吏及人民一般に好意を表し」、かつて考えられないような規模で
販路が拡大している。「研究者の數は次第に増加し、この結果として地
方?會堂設立を見るに至れり」。かくして「今後格別の障礙なくんば今よ
り十年の内には異常なる發展を見るべきを得るが如し」

■「昔時は單獨に從事せしも今日は盡く基督?信徒たる土人と相合して
普及に勉むるに至りたる」からこそ、「基督?普及に偉大の効果ある」

■「(キリスト教にとって)支那は最も好望の地にして、現今風雲の暗
澹たるもの」があうるが、「光輝ある将来を有する」。

「今や各國の視線は支那に集注して、時局頗る切迫」していて、伝道事業
に障害となるかも知れないが、「此老大國も漸く巨人の醒むるか如く覺得
し來」っている。日本のようには短時間で「長足の進歩を爲せし如きを學
ぶ」ことは望み薄だが、それでも「其昏睡の情態に非ざるは之斷言し」うる。

やはり彼らの蒙を啓き「眼を開て四隅を顧みしむるは書籍により開發する
に如くなし」。じつは「支那國民は讀書人種なりと稱すれとも其讀書力淺
薄にして能く文書を了解するもの甚た少なし」。

そのうえ「政治上の變動は漸く彼等に打?を加へ、日本より新文明を輸入
して泰西の風氣漸く彼等の解する處となりしものの如し」。だから、キリ
スト教布教のための「宗教上の出版物に多少地理?史的材料を加味して
宗?の起因せる處を明かにし、同時に一般?科書に宗教的分子を含有せし
むるの必要」がある。

■「露國の行動は或は日本と于(「干」の誤り?)戈を交ゆる原因たるこ
とあらん從て支那は此禍亂の裡に没せられて傳道事業を一時杜絶せらる
る」可能性は高い。だが「年と共に漸次歩を進め屈せず、撓まずんば効果
期して擧ぐるを得べし」

「撓まずんば効果期して擧ぐるを得べし」が、キリスト教伝道の根本姿
勢なのか。
《QED》
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 もう1つ
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【知道中国 1561回】                      
  ――「湖南省を目して小日本・・・自ら稱して小日本人といふ」――(安
井6)
     安井正太郎『湖南』(博文館 明治38年)

               ▽
「1904年漢口に於て開會せる中央支那宗教出版協會」に参加した宣教師の
中には、「五十年の支那に於ける生活」を振り返り、「今日の状態は實に
欣躍に堪へさるを説」く者もいた。19世紀初めの時点で「50年の支那に於
ける生活」ということだから、その宣教師が中国にやってきたのはアヘン
戦争から10年ほどが過ぎた頃になる。

ここで当時の日本を振り返ってみると、黒船の来航=嘉永6(1853)
年、安政江戸地震=安政2(1855)年、安政の大獄=安政5(1858)年、
桜田門外の変=万延元(1860)年と続き、高杉らが乗り組んだ千歳丸の上
海入港=文久2(1862)年となる。

いわば高杉らが西欧との交易によって栄える上海の街を驚きを以て「徘
徊」していた頃より10年ほど早く、すでに宣教師は布教のために湖南省入
りしていたわけだ。

以来、半世紀。排外主義に満ちた湖南省を舞台に、「撓まずんば効果期
して擧ぐるを得べし」の精神を貫いたからこそ、キリスト教にとって「實
に欣躍に堪へさる」状況を産み出し得たということだろう。

かくして「歐州列強が清國主權の薄弱なるに乘じ、或は土地の租借に或
は鐵道鑛山の利源に汲々として勢力範圍の擴張を努むること茲に50年、尨
大なる滿清の境土も殆と完膚なきに近からん」。こうなると最後の最後ま
で列強に対し門戸を閉じていた湖南省も、「早晩列強の染指を免かるべか
らざるは」、やはり時勢の赴くところである。

そこで「湖南人をして自ら進んで其門戸を洞開し20世紀の文化を輸入し
て?育に武備に農工殖産に貿易交通に彼等が其の聰明勇敢なる特性を發揮
せしめ」て、彼らを導いて「地方の安寧幸福」を達成させる一方、「清國
の衰運を挽回」するように努力させるのは、「同文同種にして且つ性情相
近き本邦人」の責務であり、「彼等も亦本邦人を得て初めて相信じ相依る
を得る」ことが出来ると、『湖南』は説く。

かくして白岩は大倉喜八郎、安田善次郎、渋沢栄一などの協力を得て湖
南汽船会社を設立することになるが、『湖南』は湖南汽船会社を基礎に
「兩國經濟共同の必要を?す江湖に訴へ」れば、「經濟同盟はやがて政治
の同盟」に、「政治の同盟」は「國民の聯絡」に、「國民の聯絡」は「政
府の聯絡」に発展すると構想することになる。

どうやら、この辺りにロマンティシズムに満ち溢れた理想主義的な「東
亜保全論」の萌芽を見るようだ。だが、この「東亜保全」という考えが、
その後に続く日露戦争、辛亥革命、清朝崩壊、中華民国成立、軍閥割拠か
ら日中戦争を経て日本敗戦へと続く疾風怒濤の時代の渦中で、ものの見事
に破産したことを改めて考えておく必要があるだろう。

亡国目前の清国、その清国を革命して成立したものの国家の態をなしてい
ない中華民国、その中華民国を目覚めさせ、目覚めた中華民国と提携する
ことで西欧列強に対抗し、本来の東亜を回復する――これを東亜保全論の理
想形とするなら、この理想に向って進んだ「支那通」も少なくなかったよ
うに思う。なかには旧陸軍の支那通を代表する佐々木到一のような軍人も
いたはずだ。

佐々木は中国で台頭するナショナリズムを積極的に評価した。おそらく
両国のナショナリズムによって「政治の同盟」から「國民の聯絡」へ、や
がては「政府の聯絡」に進ませようと夢見たのではないか。

だが、そのナショナリズムがやがて独自の形で、あるいは欧米列強による
様々な政治的思惑の中で日本に牙を向けるようになったことも、また事実
であろう。以上は、さらに考察を重ねる必要がある。後日を期すことを、
ここに記しておく。

末尾に明治36年冬から37年春にかけて南清を旅した佐々木信綱の作品が
付されている。そのうちの一首に、「長江の水ひんがしに五千年國は老い
たり民たゞに眠る」と。
《QED》
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